ハトの寿命は、飼育下でも20年前後とされています。
ところがアメリカで暮らしていた白いハト「シュガー(Sugar)」は、その倍以上となる44歳まで生き、「飼育下で世界最高齢のハト」としてギネス世界記録に認定されました。
しかし、その栄誉からわずか数日後、シュガーは静かに旅立ちます。
この物語は2026年4月、Guinness World Recordsの公式記事として紹介され、多くの人々の心を動かしました。
目次
- 44歳まで生きた白いハト「シュガー」
- ギネス認定直後に訪れた別れ
44歳まで生きた白いハト「シュガー」
シュガーは1981年6月23日、デュウェイン・オレンダー(Dewayne Orender)さんのもとで生まれた白いハトです。
その始まりは、1970年代の終わり頃にさかのぼります。
デュウェインさんは知人から、マジックショーで使われていたオスのハトを譲り受けました。
彼はそのハトを「ルーサー」と名付け、さらにペットショップで購入したメスのハト「ギジェット」と一緒に飼い始めます。
数週間後、ケージの中に2つの卵が現れ、それぞれヒナが誕生します。
そのうちの1羽が、後に世界記録保持者となるシュガーでした。
もう1羽の「ゴールディ」は別の家庭へ引き取られましたが、シュガーはデュウェインさんのもとで暮らし続けます。
デュウェインさんはその後もしばらくハトを育て、多い時には4つのケージで8羽を飼育していたそうです。
やがて多くのハトは知人などへ譲られましたが、シュガーだけは長くデュウェインさんのそばに残りました。
2人の関係は、単なる飼い主とペットという言葉では収まりきらないものでした。
毎朝9時になると、デュウェインさんは鳥かごの布を外し、シュガーを起こします。
朝食を済ませると、2人は一緒にソファへ移動。テレビ番組を見るのが日課でした。
特に音楽が大好きだったシュガーは、歌が流れると足でリズムを刻んでいたそうです。
デュウェインさんは50年以上音楽活動を続けるミュージシャンでもあり、シュガーは彼のミュージックビデオにも登場しています。
また、シュガーはデュウェインさんの膝の上に乗るのが大好きだったため、彼は愛情を込めてシュガーを「lap dog(膝の上の犬)」と呼んでいました。
こうした生活を40年以上も続けた結果、シュガーは2025年9月4日、「44歳72日」で“飼育下で世界最高齢のハト”としてギネス世界記録に認定されます。
それまでの記録保持者は、ドイツのハト「メトセラ(Methuselah)」で、29歳6カ月でした。
シュガーはその記録を15年以上も更新したことになります。
しかし、この奇跡のような記録の直後、突然の別れが訪れます。
ギネス認定直後に訪れた別れ
ギネス認定後の報道によると、シュガーは2026年4月5日に静かに旅立ったとされています。
ギネス公式サイトで特集記事が公開された、わずか数日後のことでした。
シュガーは6月に45歳の誕生日を迎える予定で、デュウェインさんもその日を楽しみにしていたといいます。
長年連れ添った2人の結びつきは、非常に深いものでした。
デュウェインさんが病院に入院した際、シュガーはほとんど食事を取らなくなったことがあります。
また、レコーディングのため外出した時にも、ケージの床にうずくまり、元気を失ってしまったそうです。
しかしデュウェインさんが帰宅すると、再び元気に食べ始めました。
さらにデュウェインさんは、コメント欄でシュガーのくちばしを年に4〜5回、必要に応じて獣医師に整えてもらっていたことも明かしています。
処置中に一度気を失ったこともあったそうですが、デュウェインさんはその場でシュガーを見守っていたといいます。
こうしたエピソードからも、2人がどれほど長い時間を共に過ごしてきたかが伝わってきます。
デュウェインさんは、シュガーを「授かることのできなかった息子のように大切にしてきた」と語っています。
また、シュガーを失った悲しみについて「人生で一番の痛み」と表現しました。
このシュガーのエピソードに対しては、人々から様々なの言葉が寄せられました。
「神様からの贈り物のようだ」「彼はスターになった」「天国へ旅立ったシュガーへ愛を送る」といった声が見られ、多くの人が自身のペットとの思い出を重ね合わせていました。
44年という歳月は、単なる記録ではありません。
それは、ひとりの男性と1羽の小さな鳥が、毎日を分け合ってきた大切な思い出なのです。
参考文献
“My lap dog”: Sugar, a 44-year-old dove, lives the sweet life thanks to caring owner
https://www.guinnessworldrecords.com/news/2026/4/my-lap-dog-sugar-a-44-year-old-dove-lives-the-sweet-life-thanks-to-caring-owner
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部
