猫が必ず毎朝するご挨拶。帰宅後のお約束といえば、飼い主の体に自分の体を擦り付ける行為ですよね。
これは猫同士が出会った時も、猫はお互いの顔や体をこすり付けたり、匂いを嗅ぎ合います。
この猫が自分の匂いを擦り付ける行為、猫の飼育の本には、
「飼い主への愛情表現」
「自分の所有物であることへのアピール」
などと説明されていますが、実はもう一つ、大事な役目があるかも知れません。
猫は自分の縄張り、家の壁や家具、布団やドアにまでドア体をこすり付けます。
猫の臭腺は顔やお尻に集中しています。額や口の周り、顎の下、肛門付近、尻尾、足の裏などから匂いを出すことができます。
身体中を使って身の回りのものに自分の匂いを擦り付けることで、猫は精神的に安定するとも言われています。
よく犬や猫を外に連れ出す時や他の家にもらわれていくときなど、その犬猫の匂いのついた毛布やタオルなどを一緒に持っていくと新しい場所でも落ち着くと言われるのはそのせいかも知れません。
今回は、それ以外の別の目的、猫が自分の匂いを飼い主になすりつける意外な理由についてご紹介しましょう。
■猫が自分の匂いを飼い主になすりつける意外な理由
日本にはたくさんの「猫島」があります。野良猫が外でたくさんの猫と暮らす場合、ごく自然にグループができることがあると言います。
猫は基本的に単独で行動する動物だと考えられていますが、食べ物が豊富にある場合や、子育て中の血縁関係にあるメス猫同士などは、グループになって行動することがよくあるそうです。
猫が数匹ずつグループを作る場合、仲間同士で体を擦り付け合ってお互いの匂いを交換します。
これをグループの猫同士で次々に行うと、そのグループだけの「オリジナルの匂い」が生まれます。
この匂いをグループの猫同士が「お互いにシェア」しあうことで、グループの仲間意識を高め、信頼感を作り上げるのではないか、と考えられているそうです。
ちょうど大学生のサークル活動や、サッカーや野球チームなどがお互い同じTシャツやユニフォームを着て練習や試合に出るように、猫も仲間と「同じ匂い」を共有しあうことで連帯感を作っているのではないでしょうか。
いかがですか。これは「相島」という北部九州の玄界灘に浮かぶ島で200匹以上の野良猫の生態を7年間にわたって観察した理学博士、山根明弘氏が憶測した「猫が自分の匂いを擦りつけたがる理由」です。
あなたの愛猫が、やたらと自分の匂いをあなたに擦り付けようとしている場合、それは愛情はもちろんあるかも知れませんが、あなたのことを
「俺たち仲間だよね!」
とまるで飼い主を猫のように思っているのかも知れませんね。