猫が相手を攻撃する理由
猫に攻撃行動を引き起こさせる要因には、遊び、恐怖、捕食、その他の4つが挙げられます。
遊び
主に子猫同士でよく見られ、一見するとケンカのようですが、実際はじゃれあって遊んでいるというものです。
恐怖
自分や自分の縄張りを守るために行う攻撃です。身を守るための行動なので、容赦なく激しい攻撃となり、危険です。
捕食
獲物を捕獲するための行動なので、室内で飼育されている飼い猫では、遊びの中でしかみられません。
その他
その他の要因から行われる攻撃行動には、以下のようなものが挙げられます。
- 過去の経験から学び、嫌なことから逃れるために行う攻撃
- 痛みに耐えられずに行う攻撃
- 長時間にわたって撫でられたために行う攻撃
- 不愉快な思いをしている時にたまたまそばを通りがかった猫に行う八つ当たり
- 去勢されていないオス猫が、交尾相手のメスを得るために他のオス猫に行う攻撃
室内で多頭飼育をしている場合に見られる攻撃行動のほとんどは、遊びによるじゃれあいです。恐怖による本気のケンカは、新入り猫がきた時やどうしても仲良くなれない同居猫がいる場合など、ごく稀にしかみられません。
猫同士がじゃれあいをする理由
前述の通り、室内で多頭飼育をしている時にみられる猫同士の攻撃行動のほとんどは、ケンカではなく遊びによるじゃれあいです。
特に子猫時代は頻繁に子猫同士でじゃれあいを行い、この遊びを通して猫同士のコミュニケーション作法を学んだり、狩の仕方を学習したりするといわれています。
ただし、飼い猫は自立する必要がなく、常に親同然の飼い主さんが身近にいるため、いつまでも子猫気分でいます。そのため、じゃれあいは子猫時代に限定される行動ではありません。
じゃれあいとケンカの見分け方
1.唸り声をあげる
子猫たちは、じゃれあいながら猫同士のコミュニケーション作法を学習していきます。
そのため、じゃれあいながら威嚇のために「シャーッ」という声を出したり、しっぽや全身の毛を逆立てて自分を大きく見せようとする行動も見せますが、あまり低い唸り声を出すことはないようです。
そのため、攻撃する前に低い唸り声を何度も出すようであれば、じゃれあいではなく本気のケンカに発展している可能性があるでしょう。
2.攻撃された猫が悲鳴をあげる
じゃれあって噛み付いた場合、噛まれた方が悲鳴をあげると「これは力のいれすぎだ」と学習し、それ以上強くは噛みません。
しかし、噛まれた猫が何度も悲鳴をあげるようであれば、じゃれあいではなく本気のケンカに発展している可能性が高いでしょう。
3.片方が降参しても収まらない
猫は必要以上の争いを好みません。そのため、大抵の場合は片方が耳を倒してお腹を見せるといった降参のサインを見せると、優勢に立っていた猫は攻撃をやめます。
しかし身を守るための真剣なケンカの場合、相手が降参のサインを出してもケンカをやめず、執拗に攻撃し続ける場合があります。このような様子が見られた場合は、本気のケンカである可能性が極めて高いでしょう。
4.ケガをする
どちらかの猫、または双方の猫がケガをして血を流しているような場合は、確実にケンカであると考えて良いでしょう。これ以上エスカレートする前に、飼い主さんが救出の手を差し伸べる必要があります。
じゃれあいが激しくなった場合の仲介方法
特に子猫時代のじゃれあいは、コミュニケーション作法の学習中であることもあり、猫たちの様子からじゃれあいなのか本気のケンカなのかを判断することが難しいケースが多いです。
しかし、両者の行動をよく観察し、じゃれあいではなさそうだと判断したら、猫がケガをする前に引き離す必要があります。
一つの行動を判断基準にするのではなく、複数の行動から判断することが望ましいですが、噛みつかれた猫が複数回悲鳴のような声をあげた場合や、降参のサインを見せても相手側が攻撃をやめないような場合は、仲介のタイミングだと判断して良いでしょう。
仲介する際に気をつけたいのは、興奮している猫が仲介する飼い主さんにケガをさせてしまうことです。
直接手を出すと、引っ掻かれたり噛みつかれたりすることが多いので、猫の近くで大きな音を立てる、霧吹きのようなものを使って水をかけるといった方法で、猫を驚かせてケンカから気を逸らせる方法がおすすめです。
猫がケンカを止めたら、うまく両者を引き離して別々の部屋やケージに入れ、クールダウンさせましょう。なお、万が一猫に手を噛まれたり引っ掻かれたりした場合、手を引っ込めないようにしましょう。余計に傷が深くなってしまいます。
まとめ
室内で多頭飼育をしている場合、猫たちが本気でケンカをするケースはほとんどありません。
多少激しく見えても、じゃれあっていることがほとんどです。本気のケンカをするのは、新しい猫を迎え入れた時や、どうしても仲良くなれない同居猫がいる場合が多いです。
新しい猫を迎え入れる場合はいきなり対面させず、最初は先住猫に新しい猫のニオイが染み付いているモノを嗅がせるところから始め、時間をかけてゆっくり引き合わせて慣れさせましょう。
また、どうしても仲良くなれない同居猫がいる場合は、生活空間を分けてしまい、お互いが接触することのないようにするという暮らし方も検討してみましょう。猫の行動診療に詳しい獣医師が身近にいる場合は、相談してみるのも良いでしょう。
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