スーパーファミコンを代表する名作RPGのひとつ「聖剣伝説2」。ソフトパッケージにもなっている、印象的なタイトル画面をツイッターユーザー・MiyukiChiさんが刺繍で再現しました。
物語を象徴するマナの木に、それを見上げる主人公ら3人、そしてタイトルの文字が1ドットずつ細かくクロスステッチによって描かれています。ゲームをプレイしたことがある人なら、タイトルBGMが脳内再生されるのではないでしょうか。
制作者のMiyukiChiさんはもともと、アイロンビーズ作品を趣味で制作していました。出産をきっかけに、子どもを抱っこやおんぶしたままでも出来るクロスステッチに取り組み始め、以降両方を嗜むようになったそうです。
加えて、自身が幼少期を過ごした90年代のゲームグラフィックに強い魅力を感じており、大好きだった「聖剣伝説2」のタイトル画面にチャレンジしてみようと決意を固めたのだそう。
制作を開始したのは2020年の12月。1ページ66×43のマス目からなる全24ページの図案を制作し、それに従って1マスずつ刺繍が施されました。聞いただけでも気の遠くなるような作業ですが、コツコツと進められ、1年半もの時間がかけられています。
特に大変だったと話すのは「色数の多さと、そのたくさんの色があちこちに飛び回っている点」。
1ページにたった2~3目しか使わない色があったり、しかもそれぞれがとても離れた位置だったり……。刺し間違えないよう、紙の図案にマーキングしながら進めていても、結構な頻度で間違えて何度も修正を繰り返したそうです。
こうして完成したのは横31.5cm、縦27.5cmに及ぶ超大作。額縁に入った作品は、ゲーム画面がそのまま飛び出してきたかのような高い再現度を誇っています。ちなみに、額縁選びにも「一週間悩みました(笑)」というほど、作品と同じようにこだわりが込められています。
完成後の心境をうかがうと、「仕上がるまでは、別の作業をしていてもずっと頭の片隅で存在感を放っていたので、やっと肩の荷が下りた気分です」と達成感を覚えながらも、「ライフワークと化していたので、終了間近の頃は終わってしまうのが寂しくて進みが悪かったですね。ゲームのクリア直前でやる気が失われるような」と喪失感も同時に味わっていた様子です。
作品は現在、自宅の目立つ場所に飾っているとのこと。きっと目にするたび、「マナ」を巡って世界を旅したゲーム本編の物語、そして長い年月をかけた刺繍の記憶を思い起こすことでしょう。
<記事化協力>
MiyukiChiさん(@miyukichi8bit)
(山口弘剛)