猫が大好き、というみなさん、ちょっと冷静になって考えてみてください。あなたはどうしてそんなにも猫を愛しているのでしょうか?
猫の見た目の美しさ、可愛らしさなら犬だって引けは取りません。猫はあなたのために新聞をとって来る訳でもなく、美味しい卵を産んでくれる訳でもなく、背中に乗せて歩いてくれる訳でもありません。
猫は自宅警備員として暮らしていますが、万が一泥棒が入ったとしても一目散に隠れてしまうはず。ネズミを駆逐することで猫が大事にされたのは昔の話。今の猫は、人を下僕扱いして生きている「優雅な居候」です。
そして何より怖いのが、「猫は飼い主を愛していないかも知れない」という疑惑。こんなに尽くしていても、猫が求めるものは友情ではなく「居心地の良い場所」であり、愛情ではなく「豊富なタンパク質」だ、という意見もあります。
動物学者であるジョン・ブラッドショーは自分の著書『猫的感覚:動物行動学が教える猫の心理』(早川書房)のなかで、
「人間との愛情こもった関係は、ほとんどの猫にとって主要な生きがいにはなっていない。」
と断言していました。
猫とコミュニケーションを取りたい人間にとって、猫の行動はとても気になります。
よく猫がやっている行動、それは飼い主への愛情表現なのかどうか、調べてみました。
■飼い主が帰って来るまで出待ちする猫
うちの愛猫も私がお風呂に入っているとドアの外で私を「出待ち」しています。帰宅すると必ず玄関に迎えに来てくれるのは子供たちではなく、四つ足の猫だけ。これを猫の愛情表現と思わない飼い主がいるでしょうか。
この猫の「飼い主が帰って来るまで出待ちする」という行動ですが、群れを好む犬の場合は「大好きな人に早く帰ってきて欲しい」という理由があるのに対し、単独行動を好む猫の場合はもう少し感覚はドライだそう。
「帰ってきて嬉しい」というよりも、「早くご飯を用意して」「トイレ掃除をやって」など、猫にとって必要なことをして欲しいために待っているのだそうです。
あの可愛らしいにゃ~んという鳴き声は、「お帰りなさい」ではなく、「早くご飯を作って」という催促だったのですね。
■体をスリスリして来る猫
毎日毎日体をこすりつけて来る愛猫。よっぽど私が好きなのね…。と感じていましたが、これもどうやら勘違なのでしょうか。
猫のスリスリ行動、人以外にも物にもスリスリします。自分の匂いをつけて安心することが目的ですから、確かに自分が嫌いなものにはスリスリはしないでしょう。
しかし猫のスリスリは、確かに飼い主さんへの愛情表現の場合もありますが、大抵の場合は「おねだりの手段」か「自分の匂いのマーキング」としてスリスリすることが多いそうです。
ただし、同居している猫同士でスリスリするのは、仲良しの証拠。これはお互いの挨拶行動で、自分の匂いを相手につける代わりに、自分の体にも相手の匂いがつくことでコミュニケーションを取っていると言われています。
猫以外にも同居の犬や他の動物にもするそうです。飼い主にするのも仲良しの証拠には違いありません。
■鼻を近づけて「鼻キス」をする猫
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猫に人差し指を突き出すと、ほとんどの猫がクンクンと匂いを嗅ぎにきます。そしてよく猫は鼻を近づけて「鼻キス」をしますよね。
猫との鼻キスは毎日の習慣。うちの愛猫はまるでフランス人のように私の両脇のほっぺたを交互にくっつけてから鼻キスをしてくれます。
これは絶対に飼い主を愛しているからこその行動なのではないでしょうか?
これは確かに当たっているかも知れません。嗅覚が鋭い猫は、嫌いな猫の匂いはクンクンと嗅がないと言います。
好きな相手の匂いだからこそ鼻をくっつけて鼻キスし、もっと知りたい場合は相手のお尻の匂いまで嗅ぐそうです。
猫が匂いを嗅いだ後に変な顔をするのは、「フレーメン現象」というもの。猫は鼻の他に口からフェロモンの匂いを嗅ぐことができるので、あの猫の変顔はあまりの臭さに悶絶しているのではなく、フェロモンの匂いを嗅いでいるのだそうです。
■最後に
いかがですか。猫のこの3つの行動。どれも飼い主さんを愛するからこそやる行動に見えますが、どうやら鼻を近づけて「鼻キス」をするという行動に、特に飼い主への愛情が込められているようです。
安心してください。猫にとって人間は決して「下僕」だけではなかった。猫はちゃんと、飼い主さんを愛しているようです。多分。