皆さん、いかがお過ごしでしょうか。コートクです。「おたくま経済新聞」をご覧になっている方の中には、男性だけでなく、女性読者の方も大勢いらっしゃることと思います。今回は、女性向けアニメ『君に届け』を取り上げたいと思います。この番組は、集英社の『別冊マーガレット』に連載されている漫画を原作としたアニメであり、現在日本テレビ系列で放送されている作品です。
ストーリーは、女子高生・黒沼爽子(名前の読み方は「さわこ」。声・能登麻美子)を主人公にし、友達との交流、男子生徒への恋心といった学園生活を描くものです。
主人公である爽子は、一見暗そうな外見から、映画『リング』に登場する怪人にたとえて「貞子」というあだ名を付けられ、関わると呪われるかのように囁かれてしまいます。一方で、爽子の味方をする人もいました。本作の、最も視聴者の胸を打つ点は、登場人物の優しさにあると思います。
例えば、常に爽子を思いやり、爽子の味方をする矢野あやね(声・沢城みゆき)と吉田千鶴(声・三瓶由布子)。第3話、第4話では、爽子があやねと千鶴に関する悪い噂を吹聴しているという説が流れますが、あやねと千鶴は、爽子がそんなことをする筈がないと確信するのでした。雑音に惑わされずに友人を信じる姿は、強固な友情を表わしており、とてもいい話です。友人を疑わなければならない状況に陥った時こそ、真の友情が試される時だと言えましょう。
これほどまでに爽子が友人から信頼されるのも、その人柄によるところが大きいと思います。第5話では定期試験対策としてクラスメイトのために作成したノートに「がんばって」と激励の言葉を添え、気配りを見せていました。また第6話では爽子に言いがかりをつける連中に対して、爽子は、相手が誤解に基づいてそんなことを言っていると信じ、誤解を解こうとするのでした。
あそこまで人を信用できるというのは、凄いことだと思います。他人を常に信頼し、他人を疑うことを知らない素直な心を持つ爽子に、友人達は惹かれるのでしょう。
この他、本作を盛り上げている要素として、登場人物がSDキャラクターになる演出が挙げられます。劇中に挿入されるSDキャラは、ユーモラスな味わいを漂わせています。『君に届け』は実写映画化されると告知されていますが、流石に実写でSDは出来ないでしょうから、別の手法でユーモアを表現しなければいけませんね。
ところで、去る2月7日(日曜日)に池袋のサンシャインシティで『君に届け』のイベントが開催され、多くの観客が詰めかけました。私は観客の後頭部しか見えませんでしたが(笑)、声優によるトークの他、タニザワトモフミさんがオープニング主題歌を披露しました。登壇者に対する女性客の歓声は、本作の人気の高さを物語るものだと感じられました。余談ですが、池袋という土地は、毎日放送・TBSテレビ系列で放送中のアニメ『デュラララ!!』の舞台になるなどアニメとはゆかりの深い土地ですので、おいでになったことがない方は、1度行かれると興味深い発見があるかもしれません。
●関連URL
▼君に届け
http://www.ntv.co.jp/kiminitodoke/
■ライター紹介
【コートク】
戦前の映画から現在のアニメまで喰いつく、映像雑食性の一般市民です。