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身近なアルミホイルが海面に変身!艦船モデラーのジオラマテクニック


アルミホイルで海面を作った護衛艦まやのジオラマ(アルキメデスさん提供)

 艦船モデルには、水面上の姿のみをモデル化した「ウォーターラインモデル」というものがあり、ジオラマを楽しむモデラーも多いのが特徴。

 通常、ジオラマで水面や海面を表現する場合、パテやレジンで作ることが多いのですが、アルキメデスさんは身近なアルミホイルを使って海面の波やうねりを表現しています。そのテクニックについてうかがいました。

 アルキメデスさんは、ご自身を「出戻りモデラー」だと語ります。高校生時代に塗装せず素組みの状態で艦船模型に親しみ、ブランクののち社会人になって趣味を持ちたいと思い、昔から船が好きだったこともあり、艦船模型の世界に戻ってきたのだとか。

 艦船モデラーに復帰して6年ほど、ということですが、アルミホイルを海面の素材にするきっかけとなったのは、海外のモデラーが公開していたYouTube動画とのこと。ジオラマ作りの過程を見せるメイキング動画で、そこに「自分が探し求めていた海の理想像がありました」と語ってくれました。

 さっそく見よう見まねで、アルミホイルによる海面表現に取り組むようになったアルキメデスさん。日本と海外ではアルミホイルに厚みの違いなどがあり、入手可能なものも異なることから、ホームセンターで適した材料を探しつつ、試行錯誤を重ねてテクニックを磨いていったそうです。

 アルミホイルは金属なので、折り目のエッジも綺麗に出やすいのですが、思い通りにシワを寄せ、波やうねりを作り出すのはコツが必要。勉強期間3か月、実技練習が1か月ほどとのことですが、その間かなりの経験を重ね、今では自然に造形ができるようになったといいます。

 初めて納得のいく仕上がりになった作品をうかがうと、潜水艦の上空をドイツ軍のFw200が飛ぶ様子を表現した作品を挙げてくれました。加工アプリを使い、海面をアニメーションで動かすことで、洋上を航行する臨場感が倍増しています。

初めて納得いく仕上がりになったという作品(アルキメデスさん提供)

 AAV7による水陸両用作戦をモチーフにしたジオラマを題材に、作り方を教えてもらいました。まずアルミホイルにシワを寄せ、ジオラマベースとなる台に貼ります。アルミホイルの裏表については特に気にしていないとのこと。

ジオラマベースにアルミホイルを貼る(アルキメデスさん提供)

 ここにプライマーとなるサーフェイサーを吹いたのち、青色系のカラーをエアブラシで塗装していきます。2色使って、海の深みを立体的に表現。

青色系のカラー2色で塗装(アルキメデスさん提供)

 クリアーを吹いて塗装面を均一にならし、海面の光沢を加えます。液体の質感が出てきました。

表面に光沢を加える(アルキメデスさん提供)

 上空を飛行するCH-47JAを配置し、海面作りは完成。海水の滑らかな表面と、自然なうねりを見ていると、これがアルミホイルでできているとは思えませんね。

海面の完成(アルキメデスさん提供)

 模型を配置し、白波を綿や白色のドライブラシで表現。波の周囲に生じる海面の淡い色の部分は、油彩を使っているのだそうです。

完成したジオラマ(アルキメデスさん提供)

 現時点で気に入っている作品は、という質問には「光沢のバランスが整った護衛艦まやのジオラマです」とのお答え。こちらは正面からの構図で動画化したものをツイートされていて、艦首付近の深い色から、引き波で透けて見える淡い色までのグラデーションが美しい作品です。

 アルミホイルという身近な材料は、パテやレジンに比べとっつきやすい印象があるかもしれません。これからトライしてみたいという方に、アドバイスもいただきました。

 「アルミホイルをくしゃくしゃにして使うので、どうしても小さな穴などができるのは避けられません。なるべくその穴ができないよう、丁寧かつ慎重に作業をすることですね。こればかりは実際に試して経験された方が早いです」

 現在は新しい表現を目指して、いろいろと方法を模索している最中だというアルキメデスさん。今度はどのような作品で私たちの目を驚かせてくれるのか、楽しみです。

<記事化協力>
アルキメデスさん(@n26edd3Pt24U3Hk)

(咲村珠樹)

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