鉛筆彫刻人としてTwitterに、鉛筆の芯を彫刻した作品を投稿し続けているシロイさん。今回は「動ける鉛筆を作りました」と動画を投稿。そこには、鉛筆の芯がチェーンのようになっている作品が。
いったい、どうやってこのような複雑な形を作ったのでしょうか。動画を見た人たちも「こんなこと可能なの!?」と信じられない様子です。
シロイさんが鉛筆彫刻を始めたのは7~8年ほど前。偶然テレビで見た鉛筆彫刻に感動したことがきっかけでした。
番組では様々な作品が紹介されていて、その中の1つに今回の「動ける鉛筆」の元になった鎖があったそう。テレビに映る数々の鉛筆彫刻作品を見た時は「凄く驚き感動した」と、当時を振り返ります。
■ 「まさか、こんなに動くとは……」自分でもビックリ
それから鉛筆彫刻を独学で練習。鎖もいつか自分でも作ってみたいと練習を続け、「鉛筆の真ん中だけ鎖にしたら面白そう」と思いつき、「動ける鉛筆」を作り始めたといいます。
完成したのは5年ほど前。「作り始めた時は、まさかこんなに動くとは想像もしませんでした」と自分でも驚いています。
■ プレッシャーで手が震えながらも完成
作り方についてうかがったところ、「言葉で説明するのは難しいのですが……」と前置きしつつ、「基本的に鎖は輪っかと輪っかの組み合わせ」とのこと。
「動ける鉛筆」は40個の鎖からなり、少しずつ作り続けて完成までにかかった時間は約1か月。40個もの鎖を作り続けるのは、根気と集中力が相当必要なのではないでしょうか。
「30個を超えたあたりから恐怖心で手が震えて大変でした」とシロイさん。
作業自体は同じことの繰り返しなので、それほど難しくはなかったそう。しかし、少しでも間違えて手元がくるうと鉛筆の芯が折れてしまい、今までの作業が水の泡に……。そのプレッシャーは、私たちのような素人にははかり知れません。
■ 「動き」にこだわり
こだわったポイントは、やはり「動き」。接着剤なども使わずに1本の鉛筆が曲がったり、うねうね動いたりしており、「文字通り鉛筆の常識を『曲げた』作品」と完成度にはシロイさんも自信をのぞかせます。投稿された動画をあらためて見ても、鉛筆とは思えません。
完成した瞬間は「達成感と安堵でいっぱいだった」と語ります。そして、この作品を完成させられたことが自信にもつながったそう。
「動ける鉛筆」は完成から5年ほどが経過した作品ですが、「今でも私の代表作の1つ」と言い切ります。「今作は数にこだわった作品でしたが、次に鎖を作る時はまた違ったこだわりのある作品を作りたい」と意欲を燃やしていました。
■ 展示会に出展!
ちなみに4月26日~5月8日まで日本橋高島屋で、8月9日~8月21日までは横浜高島屋で、「知られざる文具アートの世界」という展示会が開催されます。
シロイさんの「動ける鉛筆」も展示されるので、実際に自分の目で見てみたいという人は訪れてみるのも良いかもしれません。
<記事化協力>
シロイ/鉛筆彫刻人さん(@shiroi003)
(佐藤圭亮)