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プラスチック容器の弁当は「心不全リスク」を高める可能性


中国の最新研究によると、プラスチック製の容器から溶け出した化学物質が心不全のリスクを高める可能性が示されています。中国国内の調査では、プラスチック容器を頻繁に使用する人々にうっ血性心不全のリスクが高まっていることが確認されました。また、ラットを用いた実験でも、化学物質が腸内環境に影響を与え、心血管系の損傷が示されました。このことから、日常的に用いるプラスチック容器が健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、プラスチック容器で食品を加熱しない、ガラスやステンレス製の容器を使用するなどの対策が推奨されています。

テイクアウトの弁当やコンビニのプラスチック容器に入った食品を日常的に食べている方は多いでしょう。

しかしその利便さの裏には、私たちの健康を脅かす悪影響があるかもしれません。

このほど、中国・寧夏医科大学(Ningxia Medical University)の最新研究で、プラスチック製の容器から溶け出した化学物質が、心不全のリスクを高める可能性があることが明らかになりました。

その原因は何なのでしょうか。

研究の詳細は2024年11月26日付で学術誌『Ecotoxicology and Environmental Safety』に掲載されています。

目次

  • プラスチック容器の弁当は安全なのか?
  • 私たちはどうすればよいのか?

プラスチック容器の弁当は安全なのか?

忙しい日常の中で、テイクアウトの弁当やコンビニ食は手軽で便利な選択肢です。

しかし「プラスチック容器に熱い食べ物を入れると有害物質が溶け出す」という話を聞いたことはないでしょうか?

過去の研究では、プラスチック容器から溶出する化学物質が人体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていました。

例えば、ビスフェノールA(BPA)やフタル酸エステル類(フタレート)などは内分泌かく乱物質として知られ、ホルモンバランスの乱れ発がんリスクの増加が懸念されています。

また、プラスチック容器を電子レンジで加熱すると、1平方センチメートルあたり最大420万個のマイクロプラスチック粒子が食品に溶出するという研究もあります。

今回の研究では、プラスチック容器の使用が直接心臓に影響を及ぼすかどうかが調査されました。

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Credit: canva

究チームは、プラスチック容器の化学物質が心不全のリスクを高めるかどうかを調査するため、2段階に分けた研究を行いました。

その1:人間を対象とした調査

ここでは中国国内の3000人以上を対象に、プラスチック製の容器を使用する頻度と心疾患の発症率を調査しています。

その結果、弁当や食事の器としてプラスチック容器を頻繁に使用する人々の間で、うっ血性心不全のリスクが有意に高くなっていることが判明しました。

うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して血液を全身に送り出せなくなり、血液が滞留する病気です。

息切れやむくみ、倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。

その2:ラットを使った実験

次に、研究者たちはラットを対象とした実験を行いました。

1:プラスチック容器に沸騰したお湯を1分、5分、15分間入れ、それぞれの水を別々のラットに数カ月間飲ませる

2:その後、ラットの腸内細菌叢と糞便中の代謝物を分析し、変化を観察

3:ラットの心筋組織を調べ、損傷がないかを確認

その結果、プラスチック容器から溶出した化学物質を含む水を飲んだラットの腸内環境が大きく変化し、炎症を引き起こす腸内細菌の増加が確認されました。

さらに心筋組織に損傷が見られ、心血管系への影響が示されました。

このことから、プラスチック容器から発生した化学物質が腸内に取り込まれ、腸内細菌のバランスを崩すことで、心不全のリスクを高めていると考えられます。

なお、1分間プラスチック容器に接触した水と、5分・15分間接触した水では、ラットに与えた影響に統計的な差は見られませんでした。

つまり、短時間でもプラスチック容器から有害物質が溶け出す可能性があるということです。

私たちはどうすればよいのか?

この研究では、具体的な消費者向けの推奨事項までは示されていませんが、公衆衛生の専門家は以下のような対策を推奨しています。

・電子レンジでプラスチック容器を加熱しない

・熱い食品を直接プラスチック容器に入れない

・ガラス、木製、ステンレス製の食器や容器をなるべく使うようにする

・テイクアウトの際は、自分で持参したガラス容器を使うか、帰宅後すぐに食品を移し替える

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Credit: canva

テイクアウトやコンビニ食を完全に避けるのは難しいですし、完全にプラスチック容器の弁当を止める必要もないでしょう。

しかし毎日朝昼晩とプラスチック容器で食事をしているなら、長期的な健康のためにも、プラスチック容器で食事をする機会を減らして損はありません。

普段何気なく使っているプラスチック容器が、将来の健康に影響を与える可能性があると考えると、少し怖いですよね。

しかしちょっとした工夫で、そうした健康リスクを減らすことができます。

プラスチック容器に入ったコンビニ弁当を温めるときは一度他のお皿に移す、テイクアウトする際はプラスチック容器以外のものを持参するなどの方法を試してみるといいかもしれません。

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参考文献

Eating from plastic takeout containers can increase heart failure risk – study
https://www.theguardian.com/us-news/2025/feb/12/plastic-food-containers-heart-failure

元論文

Effects of leachate from disposable plastic takeout containers on the cardiovascular system after thermal contact
https://doi.org/10.1016/j.ecoenv.2024.117383

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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