1.あんしんあんしん
野生時代の猫を振り返れば、「安心と安全」は、食料の確保とともに、最も優先順位の高い条件でした。敵に囲まれる厳しい環境下では、油断を見せれば襲われて、命さえも奪われかねません。
打って変わって、飼い猫になると、毎日のごはんの心配もなく、快適な空間が用意されています。野生の頃のように、休む暇もなく、周囲を見張る必要もありません。何よりも、信頼できる飼い主さんがそばにいてくれて、「あんしんあんしん」です。
愛猫が飼い主さんの腕にピタッとくっつくのは、安心感により深く包まれたいからです。みなさんにとって、子供の頃、手放せなかったお気に入りのぬいぐるみと同じかもしれません。
抱きつき行動の背景には、飼い主さんへの「すきすき」という感情が満ちあふれています。飼い主さんの腕に抱きついて眠る愛猫は、きっと幸せな暮らしを実感しているはずです。
2.あそぼあそぼ
愛猫が何の前触れもなく、突然、飼い主さんの腕に飛びついてきたら、「あそぼあそぼ!」と誘っている可能性があります。
子供時代、お気に入りのぬいぐるみと対話したり、架空の物語をつくって遊んでいた方もいるかもしれません。猫は、文系のクリエイターというよりも、肉食系のアスリートです。身体をめいっぱい動かすと、気分もスッキリし、自由を感じます。
特に、遊びたい盛りの子猫にとって、飼い主さんの腕は、ちょうどいい「うでぐるみ」です。いわば、母猫や兄弟猫のような、絶好の遊び相手。大きさや感触、動き方も、面白くてしかたがないのでしょう。
3.れっすんれっすん
「あそぼあそぼ」モードのとき、急にハンティングのスイッチが入ることもあります。切り替えの合図は、自慢の蹴りと噛みつきがワンセットになったときです。ちょっと激しめな狩りの「れっすんれっすん」が始まります。
いわゆる「けりけり」には、捕まえた獲物を弱らせる役割があります。すっかり狩人と化した愛猫は、やっと捕まえた獲物を仕留めようと必死です。けりけりけりのラッシュ。飼い主さんの腕だということは、とっくに忘れています。
以上、見てきたように、飼い主さんの腕は、愛猫にとって、「ぬいぐるみ」→「うでぐるみ」→「けりぐるみ」、3通りの使用パターンがあります。英語とは少し意味合いが異なりますが、「ぐるみ」の3段活用として覚えておいてください。
対処はやさしく、スマートに
愛猫が腕に抱きついてきたら、時間の許す限り、気が済むまでやらせておくのがいちばんです。安心感に包まれて、リラックスする愛猫以上に、飼い主さんにとっても心ホクホクなひとときに違いありません。
ただし、攻撃的な行動(噛みつき、けりけり)などが過剰になってしまうと、飼い主さんもケガのリスクが高くなります。
その場合は、やさしく撫でながら、「腕だっこしてくれて、ありがとね」と声をかけて、腕の代わりに、ぬいぐるみや毛布をさりげなく差し出してあげましょう。
まとめ
愛猫が腕に抱きついてくれるのは、飼い主さんのことが大好きな証拠です。スリスリや頭ゴッチンなどのように、愛情表現のひとつと考えていいでしょう。
今回は、3つに分けて、抱きつき行動の真意に迫りました。共通して言えるのは、甘えん坊な性格の猫に多い行動だということです。
噛みつきや猫キックが追加されるようだと、少し注意が必要。その際は、本文でも紹介した内容をヒントに対処してみてください。
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