1.狩猟本能の目覚め

まずは、「クラッキング」の意味を簡単に説明しておきましょう。
「クラッキング」とは、小刻みに口を震わせながら、「カカカッ」「ケケケッ」と鳴く猫の鳴き声のことです。「ニャー!」と比べると、はっきりと口を開けるわけではないので、飼い主さんも最初は気づきにくいかもしれません。
語源となった「clack」は「カチッという音」を意味し、英語では、「クラッキング」のことを「chattaring(おしゃべりする)」と表現します。
猫が「クラッキング」するのは、主に、窓の向こうに鳥や虫などが現れたときです。猫は「獲物が来た!」と判断し、たちまち狩りのモードに切り替わって、やや興奮気味に「カカカッ」「ケケケッ」と鳴きます。
語源にちなんで言えば、「クラッキング」とは、狩猟本能のスイッチが「カチッ!」と入った合図のようなものです。
突然、「クラッキング」が始まると、飼い主さんは、愛猫に悪霊が乗り移ったかのように感じるかもしれません。生まれつき備わった「野性」が発動しているだけで、むしろ、猫としては健全な状態です。霊媒師さんに相談に行く心配もないので、安心してください。
2.もどかしい気持ちを表現

「クラッキング」の動機には、「もどかしい気持ちを表す」という説もあります。
おうちで暮らす猫は、たとえ窓の向こうに獲物(鳥や虫、リスなどの小動物)を見つけても、飛び出して襲うわけにもいきません。唯一できることと言えば、窓一枚隔てて、舌舐めずりしながら獲物をじっと眺めることだけです。
持ち前の狩猟本能が高まっていく一方で、逆に、狩りに行けないという現実が立ちふさがる場面です。どうしようもない気持ち、ジレンマが抑えきれなくなると、猫は思いあまって、「カカカッ」「ケケケッ」という鳴き声を上げます。
自他ともに認めるスイーツ・ハンターの飼い主さんが、友人からのお茶のお誘い(モンブランで有名、予約困難なカフェ)を、ダイエットを理由に断るのとちょっと似た状況かもしれません。
「我慢我慢…」と自ら言い聞かせる心の呟きと、奥歯を強く噛みしめる「ギリギリ」という音は、まさに激しい葛藤を表す、猫の「クラッキング」のようです。
好きなことをやれない状況は、猫であれ、人であれ、つらいものです。
3.飼い主さんへのPR活動

愛猫の「クラッキング」は、飼い主さんに向けられることもあります。行動の背景に隠されている気持ちは、「飼い主さんへのアピール」です。
猫の「クラッキング」は、かなりエキセントリックな鳴き声なので、初めて耳にする飼い主さんはつい注目してしまいます。そのときの飼い主さんの反応は、愛猫にとっては、「あ!振り向いてくれた!」という嬉しい体験です。
猫には、一度でも好ましい結果が出ると、同じ行動を繰り返す習性があります。何らかの要求があるとき、「クラッキング」すれば、いつでも飼い主さんが振り向いてくれます。そういう意味で、「クラッキング」は、愛猫にとって呼び出しブザーのようなものかもしれません。
窓の外に鳥や虫がいないのに、愛猫が飼い主さんに向かって「クラッキング」を始めたら、いったい何を望んでいるのか、飼い主さんはひとまず見極めてみてください。
ちなみに、愛猫がやりがちな飼い主さんへのアピールとしては、「ニャー!と鳴く」「じっと見つめる」「ゴロンと転がってお腹をさらす」などがあります。
まとめ

窓際でたたずむ愛猫から「カカカッ」「ケケケッ」と聞こえてくる奇怪な音に、一種のホラー現象を感じた飼い主さんもいるかもしれません。
猫の「クラッキング」には、主に「狩猟本能の目覚め」「もどかしい気持ち」「飼い主さんへのアピール」という意味が込められています。
本文を読んで、決して心霊現象的な案件ではないとわかって、飼い主さんもほっとしたところでしょう。
窓の向こうに鳥や虫が表れたら、かわいい愛猫もハンター・モードに切り替わります。いわば、とても自然な行動であり、猫として健康的な証です。ちょっと奇妙な行動ですが、飼い主さんは温かい気持ちで見守ってあげましょう。
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