英国政府が法案を支持
英国政府は、イングランドと北アイルランド地域で「犬や猫を盗む行為」を犯罪として規定する法案を支持しています。
「ペット誘拐罪」を創設する法案は、2024年1月19日に全会一致で下院を通過しました。法律が制定されると、有罪者に罰金または最高5年の懲役が科される可能性があります。
今後さらに審議されますが、政府の支援を受けているため、法案が成立する可能性は高いといえます。
現在ペットは法律上「財産」とみなされており、ペットを盗むと1968年に制定された「窃盗法」によって罪に問われます。これはスコットランドでも同様です。
政府は2021年に「犬の誘拐は刑事犯罪として扱う」と公約していましたが、まだ実現できていません。というのも、動物福祉法改正案が2023年5月に閣僚の手で廃案とされていたからです。
これには動物愛護活動家らが強く反発しました。そこで政府は「議員立法などの形で、同様の措置を実現したい」と約束していました。
愛猫が行方不明に!
そもそもこの問題は、コロナ禍で犬が盗まれる事件が多発したため、新たに組織されたペット盗難対策本部が「法の整備が必要である」と勧告したことがきっかけでした。
今回の「ペット誘拐」法案は、保守党のAnna Firth議員が提案しています。彼女は「ペットを盗んでも、現行法では訴追される可能性が低いため、リスクが低くて成功報酬の高い犯罪なのです」と話しています。
「ペットは家族の一員です。盗まれた電動工具やノート・パソコンと同じように扱うことはできません」と同議員。
ノーフォーク地方に住むToni Clarkeさんが飼っていたシャム猫「Cloony」は、2013年にいなくなりました。ふだん屋外に出ない猫なので、だれかに銃撃されたのではないかと心配しています。追跡訓練を受けた犬でさえも、この猫の足取りを嗅ぎ分けることができませんでした。
当時Toniさんは警察に「失踪ペット」として届け出ましたが、警察は関心を持ってくれませんでした。2018年になって、この猫のマイクロチップ情報が2ヵ所の動物病院でスキャンされていたことが判明しましたが、どちらもToniさんに連絡してくれませんでした。
「決してあきらめません。全国中を探し続けます」という彼女。猫が生きていれば14歳になっているはずです。
増え続ける猫の盗難
Toniさんはまた、猫の盗難を警察がもっと真剣に受け止めるよう運動を続けています。
彼女が所属する団体「Pet Theft Awareness」は、ペットをモノではなく「価値のある生きた所有物」と規定するための法改正と、ペット窃盗について懲役刑の導入を求めてロビー活動を続けています。
加えて、盗まれたり行方不明になったりしたペットが飼い主と再会できるよう、マイクロチップ情報のスキャンを義務化することも求めています。
上記団体のレポートによると、2021年に警察に届け出のあった猫の盗難件数は前年比で40%増加し、2015年と比較すると4倍以上に増えています。しかも警察署によっては犯罪として記録していない例もあるため、実際の数字はさらに多いといいます。
犬も猫も大事な家族
動物保護団体「Cats Protection」のAnnabel Berdy主席担当官も、「猫を対象とした新たな刑事犯罪の認定は重要だ」と同意しています。
「誘拐罪を犬の場合だけに適用すると、虐待や販売のためにペットを盗もうとする犯罪者は、猫を集中的に狙ってきます。法の適用は、猫も含めることが必要です。それに犬の飼い主と同様に、猫の飼い主も深い愛情と感情的なつながりをペットに抱いています。そのことを法律上もしっかり認めるべきです」と彼女は話します。
自身も猫と暮らしているというRebecca Pow環境大臣は、国会議員を前に「政府はこの法案を支持します。法案が迅速に進展して成立することを期待しています。ペットは基本的に家族の一員なのですから」と表明しています。
議員立法の成立は通常は難しいのですが、今回は政府の支持が確保できたので可能性が高いといえます。法案が成立するには、総選挙が実施される前に、委員会審議をへて上下両院で可決される必要があります。
出典:Cat and dog theft set to be made criminal offence
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