江戸時代の絵師、伊藤若冲。「鶏の画家」と呼ばれるほど、鶏の絵を多く描いており、中でも13匹の雄鶏がひしめき合う「群鶏図」は伊藤若冲の代表作として知られています。
そんな群鶏図を彷彿とさせる、鶏たちの集合写真。写っている鶏の数こそ違えど、豊かな色彩やトサカの位置のバランスは伊藤若冲の群鶏図そのもの。美しい写真に思わず見入ってしまいます。
写真を撮影したのは、ツイッターユーザーのダイオウイカさん(@daiouika0316)。庭の敷地内にて300羽以上の鶏を飼育しており、毎日鶏たちの写真を撮影しています。
今回の「群鶏図風集合写真」は、日なたにフラワースタンドや季節の植物などを配置した撮影スペースを作り、そこに鶏たちが集まってきたところを撮影したものですが、ちょうど良いタイミングを狙って撮影した、ダイオウイカさんの腕もお見事。
「鶏の撮影は、数が多いと下を向いたり、後ろを向いたりと、どこかイマイチなとこが出るので、気長にみんな良いポーズを決めてくれるのをひたすら待つのと、色合いや見た目が良い鶏がそろって来てくれるのを願うだけですね」
撮影時の様子をこのように話すダイオウイカさん。鶏というとせわしなく動くイメージがありますから、特に複数の鶏が写り込む場合、狙った通りの写真を撮ることは、運も絡む至難の業であると言えるでしょう。そう考えると、今回の写真が奇跡的な一枚であることが伺えます。
特に「群鶏図」を意識したわけではなかったそうですが、撮影した写真に「伊藤若冲っぽさ」を感じ、ツイートしたところ、投稿には2万件を超える「いいね」が。多くの方が、鶏たちの美しさに感嘆の声を寄せています。
しかしながら、ダイオウイカさん自身の評価は「100点満点で言えば、40点てとこでしょうかね」と、やや厳しめ。構図に恵まれただけ、としながらも「またいつか本格的に若冲の作品に寄せて撮影してみたいですね」と、今後の撮影への意気込みを語ってくれました。
また、ダイオウイカさんは日本鶏保存会に籍を置き、絶滅が危惧されている鶏種も飼育しています。ツイッターへの投稿は、鶏の認知度向上、飼育者の普及のために、美しさやかわいさの魅力や、専門的な知識などを発信する目的で続けているとのこと。
鶏といえばどうしても、白い体に赤いトサカという先入観や、卵や鶏肉に対しては「安い」というイメージが先行しますが、今回の写真を見れば、その美しい出で立ちや種類の豊富さに驚くのではないでしょうか。
加えて、スーパーで卵や鶏肉を買う時なども「生きてる時はどんな鶏だったのだろう?」と、ちょっと考えてみたり、お子さんがいる家庭では「食べ残したら鶏さんがかわいそうだから、ちゃんと残さず食べようね」など、知育や食育につなげて家族で会話してみるのも良いですね。
<記事化協力>
ダイオウイカさん(@daiouika0316)
(山口弘剛)