いきなりですが、皆さんは
バレエ鑑賞に対してどのような印象をお持ちでしょうか?
「高そうだし、限られた人が行くんでしょ?」「ストーリーや見どころが分からず、難しそう……」といった印象を持つ方が多いかもしれません。
しかし、
バレエは事前にあらすじや見どころを知っておけば、誰でも楽しめる芸術です。
ということで今回は、
バレエ歴21年の筆者が「有名な作品を観たい」「明るくて楽しい作品を観たい」「感動で泣きたい」といったニーズを想定して、おすすめの
バレエ作品を3つご紹介します。
これを観ればきっと
バレエの魅力にとりつかれるだろう!と自信を持っておすすめできる作品ばかりです。
バレエにちょっとでも興味を持っている方は、本稿をきっかけに劇場へ足を運んでみてください。
■ バレエ鑑賞初心者におすすめの演目(1)くるみ割り人形
バレエ初鑑賞で有名な作品を観たいなら
くるみ割り人形がおすすめです。
バレエを観たことがない方でも、作品名やチャイコフスキーが作曲した作品だということは聞いたことがあるでしょう。
くるみ割り人形は、白鳥の湖眠れる森の美女と並んで「チャイコフスキー三大バレエ」と呼ばれるとても有名な作品です。
なお
くるみ割り人形はクリスマスのお話であり、12月頃からさまざまなバレエ団で上演されます。
簡単なあらすじをご紹介すると、クララ(演出によってはマーシャとも呼ばれる)という少女がクリスマスプレゼントでもらった「
くるみ割り人形」が王子に変身し、クララと王子がお菓子の国を旅する物語です。
くるみ割り人形がネズミと戦ったり、お菓子の国への道中で雪の国を通ったりするシーンもあります。
先ほども申し上げたとおり、
くるみ割り人形の作曲者はチャイコフスキーです。
CMやテレビ番組などでも
くるみ割り人形の音楽がよく使われているため、
くるみ割り人形自体を観たことがなくても、知っている音楽が多く、鑑賞初心者さんでも馴染みやすいでしょう。
第一幕はクリスマスパーティーの場面。クララに
くるみ割り人形をプレゼントするドロッセルマイヤーのマジックショーや人形の踊りなど、演劇チックに進みます。クリスマスツリーが大きくなる仕掛けなど、セットにも要注目です。
また、第一幕の最後には美しい雪の精たちの踊りがあり、コールド(群舞のこと)が織りなすフォーメーションの美しさにもきっと感動するでしょう。
第二幕はお菓子の国における各国の踊りが見どころ。CMでも有名な「葦笛の踊り」や「花のワルツ」なども披露されます。最後は、男女のペアが踊る「グラン・パ・ド・ドゥ」という
バレエでは定番の様式があり、クライマックスを迎えます。
チャイコフスキーの美しい音楽、親しみやすくシンプルなストーリー、豪華な舞台セット、美しくて華やかな踊りが見どころの
くるみ割り人形は、まさに総合芸術であるバレエを思う存分楽しめる作品です。
ぜひクリスマスシーズンに
鑑賞し、クリスマス気分を高めてくださいね。楽しくてワクワクする物語なので、お子様との
鑑賞にもおすすめですよ。
■ バレエ鑑賞初心者におすすめの演目(2)ドン・キホーテ
明るくて楽しい
作品を見たいなら、スペインを舞台にした
作品ドン・キホーテをおすすめします。
キトリとバジルという若いカップルが結婚に至るまでの過程を面白おかしく描いており、全体的に活気のある
作品です。
ちなみに、タイトルにもなっている「ドン・キホーテ」は、自称騎士を名乗る老人。親に結婚を反対されているキトリとバジルの結婚を認めさせるなど、
作品の中で重要な役どころとなっています。
ほかにも、街のお金持ちであるガマーシュやドン・キホーテの従者サンチョ・パンサなど、個性豊かな登場人物がクスリと笑える演技も見せてくれます。
さらにドン・キホーテは、高いジャンプや連続回転など、
バレエ鑑賞初心者が観ても「すごい!」と分かるような難しいテクニックが満載の作品。特に、第三幕のキトリとバジルの結婚式の場面では、大きな技が決まると会場から拍手が沸き起こり、観客も一体となって楽しめます。
また、第二幕の「夢の場」では、綺麗な音楽の中、白やピンクのチュチュ(
バレエの衣装のひとつで、スカートが横に張り出したような形をしている)を身にまとったダンサーが踊る姿は、まさに「ザ・
バレエ」。
明るく楽しい作品ながら“
バレエらしさ”も楽しめるため、
バレエ鑑賞初心者さんに特におすすめの作品です。
■ バレエ鑑賞初心者におすすめの演目(3)ロミオとジュリエット
感動して泣きたい気分ならロミオとジュリエットがおすすめです。
シェイクスピアの悲劇を原作としたこの
バレエは、対立する名家に生まれたロミオとジュリエットという若い男女が運命の出会いを果たし、愛を誓い合うものの、家同士の対立や行き違いなどから、最後は死別してしまう悲しいラブストーリーです。
あふれんばかりの愛を表現する第一幕の「バルコニーのパ・ド・ドゥ」では、高いリフトやのびのびとした踊りで2人の胸の高鳴りを表現しています。
また、ロミオが死んでしまったことに気がつくラストシーンでは、ジュリエットの悲しさに共感し、涙をこぼしてしまうでしょう。
ロミオとジュリエットは非常に演劇性の高い作品であるため、
バレエを観たことがない人でも「今はきっとこういう話をしているのだろうなぁ」と分かりやすいはず。
ただし、ジュリエットのいとこや婚約者、ロミオの友人など登場人物がやや多いため、事前に登場人物の整理をしておくと、よりストーリーが理解しやすいかもしれません。
ロミオとジュリエットの音楽はとても有名なCMでも使われており、きっと「あ、この曲って……!」となるシーンもありますよ。プロコフィエフ作曲の美しい音楽と、感情豊かなダンサーたちの踊りで、あなたもきっとロミオとジュリエットの世界に入り込めるでしょう。
■ 分かりやすい作品を入り口にしてバレエの世界へ飛び込もう!
今回は、
バレエを観たことがない人におすすめの
バレエ作品を3つご紹介しました。
このほかにも、
バレエにはたくさんの素晴らしい作品があります。
チケット代が高そうと思われる方も多いでしょうが、安い席では4000円台の席もあります。(もちろんその分見えにくいですが、舞台全体を観ることができます)
「
バレエがどんなものか一度観てみたいけど、高いチケット代を出すのはちょっと……」という方や「ダンサーの違いなどはまだ分からないから、舞台全体を観たい」という方は、まずは1万円を切る安めの席で鑑賞してみるのも一つの手です。
ぜひ今回ご紹介した作品をきっかけにして、
バレエの世界に飛び込んでみてくださいね。
(上村舞)
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