私たちが待ち望んでいたのは、「飛行機のような車」ではなく、「いつもの車がそのまま空を飛ぶこと」かもしれません。
そんな「空飛ぶ車」は、いつ実現するのでしょうか。
アメリカのスタートアップ企業 Alef Aeronautics は、2025年2月19日、同社が開発した新しいタイプの空飛ぶ車「Model A」の飛行に成功したと発表しました。
この「Model A」は、道路を普通の車のように走行できるだけでなく、垂直に離陸して空を飛ぶことが可能です。
では、この空飛ぶ車はどのように飛行するのでしょうか。
またこの機体は、本当に私たちの理想通りの「空飛ぶ車」だと言えるのでしょうか。
目次
- 空飛ぶ車「Alef Model A」はどうやって飛ぶのか？
- 飛行テストに成功！空飛ぶ車の未来と課題
空飛ぶ車「Alef Model A」はどうやって飛ぶのか？
「Model A」の最大の特徴は、そのユニークな飛行メカニズムです。
従来の「空飛ぶ車」の多くは、飛行機のような翼を持ち、滑走して離陸するスタイルでした。
しかし、「Model A」は VTOL（垂直離着陸）という技術を採用しています。
この技術を可能にしているのは、車体内部に組み込まれた複数のプロペラです。
普段はカバーに覆われていますが、飛行モードに切り替えるとプロペラが作動し、ドローンのように浮上します。
つまり、「Model A」はホバリングも可能な空飛ぶ車なのです。
そして2025年2月19日、運転可能なModel Aの飛行テストが市街地にて実施されました。
Alef Aeronautics社によれば、「Model Aの飛行動画が公開されるのは初めて」とのこと。
飛行テストは、人が近づかないよう道路を封鎖し、スタッフの安全も十分に確保した状態で行われました。
動画では、ドローンのように大きな音を立てながら飛び立つ様子が記録されており、テストは成功しました。
（動画は次項にあります）
飛行テストに成功！空飛ぶ車の未来と課題
Model Aの飛行テストは成功しました。
Alef Aeronautics社は、「Model Aは通常の自動車と同じサイズ・形状なので、所有者は一般の駐車スペースと一般道路を利用できる」と主張しています。
この空飛ぶ車は電気自動車であり、走行距離は約320km、飛行距離は約177kmです。
そしてチームはModel Aの後、別のバージョンであるModel Zを開発する予定であり、こちらは約640kmの走行と約320kmの飛行が可能とのこと。
しかし、実用化に向けては課題も多く残されています。
彼らの主張どおりのことが実現するには、法的な問題をクリアしなければいけません。
空飛ぶ車が一般道で走り、自由に飛行できるようにするための法整備が必要なのです。
インフラの整備も必要であり、離着陸ポイントの設置が重要になるでしょう。
加えて安全性と価格の問題もあり、事故を防ぐための取り組みや、高価な技術を一般向けに提供するためのコストダウンが求められます。
また、Model Aの飛行テストの動画には、「空飛ぶ車ではなく、空飛ぶプラスチックだ」「車の殻を被ったドローンだ」とのコメントが集まっており、実際のクオリティが人々の期待を大きく下回ったようです。
今後、これらの課題を解決して、私たちの望む「空飛ぶ車」が実現することはあるのでしょうか。
渋滞を気にせず空を飛んで通勤する未来を楽しみに待ちたいものです。
参考文献
alef aeronautics’ drivable flying car takes flight for the first time
https://www.designboom.com/technology/alef-aeronautics-drivable-flying-car-takes-flight-first-time-02-20-2025/
Alef Flying Car
https://alef.aero/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部
