東京を中心にロンドンやパリなどでも活躍している、羊毛造形アーティストの太田光美さん。最近完成させたという、ミニチュアピンシャーの羊毛作品の動画をSNSで公開しました。
動画には徐々に完成に近づいていく制作工程が映っており、作品を見た人たちからは「本物にしか見えない」「神業だ」など数多くの称賛の声が寄せられています。
今回の作品を作ったのは、モデルとなったミニチュアピンシャーの飼い主さんから依頼されたことがきっかけ。一体にかかる時間をきっちりカウントするのは難しいものの、複数の作品を同時進行してオーダー予約も混み合っている関係で、こちらの作品は完成までに7年、約500時間の歳月がかかってしまったといいます。
投稿された動画には、植毛されていく過程や顔とボディの結合、さらに羊毛を丁寧にカットしたりブラッシングしたりする場面が紹介されています。このような過程を経て完成した作品は、今にも動き出しそう。「なんで動かないの?」と思ってしまいます。
多くの人から絶賛されているミニチュアピンシャーの作品。しかし、「短毛種が一番難しい」と太田さん。理由はいくつかあり、1つは骨格や肉付きなどすべてをきっちり作り込まなければいけないこと。頭蓋骨や四肢の筋肉、胴体や首周りの肉のたるみなど、被毛で隠れる部分が一切ないのでごまかしがきかないのだとか。
さらに短毛種は長毛種に比べて植毛が何倍も手間がかかるそう。何色もの羊毛をしっかり混ぜて色や毛質を作り、それを少しずつ束にして専用ニードルに差し込んでいく工程は長毛種と変わらないものの、短毛種の場合は数ミリの隙間があるだけで毛並みの美しさが損なわれてしまうそうです。
そのため隙間なく植毛した上で毛の流れを作りながらも、艶のある毛並みを再現するためには途方もない時間がかかるとのこと。「モデルさんに似せていくのは本当に根気が必要」だといいます。
完成したミニチュアピンシャーの羊毛作品について太田さんは、モデルになった子の特徴である鼻や目の表情などが「自分なりに表現できたかなと思う」と満足している様子。7年間、待たせてしまった依頼人の飼い主さんにも満足してもらい、「本当にホッとしました」と語っていました。
<記事化協力>
羊毛造形アーティスト・太田光美さん(@Truestylelab)
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024020403.html