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「ぼんやり思考」の仕方は4タイプに分かれると判明


エモリー大学の研究で、ぼんやりとした思考(マインドワンダリング)が4つのタイプに分類されることが明らかになりました。日常的に誰もが体験するこの現象は、意思決定や創造性に役立つことが示唆されています。研究では366名の参加者の思考を自由連想課題を通じて分析し、以下のタイプに分類しました:1)創造的発想に役立つ「マインドワンダリング型」、2)ポジティブな思考に留まる「保護的ポジティブ思考型」、3)ネガティブな体験に囚われる「固着型ネガティブ思考」、4)反復する「強迫的ネガティブ思考」。これらの思考パターンはメンタルヘルスに影響を及ぼし、改善されることで心理的な回復力が高まる可能性があります。

ぼんやり窓の外を見て、物思いにふけっているとき、あなたの頭の中ではどんなことが起こっているでしょうか。

「今日の晩ごはんは何にしよう?」「あの時、別の選択をしていたらどうなっていただろう?」と、考えがあちこちへ飛ぶことは、誰にでも経験があるはずです。

このような自発的に浮かんでくる思考は「マインドワンダリング」とも呼ばれ、日常生活の60%もの時間を占めていることが分かっています。

しかし、この「ぼんやり思考」はすべて同じではなく、4つのタイプに分けられることが米エモリー大学(Emory University)の研究で明らかになりました。

さて、皆さんのぼんやり思考はどのタイプでしょうか?

研究の詳細は2025年2月5日付で心理学雑誌『Communications Psychology』に掲載されています。

目次

  • マインドワンダリングには種類があるのか?
  • ぼんやり思考の4タイプが明らかに

マインドワンダリングには種類があるのか?

私たちの頭の中では、意識的に考えようとしなくても、さまざまな思考が浮かんでは消えていきます。

以前までは、このようなマインドワンダリング的な思考は「ただの雑念」であり、特に大きな役に立つことはないと考えられていました。

しかし近年の研究では、こうした「ぼんやり思考」が意思決定や創造性に重要な役割を果たしている可能性が指摘されています。

例えば、頭の中で自由に思考が飛び交うことで、新しいアイデアが生まれたり、過去の出来事を整理して未来の行動に活かしたりすることができるのです。

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Credit: canva

一方で、この自発的な思考が「ネガティブな方向」に向かうと、嫌な出来事や記憶を反芻(はんすう)して、それに対する苦痛や不安を深めてしまう原因になることもあります。

実際にうつ病や不安障害の人は特定のネガティブな思考に囚われやすい傾向があることが知られています。

しかし、こうした「ぼんやり思考」の中にどのようなタイプがあるのかは、これまで明確に分類されていませんでした。

そこで研究チームは今回、ぼんやり思考のタイプを明らかにするための実験を行いました。

ぼんやり思考の4タイプが明らかに

本研究にはエモリー大学の学部生やオンラインの一般参加者を含む366名が参加し、年齢層は大学生から中年層まで幅広く、性別も多様でした。

実験では「自由連想課題」を用いて、参加者の自発的な思考の流れを分析しています。

自由連想課題とは、最初に提示された単語から直感的に思い浮かんだ単語をつなげていくタスクです。

例えば「配偶者」という単語を提示し、そこから「結婚」や「子供」「幸せ」「離婚」などと連想していきます。

実験では、この自由連想を11回繰り返して、参加者の思考の流れを可視化。

さらに機械学習を用いて、参加者がどんな単語からどんな単語へと移行していったのかを分析し、自由連想のタイプを分類しました。

例えば、ある参加者は「配偶者、家族、愛、ロマンス、本」などポジティブな連想をし、ある参加者は「配偶者、不貞、離婚、裏切り、孤独」といったネガティブな連想をしています。

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Credit: canva

そして分類の結果、自発的な思考は次の4つのタイプに分けられることがわかりました。

1:マインドワンダリング型

・思考が自由に移動し、特定のトピックにとらわれない

・創造的な発想や問題解決に役立つ可能性がある

2:保護的ポジティブ思考型

・楽しかった思い出など、ポジティブな連想や思考にとどまりやすい

・自尊心を高めたり、精神的な健康を維持するのに役立つ

3:固着型ネガティブ思考

・自分の中のネガティブな経験や記憶に囚われて、一度入るとなかなか抜け出せない

・「過去の失敗」を繰り返し思い出し、長時間そこにとどまってしまうなど、ネガティブな内容を反芻(はんすう)し続け、他の考えに切り替えにくい

・うつやストレスにつながる可能性がある

4:強迫的ネガティブ思考

・特定のネガティブなテーマに対して、反射的にすばやく反応したり強く固執してしまい、何度も繰り返し考えてしまう

・例えば「私はミスをしたのではないか?」「忘れ物をしたかも」という不安が何度も湧き上がり、ずっと確認せずにはいられない

・反復的で強迫的な思考パターンと関連する可能性がある

この研究により、「ぼんやり思考」には異なる種類が存在し、それぞれが異なる心理的影響を持つことが明らかになりました。

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Credit: canva

この研究の発見は、私たちのメンタルヘルスにも大きく関係しています。

例えば、「固着型ネガティブ思考」に陥りやすい人は、気づかないうちに自分の思考がストレスや不安を増幅させている可能性があります。

一方で、「保護的ポジティブ思考」の割合を増やすことで、心理的な回復力(レジリエンス)を高めることができるかもしれません。

今後、こうした思考パターンを改善するためのトレーニングや、認知行動療法(CBT)と組み合わせた新しい治療法の開発も期待されます。

次にあなたが「ぼんやり」と考えごとをしているとき、それがどのタイプの思考なのかを意識してみるのも面白いかもしれません。

自分の思考パターンを知ることで、より前向きな人生を送るヒントが見つかる可能性があります。

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参考文献

People’s spontaneous thought patterns fall into four main clusters, study finds
https://medicalxpress.com/news/2025-02-people-spontaneous-thought-patterns-fall.html

元論文

Spontaneous thought separates into clusters of negative, positive, and flexible thinking
https://doi.org/10.1038/s44271-025-00201-0

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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