ひん死状態の猫が病院へ
2017年のことです。黒猫がオーストラリアのクイーンズランド州にある「タイヤ販売店」の前で発見されました。けいれんを起こしており、低体温でひん死の状態です。
猫はすぐに動物虐待防止協会(RSPCA)の動物病院へ運ばれました。診察の結果、この猫は不凍液を飲んでしまって急性腎不全を起こしていることがわかったのです。
Sarah Kanther医師は、体内に入った毒性の高い不凍液を無力化して猫の命を救うには「ウォッカ」が必要だと判断しました。しかし、動物病院にウォッカはありません。
ところが偶然にも、看護婦のひとりがクリスマスのプレゼントとしてもらったウォッカのボトルを職場に置いていたことがわかりました。
喜んだSarahさんは、さっそく希釈したウォッカ20mlを猫の体内に点滴で投与したのです。なんでも、ウォッカに含まれる「エタノール」には、不凍液の主成分「エチレングリコール」が腎臓などにダメージを与える有毒物質に代謝されるのを防ぐ作用があるのだとか。
つけられた新しい名前は「ほろ酔い」ちゃん
猫はTipsy(「ほろ酔い」の意)と名づけられました。
病院に到着した時点でこの猫は危篤状態でしたが、点滴治療のおかげで12時間後には意識を取り戻すことができました。
その後は「ほろ酔い加減」でご機嫌な様子でしたが、やがて「二日酔いの頭痛」が始まったようです。そこで看護婦らは脂っこくておいしい餌をたっぷり与え、回復を待ちました。
回復して、新しい家族に出会う
Tipsyがだれかに故意に不凍液を飲まされたのかどうかは、わかっていません。
その後順調に回復した猫ですが、マイクロチップが埋め込まれていなかったため新しい飼い主を探してもらうことになりました。
幸い、すぐに里親希望の人が現れ、Tipsyを家族に迎えてくれました。自宅にはほかに3匹の同居猫がいますが、すぐに慣れて仲良く過ごしているといいます。
「この猫が成長していくのを楽しく見守っていきます」という飼い主夫妻。
猫がもつという「9つの命」のうちひとつを使い果たしたTipsyですが、だれかのクリスマスプレゼントのおかげで順調に回復し、温かい家庭も手にしました。これからも幸せにね!
出典:
・Vets have saved a cat’s life using vodka
・Tipsy saved by vodka
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