北海道土産といえば定番品から新しい話題の商品まで、魅力的な商品が多く存在しています。しかし今回は少し視線を変えて、「地元の人たちも食べている北海道の商品」に注目。
旅行者はつい「定番土産」の方を手にとってしまいますが、現地のコンビニやスーパーなどで売られている商品にも土産物として喜ばれる商品があふれています。そこで8月下旬に編集部がある千葉県から北海道・札幌市へとはるばる買い物に行ってきました。回った店舗は約10店。
買い集めた商品は10品。予定ではもう少しあつめるつもりでしたが、事前調査で決めていた数点を見つけることができずに、この数で落ち着きました。とはいえ、それでも商品数が多いため、平和な「前編(おにぎり・おかし)」と、別名「食べる催涙ガス」も出てくる「後編(インスタント麺)」の2つに分けお届けしています。
本稿は後編(インスタント麺)。それでは後編も見ていきましょう。
■ 定番から初見まで個性豊かなインスタント麺
インスタント麺もご当地ものから、全国区商品のご当地向けバージョンまで様々な商品が展開されています。
そこで今回は、みんな知ってる「どん兵衛」のうどん・そば各1種と、現地で見かけて衝動買いした北海道限定のインスタント焼きそば「やきっぺ」、セイコーマートの「山わさび 塩焼きそば」も買ってみました。
ちなみに記事公開前に、商品の集合写真を編集部のSNSでチラ見せ公開したところ、北海道のフォロワーさまたちから「ヤバいのまざってる」「山わさびは気をつけて」と、ざわつかれました。
どういうこと……。何も考えずに北海道限定なんだろうと買ってみただけで、今回体をはる予定はなかったのですが……。怖いのでこれは一番後に食べることとします。
――北海道向けに展開されている「北のどん兵衛」
日清の「どん兵衛」といえば、西日本向けと東日本向けに味が調整されていることはよく知られています。が、実は北海道版もあるのです。それが「北のどん兵衛」。
普段よく食べる商品ゆえに、違いも分かりやすいはず。これも「事前情報無し」で食べて行きます。
まずは「うどん」から。お湯をそそいで時間通りにふたをあけると……ぶわっと広がる昆布の香り。あれ?どん兵衛ってもうちょっと鰹だしの匂いが強かった気が。
すぐさまパッケージをよく見てみると「香りと旨みのWだし 鰹節×利尻昆布」と書かれていました。なるほど、だから昆布の香りがたっているのか。利尻昆布は香り高いことで知られており、料亭などでもよく用いられている昆布です。
普段食べているどん兵衛は、西日本が「本鰹×昆布」でバランスのよい香り、東日本は「本鰹と宗田鰹」でカツオの香りが強め。細かい配合まではわかりませんが、筆者の感覚だとこの北海道版は「利尻昆布」を強めにしている気がします。
食べてみた感想も同じくでした。カツオの主張がある程度おさえられ、昆布を主とした味わい。かといって昆布がもつ独特の風味(クセ)はほどよく抑えられ、昆布が苦手な人でも食べられるよう配合されています。
これまで西、東と食べてきましたが、個人的には北海道が一番好きかもしれません。味も強すぎず薄すぎずのちょうどいい案配。だしが楽しめるよう工夫されているのが分かります。
これ全国で売っても売れるんじゃ……そんな予感しかありません。公式から通販もされているようなので、普段用にストックしてみようかな……と考えてしまいました。それほど味が好みです。
次に同じどん兵衛の北海道版「そば」。先ほど昆布の洗礼をうけたあとですので、これも楽しみでしかありません。またぶわっとした昆布の香りが上がってくるのかな?
お湯をそそいだあと時間通りにふたをあけてみると、今度上がってきたのはカツオと昆布の両方。わずかにカツオの香りが強めに感じます。なんで!?
こちらもパッケージには「鰹節×利尻昆布」という文字が。だしの材料は同じなのに?どうも麺にだしが絡みにくい「そば」ということもあり、うどんよりも個性の強いカツオを多めに配合している気がします。
実際食べた感想も同じくで、うどんよりも濃い味わいが感じられました。だしもカツオが若干つよめ。とはいえ昆布の香りも十分に感じられ、そばにあうようちょうどいいバランスが取られているもようです。これはこれで好き!
――東洋水産の北海道限定「やきっぺ」
東洋水産といえば全国に名が知られるインスタント食品メーカーですが、この「やきっぺ」は北海道工場で生産されている商品です。同じ東洋水産の「焼きそば弁当」は北海道以外で売られることがあるものの、「やきっぺ」に関しては北海道限定。今回初めて見る商品の一つでした。
それにしても袋麺の焼きそばとな。袋麺の焼きそば自体が初めての経験です。袋にある説明通りにフライパンで作っていきます。
水を220ccフライパンに入れてお湯を沸騰させる。そこに麺を入れてまず1分。つぎにひっくり返して麺をほぐしながら水分を飛ばすと……。湯切りしないでいいんだ、と少し感動してしまいました。仕上げにソースとスパイスを入れて完成です。調理にかかった時間は3分程度。わりと手軽に作れました。
では実食……!一口食べて思わず笑ってしまいました。個性強すぎ北海道!
この前に、昆布が利いたうどん、カツオ強めのそばときたあとなので、ソース焼きそばの味が濃く感じられ……。普通、東なら東の味の傾向、西なら西の傾向とあるものですが、北海道に関してはバラバラ。予想を良い意味で裏切ってくれまくりです。
でもこれはこれでアリですね。私は薄味が好みなので、普段この手の濃い味付けのものは食しませんが、白米と一緒に食べるとちょうどいいのかな?と考えました。それほど主張の強い「おかず感」あるソース焼きそばです。恐らくハマる人はかなりハマる味付けかと。
ちなみにソース自体の味はそこまで甘いというわけではありません。スパイスをしっかり利かせた、標準的なソースを濃くした感じ。焼きそば好きの方は、ぜひ白米とともに食べて欲しい一品です。
――セイコーマートの「山わさび 塩焼きそば」は食べる催涙ガス
ようやく本当の最後です。そして一番恐れていたカップ焼きそばでもあります。全く何も知らずに食べるつもりだったので、SNSの反響をみてひるんでしまいました。でもまぁ、辛いものは割と得意な方。行きつけの中華料理店では、常に一番辛いレベルで頼んでいます。きっと大丈夫!
セイコーマートの「山わさび 塩焼きそば」は、株式会社セコマが販売しているカップ焼きそばです。セイコーマートのオリジナル商品ということですね。製造元はここまでおなじみの東洋水産・北海道工場。
色々不安はありますが、自分を信じてカップ焼きそばを作っていきます。作り方は一般的なカップ焼きそばと同様。麺に付属のかやくとお湯を入れて待つこと3分。時間になったら湯切りして、あとはソース(添付調味料)をまぜるだけです。
このときソースの油分が若干、普通のやきそばソースよりも多いことに気づきます。ちょっと油っぽいのかな?
とりあえずソースを麺に絡めていき……ブボッ!立ち上がる湯気から強い刺激を感じます。しかも裸眼とめがねの間を蒸気が通ってしまったようで、目もしみて涙目に。え、わさびってこんな刺激あったっけ?
まさか、気のせいだろう。そんなハズはない。記事にしなければならないので、誤解があっては決してならない……ということで、確認のためにカップ麺の上に顔を近づけてみると……ブボッ。ダメだ。なんだこれ。催涙ガス?
まさかまさかそんなハズはない。きっと何かのまちがい。箸をとって麺を一口パクリ。
ホッ。味は品の良い塩加減の塩焼きそばでした。そしてわさびの味についてはそこまで感じられないような。ツーンとくる感覚もありません。わざび自体の味もあるようなないような。海鮮塩焼きそばにも似た味わいです。
なんだなんだ。さっきのは気のせいか、私のまぜかたが悪くてわさびエキスが偏っていただけだったのかもしれません。
では、あとは完食まで食すのみ。ずず……ブボッ。ゲホゲホゲホ。
えっ。すすらず食べたときは行けたのに……ずず……ブボ。ゴホゴホゴホ。吸い込むとキツイ……。そして目がしみる。え、北海道民って日常的に催涙ガス食べてるの?(パニック)
ようやくここで理解しました。この塩焼きそばは、味はきちんと塩焼きそばとして成立させてはいるものの、「わさび部分」に関しては「刺激を超強化」してしまったもよう。
後にネットで調べたところ「食べる催涙ガス」「攻撃力最強」「食べる兵器」などなど、とてもじゃないけどカップ焼きそばの評価とは思えない表現ばかりが並んでいました。でも納得。
と、苦しんでばかりも居られないので、あとは完食をめざしていきますが……。一口食べてはロダンの「考える人」のポーズをして休憩→一口食べては「考える人」を繰り返し、ようやく最後の2口まで来たところ……。
どうしても最後のたった2口が食べられないというか、体が拒否する。一旦、チョコレートを口に入れて、風味を誤魔化しつつなんとか食べきりました。
これは……お土産としてオススメしていいのかはわかりませんが、「北海道の最終兵器」としてネタにはなる存在。罰ゲームにはうってつけかもしれません。
ただし、子どもには絶対に食べさせてはいけません。あまりにも刺激が強すぎる。これはパッケージにも注意が書いてあるので、購入する場合にはご注意を。
■ 旅先では現地のスーパーやコンビニ巡りがオススメ
今回は北海道をピックアップして紹介してみましたが、現地のスーパー・コンビニには地元ならではの商品であふれています。他県から来た人にとっては珍しいものばかり。
旅慣れている人たちの間では、昔から「お土産は地元スーパー」というのはわりと言われていましたが、今回改めて巡って感じたのは「何があるかわからない楽しさがある」ということ。
まぁ、「山わさび 塩焼きそば」には苦しめられましたが……。
ただ、こうした出会いがあるのも地元のお店ならでは。もし近いうちに旅にでることがあれば、ぜひ現地のお店も訪れてみてください。面白い発見があるかもしれませんよ。
▼隠れた土産物を求めて 北海道のスーパー・コンビニを巡ってみた【前編(おにぎり・おかし)】
https://otakei.otakuma.net/archives/2023100304.html
(宮崎美和子)