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慢性腎臓病の猫に効果的な、新しい治療方法が? 米国の大学で臨床試験が続く


猫に多い「慢性腎臓病」

横たわる高齢の猫

写真はイメージです

テキサスA&M大学の獣医学部・生物医学科学部が現在行っている猫の「慢性腎臓病」(CKD)に関する新しい研究成果は、猫の飼い主にとって希望が持てる内容です。

猫の腎臓病の中ではCKDがもっとも多く、この病気にかかった場合は症状が出てから数年しか生きられないため、飼い主にとっては病気の中でもストレスの大きいものです。しかもゆっくりと進行していき、徐々に生活の質が悪化していきます。

腎臓病「ステージ2」から「ステージ4」までの猫を対象としたテキサスA&M大学の研究では、粉末状の物質「Porus One」を猫に与え、腸管から毒素を吸引し、血液に回らないようにする臨床試験が行われました。この粉末は口から摂取しますが、医薬品ではなくサプリメントに分類されます。

体内の毒物を排出させる効果が

猫の腎臓を描いたイラスト

写真はイメージです

「Porus One」の粒子は複雑なトンネル状をしています。試験ではこの物質を猫に摂取させますが、「猫には消化・吸収されません。そのまま体内の毒素を吸い取って、排泄されるのです」と、この研究に携わる同大学のAudrey Cook教授は語ります。

同様の製品は人間の腎臓病の治療にも使われていますが、猫への効果についてはこれまで知られていませんでした。

今回の試験に参加した14歳のトラ猫Kobe(神戸牛にちなんでつけられた名前だとか)は昨年夏、慢性腎臓病と診断されました。

「高齢の猫にはよく腎臓病が見られます。だからKobeを診ている獣医も、ふだんから血液検査をして注意していましたが、ある日、ステージ2の腎臓病だとわかったのです。ちょうどわたしはこの大学の消化器検査室に勤務していたので、臨床試験のことを知りました」と飼い主のGabrielle Sakelさんは語ります。

Kobeの診断が比較的早期だったことと、今回の臨床試験に参加できたことによって、健康状態が改善してきているといいます。以前より活動的になり、走ったりジャンプしたりするようになりました。試験への参加は終了しましたが、Kobeは引き続きPorus Oneを摂取していく予定です。

より多くの猫に臨床試験を

眠そうな猫

写真はイメージです

「慢性腎臓病の猫は腎臓のろ過機能が働かないので、体内から毒素を排出することができず、血液に毒素が入り込んでしまうのです。毒素の一部は腸管で生成されますが、これが血流に吸収されると、体調が悪化し病気も進行します。Porus Oneがこの悪循環を断ち切ることを期待しています」とCook教授は話しています。

Cook教授と共同研究者のGenna Atiee助教は、さらに多くの猫について試験を行いたいと考えています。

「CKDは猫の死因のトップです。なんとか進行を遅らせ、快適に生活できるようにさせてあげたいのです。そのため、慢性腎臓病を患う7歳以上の猫に試験に参加してほしいと思っています」

愛猫がいつまでも元気でいてほしい…と願う飼い主には、期待の持てる臨床試験ですね。

出典:Cat with chronic kidney disease finds renewed energy from clinical trial


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