悪気がなくても起こってしまうのがペットのトラブル。平成17年にいわゆる「動物愛護管理法」が大改正され、ペットを取り巻く環境が変わりつつあります。
最近の猫ブームもそうですが、今や「15歳以下の子供の数」よりも「飼育されるペットの数」の方が多いのが日本の現状です。(1994年時点で計約1,522万匹だった犬と猫の飼育数は、2008年時点でおよそ2,399万匹にまで増加、15歳未満の人口の約1,725万人を超えました。)
「子供同然」「可愛いペットのためならなんでもする」という飼い主も増えているはず。「たかがペット」という意見はもはや少数派かも知れません。
今回は万が一の場合に備えて、ありがちな【ペットのトラブル対処法】についてご紹介しましょう。
■預けた猫が脱走してしまった
よくある猫の脱走。旅行に行くために預けたペットホテルから猫が脱走した、という場合、これは民法上「寄託契約」に当たります。まずあなたはホテル側に「ペットを探しだす請求」ができます。
捜索してもペットが見つからない場合、
・ペット自身の交換価値
・捜索にかかった費用(チラシの印刷代や人件費など)
・慰謝料
などを損害賠償として請求できます。しかし猫を無償で親しい友人などに預けた場合は「無償寄託」となり、預かった人が自分同様のペットのように注意していたのに猫が逃げてしまった場合は注意義務違反を認めることができないため、賠償請求するのは難しいでしょう。
■トリマーにお願いしたら全く違うカットになった
出典
愛猫をトリマーにお願いしたところ、イメージとは全然違う仕上がりになった。それでも代金を払うべきでしょうか?
この場合、注文の仕方で変わってきます。「短くして」「可愛くして」というお互いのイメージが違うかも知れない曖昧な注文の場合は代金は支払わなければならないでしょう。
しかし写真など具体的なモノを持参して「これと同じカットで」と頼んだ場合は、トリマーが承諾してカットしたのなら、飼い主が納得がいくようにカットを修正する義務が生じます。もし修正も不可能で、全く違う仕上がりになったとしたら、民法635条による「契約の解除」に当たるのでカット代は支払わなくても良いでしょう。
■子供が近所の猫に怪我をさせた
人は他人のペットを故意に傷つけた場合は不法行為責任(民法709条)により、ペットの飼い主に損害を賠償しなければいけません。
しかし相手が子供の場合、責任能力があるかどうかで判断は異なります。裁判例によって判例はまちまちですが、大体子供が12歳程度であれば、責任能力があるとされ、親は自分の子供の監督義務を怠ったとして義務違反に問われるかも知れません。
子供が責任を負う場合でも、子供には支払い能力がない場合が普通です。親の監督義務違反と被害の間に因果関係が証明された時は、親が不法行為責任を問われることになります。
たかが猫、と言えない世の中。嬉しい反面、飼い主としての責任もしっかり果たす必要もありそうですね。