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【狂気のマッドサイエンティストか】 周期表コンプリートに燃えた男がプルトニウム密輸で逮捕


2023年8月、オーストラリアのシドニーで、自認する「周期表オタク」のエマニュエル・リデン氏(24歳)がプルトニウムを密輸しようとして逮捕されました。彼は周期表の全元素を収集することを目指しており、プルトニウムがその最後の一つでした。しかし、オーストラリア国内法で厳しく規制されている放射性物質の輸入に違反したとして、最大10年の懲役刑に直面しています。彼の弁護士は、行動が科学的関心から来たもので、安全保障への脅威ではないと弁護。しかし検察は、核物質の取引を容易にする前例を作るべきでないと指摘しています。この事件は科学への情熱と法的規制の重要性を考えさせるものです。

切手や紙幣、キャラクターグッズや漫画、そしてカードまで、好きな物を収集するのは楽しいものです。

「コンプリートするまでやめられない」なんて人もいることでしょう。

でも、もし「最後の一つ」がプルトニウムだったとしたら……?

2023年8月、オーストラリア・シドニーで一人の男性がプルトニウムを密輸しようとして逮捕されるという、驚きの事件が発生しました。

彼の名はエマニュエル・リデン、24歳。自他ともに認める「周期表オタク」であり、周期表を完成させるために法律を越えてしまったのです。

今回は、「マッドサイエンティスト誕生か!?」と世界をざわつかせた珍事件をご紹介します。

目次

  • 周期表をコンプリートしようとした青年が逮捕される
  • プルトニウム輸入で最大10年の懲役刑!?一線を越えたマッドサイエンティストの末路とは

周期表をコンプリートしようとした青年が逮捕される

事件が発覚したのは2023年8月。

オーストラリア税関がシドニー空港で、アメリカから届いた小包をスクリーニングした際に、微量の放射線を検出しました。

これにより、大規模な危険物警報が発令され、オーストラリアの国境警備隊、消防士、警察、救急隊員が現場へ駆けつけるという大事件へと発展しました。

検査の結果、小包の中にはごく微量のプルトニウムが含まれており、送り先はシドニー在住の男性、エマニュエル・リデン氏であることが判明。

直ちに当局によってリデン氏は逮捕されました。

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周期表をコンプリートしようとしてプルトニウムを輸入 / Credit:Canva

調査の中で、リデン氏は周期表にある全元素のコレクションを目指していたと供述。

プルトニウムはその最後の一つであり、ネットオークションを通じてアメリカから取り寄せたとされています。

オーストラリア国家安全保障当局によれば、このプルトニウムは核兵器としての実用性を持たない量だったものの、オーストラリア国内法に基づく厳格な輸入規制に違反していたとのことです。

オーストラリア国内で核関連物質を無許可で輸入することは、最大10年の懲役刑が科される重大犯罪に該当します。

報道では、リデン氏が輸入しようとしたプルトニウムは合法的な所有許可や通関申請が一切なかったとされています。

プルトニウム輸入で最大10年の懲役刑!?一線を越えたマッドサイエンティストの末路とは

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リデン氏側は、収集好きの科学オタクだと主張 / Credit:Canva

プルトニウム(Pu)は原子番号94の人工放射性元素で、原子力発電や核兵器の材料として広く知られています。

自然界にはほとんど存在せず、主にウランの中性子捕獲反応によって生成されます。

非常に高い放射性を持ち、人体に取り込まれると骨や肝臓に蓄積され、長期的な健康リスク(がんなど)を引き起こす可能性があります。

ゆえに国際的にも厳重な管理が必要であり、輸送・保管・所持には特別な許可が必要です。

リデン氏が輸入を試みたプルトニウムは微量でしたが、個人の所有は違法行為となります。

リデン氏の弁護士は公判で、彼の行動が「純粋に科学的関心から来たものであり、国家安全保障に対する脅威ではなかった」として、情状酌量を求めました。

彼は周期表だけでなく、切手や紙幣、硬貨の熱心な収集家でもありました。

一方で検察側は、いかに個人的な趣味であっても、核物質の取引が容易であると誤解されるような前例を作ることは社会的に危険であると主張しています。

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法の一線を越えたマッドサイエンティストは犯罪者である / Credit:Canva

SNSではこの事件をめぐりさまざまな反応が見られました。

「狂気の科学愛」「冗談かと思ったら本当だった」「規制は当然」といったコメントが飛び交い、事件は科学界隈でも話題となっています。

現時点でリデン氏に対する判決は下っておらず、2025年4月11日に裁判所から刑が言い渡される予定です。

彼が夢見た周期表の“コンプリート”は、「犯罪」であり、それが叶うことはありませんでした。

この事件は、科学への情熱と法的規制の間にある線引きがいかに重要かを、私たちに改めて問いかけています。

その一線を越えてしまう人はもはや科学オタクでも科学者でもなく、「マッドサイエンティスト」なのかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Australian “Science Nerd”Trying To Collect Every Element May Be Jailed After Reaching Plutonium
https://www.iflscience.com/australian-science-nerd-trying-to-collect-every-element-may-be-jailed-after-reaching-plutonium-78560

Sydney ‘science nerd’ may face jail for importing plutonium in bid to collect all elements of periodic table
https://www.theguardian.com/australia-news/2025/mar/21/emmanuel-lidden-sydney-science-nerd-importing-plutonium-ntwnfb

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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