Twitterには「#ガンプラはどんな自由な発想で作ってもいいんだ」というタグがあるように、様々な解釈で作られたガンプラの画像が投稿されています。まさに作り手のイマジネーションをすべて受け止める懐の深さが、ガンプラの魅力のひとつといえるでしょう。
たとえモビルスーツやモビルアーマーの形態をとっていなくても、そこに“魂”があれば、ガンプラだといえなくもありません。一見するとカブトムシの昆虫標本?な模型ですが、これも間違いなく“ガンプラ”です。
Twitterユーザーのパパモデラー、大騎さんが「ガンプラ?」という言葉とともにツイートしたのは、一見昆虫標本な「ハマーン オオカブト」の模型。全体のフォルムはカブトムシですが、カラーリングやディティールはハマーン・カーンの乗機、キュベレイに相違ありません。
キュベレイ自身、肩部にある4枚の装甲(バインダー)を広げて宇宙空間を飛翔する姿は昆虫に似た印象のあるMS。派生作品「ガンダムビルドファイターズ」には、キュベレイパピヨンというチョウをモチーフにしたキュベレイの改造ガンプラが登場します。
大騎さんに話をうかがうと、このキュベレイは4部作の2作目だそうで、最初の作品はシャア専用ザクII(MS-06S)風のカブトムシなんだとか。「カブトムシ→角が1本→シャアザクとなり、モビルスーツ風の昆虫を作るきっかけとなりました」と話してくれました。
キュベレイを取り上げたのは、シャアと関係の深いハマーンの機体であること、そして肩部の形状がカブトムシの羽根を思わせることから。ベースとなったのは、フジミ模型からリリースされている「自由研究」シリーズのカブトムシだそうです。
羽根を肩部バインダーに見立てて穴を開け、ディティールを追加していきます。肩の前後バインダーを左右の羽根に振り分けて作られているので、左に丸い穴、右にスリットという形。
エアブラシでの塗装は、パールホワイトとキャンディーパープルを基調にメタリック感を演出。差し色の蛍光ピンクが、よりキュベレイらしさを感じさせます。
最初のシャアザクが艶消し仕上げとしたため、こちらの方は対照的にツヤツヤの仕上げにしたとのこと。機体の性格を考えると、こちらの方が華やかでいいですね。
仕上げには標本らしく、本物のラベルを参考にして和名・学名(実際のカブトムシの学名をアレンジ)・採取地・採取日を記入。100ショップで調達したという木箱に入れると、いかにも標本っぽさが出てきますね。採取日の「U.C.0067年1月10日」は、ご存知ハマーンの誕生日。
現在はシャアザクのアズナブル オオカブト、連邦側のアムロ オオクワガタ(RX-78-2ガンダム)、バナージ オオクワガタ(ユニコーンガンダム)と合わせ、4つセットで標本にしているとのこと。
ガンダム系の学名もまた、ノコギリクワガタの学名をアレンジしたもの。バナージ オオクワガタは2つの角とするため、サイコフレームが露出したデストロイモードになっているところに芸の細かさを感じます。
たとえ昆虫に形を変えても、要素が揃えばモビルスーツに見えてくるのが面白いところ。思った以上にガンプラは、どんな表現でも受け止めてくれるプラモなんだなと実感させてくれる模型たちです。
<記事化協力>
大騎さん(@IkJ9UmHXN88r9q0)
(咲村珠樹)