1.満ち足りた気持ち

猫の「ゴロゴロ」で最も有名なのが、「満ち足りた気持ち」です。
たとえば、冬場、飼い主さんといっしょに布団に入って、やさしく撫でられているとき、例の「ゴロゴロ」が始まることがあります。
飼い主さんの身体に静かに伝わるかすかな振動は、とても心地が良く、一日の疲れが吹っ飛ぶほどです。科学的見地から見ても、猫の「ゴロゴロ」には、幸せホルモンの分泌、自律神経の安定化、血圧低下など、さまざまなリラックス効果があります。
飼い主さんの前で、愛猫が「ゴロゴロ」鳴き始めたら、このうえなく幸せな心理状態であることを物語っています。もしかすると、自分のハッピーな気持ちを「ゴロゴロ」のメロディーに乗せて、飼い主さんにおすそ分けしているつもりなのかもしれません。
2.実はひそかに要求している

2つ目は、「ひそかに要求している」気持ちです。
猫はさまざまな方法で飼い主さんに自分の要求を訴えます。しっぽをピーンと立ててスリスリしてきたり、「ニャー!」とかわいらしい声で呼びかけたり、突然、飼い主さんの目の前でゴロンと転がって、お腹を見せつけたり、「手法」はわりと多彩です。
上記の行動であれば、飼い主さんも愛猫の意図を汲みやすいかもしれません。ただ、ひと筋縄ではいかないのが猫です。実は、「ゴロゴロ」と上機嫌を装いながらも、「○○をして欲しい!」というリクエストを伝えているケースもあります。
一例を挙げると、ひと通りゴハンを食べたものの、まだ何かちょっと物足りないと感じている場面です。
「急募、おやつ!」のプラカードを掲げた愛猫が飼い主さんを見上げながら、ゴロゴロゴロと鳴き始めます。リラックス・モードの「ゴロゴロ」との違いは、やや切羽詰まったかのように、リズムが速くなることです。
おねだりなのか、満足しているのか、判断がつきにくいかもしれませんが、「ゴロゴロ」のリズムに着目しつつ、前後の文脈、状況から愛猫の「真意」を推し量ってみてください。
3.「イヤ!」のゴロゴロもある

意外にも、一定のストレスがかかった状況でも、猫の「ゴロゴロ」が始まるときがあります。あらわすのは、「No!」や「怖い!」などのネガティブな気持ちです。
いちばんわかりやすいのが、動物病院に連れて来られたとたん、急に「ゴロゴロ」が始まるパターンです。「動物病院嫌いなのになぜ?」と飼い主さんは疑問に思う場面かもしれません。
「ゴロゴロ」は通常、ご機嫌さんを示す行動ですが、一方で、ストレスや不安、緊張を強いられる局面で、自分を落ち着かせるためにのどを鳴らす場合もあります。
あるいは、膝のうえでもっとぬくぬくしたいのに、何かの用事で飼い主さんが立ち上がろうとしたときも、「イヤだ!離れないで!」という願いを込めて、「ゴロゴロ」で主張することもあります。
ちなみに、状況やシーンにかかわらず、遺伝子的に「ゴロゴロ」と鳴きやすい猫がいることもわかっています。
京都⼤学野⽣動物研究センターの村⼭美穂教授らの研究によると、「アンドロゲン受容体遺伝⼦(男性ホルモンの作用に関わる)」の長さの違いによって、行動特性(ゴロゴロ音などの鳴き声、攻撃性など)に変化が生じる、という結果が報告されています。
具体的には、雑種猫のなかでは「アンドロゲン受容体遺伝⼦」が短い猫ほど、「ゴロゴロ」と鳴く確率が高い、という可能性が指摘されています。一方で、純血種猫の間では、逆に「アンドロゲン受容体遺伝⼦」の長いタイプの割合が多いと言われています。
つまり、生育環境や学習経験などの要因もありますが、「ゴロゴロ」を含め、「よく鳴く/あまり鳴かない」という音声コミュニケーションの相違には、「アンドロゲン受容体遺伝⼦」の長短が深く関わっているということです。
まとめ

猫の「ゴロゴロ」は、満足感やリラックスした気持ちをあらわすものと認識されがちですが、意外にも、まったく逆の緊張やストレス状態を示すケースもあります。
本文でも紹介したように、状況に応じて、愛猫の「ゴロゴロ」に込められた意図を聞き分けられたら、「利きゴロゴロ師」として一流と言っていいかもしれません。
願わくば、愛猫にはいつだってご機嫌な「ゴロゴロ」を奏でて欲しいものです。そのためにも、飼い主さんは、愛猫が幸せに暮らせる環境を整えてあげましょう。
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