猫の「膵炎」が危険と言われる理由
「膵炎」とは、膵臓に炎症が起きている状態です。
炎症が起きているのでわかりやすい症状があらわれるように思うかもしれませんが、膵臓は病気になっても目立った症状がでません。病気が静かに進行するので「沈黙の臓器」と呼ばれています。
膵炎への対応が遅れると、全身の炎症につながったり、膵臓の機能が元に戻らなかったりします。やがて多臓器不全になり、命に関わる状態になることもある病気です。
猫が膵炎になると、胆肝と腸に炎症が波及する「三臓器炎」を起こすことがあります。この3つの隣接した臓器のうち1つが炎症を起こすと、他の2つの臓器に炎症が広がり、三臓器炎になりやすいのです。
猫の「膵炎」の症状
猫の膵炎の多くが「慢性膵炎」といわれています。
猫が慢性膵炎になると、以下の症状があらわれます。
- 元気がなくなる
- 食欲がなくなる
- 体重減少
- 嘔吐
- 下痢
どの病気でもみられる症状が多くさらに、これらは飼い主さんが病気だと気づきにくい症状であり、猫によってはこれらの症状がみられない場合もあります。
一方「急性膵炎」の場合は、激しい「嘔吐」「下痢」、「丸くなる」「触られるのを嫌がる」というような症状がみられる場合があります。
重症化すると腹膜炎、多臓器不全、腎不全などが引き起こされることがあります。
猫の「膵炎」の治療
猫の膵炎には特効薬がなく、対症療法が行われます。他の病気を併発している場合はその治療も行います。
食欲不振から絶食が長期間続くと「肝リピドーシス」という肝臓がうまく機能しなくなる状態になるため、フードを食べさせたり胃につないだチューブから流動食を流したりすることがあります。
猫の「膵炎」の予防法
猫の膵炎の原因は、はっきりと分かっていません。
細菌感染、寄生虫、ウイルス感染、薬物、食事などが原因としてあげられているため、適切な食事や運動で健康維持をしたり、脱走防止やワクチン接種で感染症を防いだりすることが膵炎の予防につながると考えられています。
また、高い場所からの落下や事故で腹部に大きな衝撃が加わることで膵炎が起こる場合もあるので、転落のおそれがないような部屋作りも大切です。
まとめ
今回は、猫の「膵炎」について解説しました。
膵臓は「沈黙の臓器」と呼ばれていて、猫が「膵炎」になっても症状が、元気がない、下痢、嘔吐などで、飼い主さんが病気だと気づきにくいという特徴があります。
食事や運動、ワクチン接種など基本的な健康管理が膵炎の予防につながります。
猫が普段と違う様子がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。
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