1.マジな顔で虚空を見つめる
猫はただでさえミステリアスな存在です。科学的なアプローチが進んだ現在でも、猫についてはまだ十分に解明されていません。みなさんもいっしょに暮らしながら、猫ならではの神秘世界を日々、体験していることでしょう。
「猫には幽霊が見えている…」というトンデモ的なエピソードも、猫の不思議な行動が人間の想像力を刺激してやまないせいかもしれません。
猫はときどき、ふと動きを止め、壁や天井をじっと見つめることがあります。飼い主さんもつられて、愛猫の視線の先をたどると、やはり、壁と天井しかありません。「うちの子には、幽霊が見えているかも…」と思う飼い主さんもいるはずです。
実は、この状態の猫は、気になった音がどこから聞こえているのか、聞き分けている真っ最中です。猫の聴覚は人間の約4倍も優れていて、とりわけ、高音域の聞き取りが得意。飼い主さんには聞こえない音だって、難なくキャッチします。
愛猫の視線の向こう、天井の小さな黒い影がカサコソと動き出し、さらに急に羽を広げ、なぜか飼い主さんのほうへパサーッと飛んできたら、幽霊ではなく、例のアレです。すみやかに避難するか、頼もしいパートナーを盾にするなど、適切な対処に努めましょう。
2.見えないものを追うのも狩人
猫は生まれつきの狩人で、野生時代にはウサギをはじめ、ネズミや鳥、虫などを追いかけていました。目に見えるもの(存在)を捕まえるのが、猫本来の生業です。
伝統的な習性は、飼い猫になっても受け継がれています。飼い主さんにリアルに操られたおもちゃに愛猫がすぐさま飛びつくのも、その影響です。
ところが、何もそこにはないのに、愛猫が「何か」を必死になって捕まえようとすることがあります。ダッシュしたり、勢いよく飛び跳ねたり。飼い主さんの脳裏には、またしても嫌な予感が過ぎります。「やっぱり、幽霊がいるんじゃ…」
種を明かせば、部屋を漂うホコリに反応しているだけです。猫は、人間のような高解像度の視力はないものの、動体視力に関してはピカイチ。動くものであれば、正確、かつ、迅速にフォーカスできます。
日差しに照らされてキラッと光るホコリも、猫にとっては興味深いおもちゃのひとつかもしれません。
ちなみに、突然、始まる夜の運動会もまた、なじみの幽霊たちと遊んでいるわけではありません。「真空行動」と言って、狩猟本能に基づいた衝動のひとつです。個人的には「ねこ組」と「ゆうれい組」に分かれて、陽気に「魂入れ」してくれたら、面白いのですが。
3.ちょっとホラーな声で鳴く
窓辺にたたずんでいた愛猫が、一点を見つめながら、ふいに「カカカカッ!」と鳴くことがあります。もちろん、飼い主さんの座っている場所からは何も見えません。ちょっぴりホラーな鳴き声に、飼い主さんの不安は高まります。「今度は、アウトドア派の幽霊か…」
愛猫の奇妙な行動は、「クラッキング」と呼ばれ、前項でも説明した「真空行動」と同じように、狩猟本能に火がついた結果です。見える範囲に獲物がいるのに、障害物(窓)があって捕まえにいけないもどかしさを表している、と言われています。
よく見てみれば、愛猫の熱心なクラッキングは、電線にとまったキジバトに向けられたものです。怖がりな飼い主さんは、続いて耳にしたポーポーポポッという悲しげな音色に、新たな幽霊の存在を予感します。
まとめ
「幽霊が見える、見えない」問題は、猫にまつわるミステリーの中でも定番に入る謎でしょう。結論から言うと、猫特有の奇妙な行動が、飼い主さんの目には、まるで幽霊を見ているかのように映ってしまう、ということかもしれません。
ただ、猫は紫外線を視覚的にキャッチできる、とも言われています。視覚、聴覚を含め、人間と違ったものを猫が感知していることは間違いありません。これからも愛猫ミステリーを面白おかしく楽しんでみてください。
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