2004年に発行された「新猫種大図鑑」によると、猫が日本に伝わったのは999年の5月10日。中国の高官が一条天皇に真っ白なメス猫を献上した日だとされています。
その直後に5匹の子猫が京都御所で生まれ、日本では猫は「吉兆」の動物というイメージが定着したそうです。
古代エジプトでは、猫は「神」「豊穣のシンボル」と人々から敬われ、猫を殺した人は死刑、猫が死んだら眉毛を剃って喪に服したとか。
海外でも愛されている猫。しかし国によって猫は「神」になったり「悪魔」になったり。
同じ動物なのに、どうしてこんなにイメージが違うのか不思議です。(犬はどの国でもあまりイメージは変わりませんよね)
今回は、国によってイメージが違う、猫の歴史や伝説について調べてみました。
■イスラムと猫
古代ペルシャでは、ライオンのくしゃみから猫が生まれた、という伝説があるそうです。イスラムの預言者マホメットは大の猫好きで有名です。
1日の終わり、ふと見ると愛猫が自分の長い袖の上で寝ているのを見て、愛する猫を起こさないように袖を切り落としたというエピソードもあるほどです。
そのせいか、今でもどのモスクでも猫は出入り自由となっているそうです。
■仏教と猫
ブッダが亡くなった時、すべての動物は遺体を囲んで泣いたのに、猫と蛇だけは泣かなかった、という伝説が残されています。
しかし中国の初期の仏教では猫の静かな態度に敬意を払い、暗闇でも目が見えることで悪霊を祓うことができる動物として大切にされたそうです。
タイではロイヤル・ファミリーのメンバーが埋葬されるときは猫が一緒に埋葬される慣例があったとか。1920年までは新国王の戴冠式の行列に猫も加えられていたそうです。
■イギリスの猫
イギリスでは黒猫は縁起が良い動物とされ、黒猫が人間の前を横切ると幸運が訪れるという迷信までありました。
しかしそれは黒猫は悪魔を手を結んでいると考えられており、その悪魔の使いの黒猫が人を傷つけることなく通り過ぎたからだ、という理由からです。
キリスト教の初期の時代は猫を悪と関連づけたために、多くの猫が虐待されました。ハンガリーでは猫が生まれたときは皮膚に十字の彫り込みをしないと7歳から12歳の間に猫が魔女に返信するという迷信まであったそうです。
いかがですか。猫のミステリアスな性格から「神」になったり「悪魔」と迫害されたり。こんなに両極端にイメージをもたれる動物も珍しいのではないでしょうか。
猫は日本では「招き猫」に代表されるように幸運のシンボルですが、大昔のヨーロッパではハロウィーンや復活祭の時は猫を火あぶりにして捧げることもあったそうです。
今では世界中で愛されている猫。悲しい歴史を乗り越えて今の地位を築いたようです。これからはもっと大事にしてあげたいですね。