まるで生きているかのような、本物そっくりの猫を羊毛フェルトで制作しているヒナリさん(@hinalifelt)。作品は主にツイッターをはじめとするSNSにて公開されていますが、ヒナリさんの投稿に時折登場するのが、リアルな猫の顔を持つ「ドラえもん」のマスコット。
2016年にファンアート作品として制作し、以来日常的なつぶやきや、ハロウィンなどのイベント事にその姿を見せていましたが、6年の時を経てついに妹の「ドラミちゃん」もお目見えとなったようです。
「紹介します 妹です」のつぶやきに添えられた写真には、ドラえもんと並ぶドラミちゃんの姿が写っています。ドラえもんと同じように、その表情はやっぱり本物の猫そっくり。さすがは兄妹と言ったところでしょうか。
しかし、よーく見てみると、両者の顔つきには若干の違いが。ドラえもんがまんまるの瞳に対し、ドラミちゃんはやや目つきが鋭く感じます。
これはヒナリさんの中で、「しっかり者ではっきりものを言う、ちょっと強めなイメージ」というドラミちゃんへの印象を反映させたものなのだそう。とはいえ、少し怒ったような表情も、ヒナリさんの手によってかわいらしく仕上がっています。
実はドラえもんを過去に披露した時に、「ドラミちゃんも見てみたい」という声があったのだそう。その時はなかなか作る時間が取れなかったため、制作を見送っていたそうですが、4月1日に書籍「一緒にいたい!羊毛フェルトのちび猫づくり」(KADOKAWA)の出版を終え、少し時間が出来たため、なにか気軽に楽しく作れるものをと、ふと思い立って作ったとのこと。
ですが、その制作過程は「気軽に」とは行かなかった模様。ドラミちゃんはカラーがオレンジ寄りで、鼻がピンク色という実際の猫に近い色味であるため、下手すると普通の猫を小さなダルマさんに押し込んだようなカタチになってしまい、なんだか怖い置物に見えてしまいます。それをかわいらしい雰囲気にデフォルメするのに、想定よりも時間を要してしまったのだとか。
また、普段の作品制作の上でも、下準備を入念に行っているヒナリさん。今回の作品においても、性格や誕生秘話、口ぐせなどを研究し、作品に反映させられるよう心掛けたとのこと。依頼や仕事ではない、趣味の範囲の作品であっても、やはり羊毛フェルトづくりとなると、手は抜けない性分であるようです。
そんな苦節の末に、出来上がった作品に対し、「かわいいと怖いの狭間に位置する、不思議な作品になったような気がします」とヒナリさん自身も納得の出来栄えとなった模様。猫なんだけど猫じゃない、いそうでいなさそうな親近感、そんな雰囲気のある味わい深い作品となりました。
作品には、ドラえもん完成時を超える6万件もの「いいね」が寄せられるなど、大きな注目を集めました。原作とは異なる姿の、リアルなロボット猫兄妹の共演は、多くの方にインパクトを与えたようです。
なお、ヒナリさんは書籍の出版に際し、5月1日から6月10日までの間、オカダヤ新宿本店服飾館(東京都新宿区)において、書籍に掲載されている作品の展示を行うとのこと(ドラえもんの展示や、作品の販売はなし)。本物そっくりの猫をはじめとする、ヒナリさんの普段の作品が気になった方は、ぜひ会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。
<記事化協力>
ヒナリ 羊毛フェルト猫さん(@hinalifelt)
(山口弘剛)