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【昼寝で頭が冴える】短い睡眠をとると問題解決能力がアップすると判明


米テキサス州立大学の研究で、昼寝が創造的な問題解決能力を向上させる効果があることが明らかになりました。特に、短時間の昼寝中にレム睡眠を経験することで、頭が冴え、類推的転移を助けることが証明されたのです。テキサス州立大学の研究は、18歳から29歳の学生58名を対象に昼寝グループと覚醒グループに分けて行われました。その結果、昼寝をしたグループがターゲット問題をより多く解決でき、特にレム睡眠中の脳波が長かった参加者に顕著な改善が見られました。この背景には、昼寝が記憶力だけでなく、異なる問題の構造的類似性を見つける創造的な力を促進するという要因があると考えられています。一方、休憩前の問題解決能力では両グループに差がなかったことから、仮眠が直接問題解決能力を高める要因であることが示されました。

仕事や勉強で行き詰まったとき、昼寝をするとスッキリすることはありませんか?

実は、その昼寝が単なるリフレッシュ以上の効果をもたらしているかもしれません。

米テキサス州率大学(TSU)の最新研究で、昼寝が問題解決能力を向上させる結果が報告されたのです。

特に夢を見ることが多い「レム睡眠」が創造的な問題解決に役立つことが明らかになりました。

では、なぜ昼寝が問題解決に役立つのか、見ていきましょう。

研究の詳細は2024年11月27日付で学術誌『Journal of Sleep Research』に掲載されています。

目次

  • 昼寝は問題解決能力を高めてくれるか?
  • 昼寝で「頭が冴える」と判明!

昼寝は問題解決能力を高めてくれるか?

私たちは日常生活の中で、さまざまな問題に直面します。

「どうしてもうまくいかない仕事のアイデア」や「解決策が思いつかない数学の問題」など、考えれば考えるほど答えが遠ざかることはありませんか?

このような状況は「類推的転移(analogical transfer)」と呼ばれるプロセスがうまく機能していないことが原因と考えられています。

類推的転移とは、簡単にいえば、今解いている問題のうちに過去に解いた問題や学んだ知識、経験との類似性を見出し、それを新しい問題に応用する能力のことです。

しかし多くの人は目の前の問題の「表面的な違い」にばかり注意が向くため、「根本的な類似性」を見逃してしまいます。

例えば、ある過去の経験が現在の問題と同じ構造を持っていたとしても、その類似性に気づかなければ役に立ちません。

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Credit: canva

この問題を解決する方法として、これまでの研究では「睡眠」が重要な役割を果たすことが示唆されてきました。

特にレム睡眠(REM:急速眼球運動)中に脳が記憶を整理し、異なる情報を結びつけることで創造的な思考が促進される可能性が指摘されています。

しかし、これまでの研究の多くは一晩の睡眠に焦点を当てたものであり、「短時間の昼寝」が問題解決に与える影響については十分に検証されていませんでした。

そこで研究チームは「昼寝が類推転移を向上させるのか?」という疑問を解明するための実験を行いました。

昼寝で「頭が冴える」と判明!

チームは今回、テキサス州立大学の18歳から29歳の学生58名を対象に、昼寝が問題解決能力に与える影響を調査しました。

参加者は「昼寝グループ」と「覚醒グループ」の2つに分けられました。

まず、全員に「ソース問題」と呼ばれる8つの問題を解かせ、その後に提示する正しい解答を記憶するよう指示しました。

ソース問題の解答を記憶させたのは、後でターゲット問題を解く際に、それまでに学んだ知識を適用できるかどうかを評価するためです。

単に問題を解いた経験があるだけではなく、解決策を明確に記憶しているかどうかが、類推的転移の能力にどのように影響を与えるかを検証することが目的でした。

次に、これらの問題と表面的には違うが構造的に類似している「ターゲット問題」を解かせ、ソース問題の知識を活用して解決できるかどうかを検証します。

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Credit: canva

その後、全員が2時間の休憩を取りました。

  • 昼寝グループは、研究室内の静かな部屋で眠り、その間に脳波(EEG)が記録されました。
  • 覚醒グループは、ラボの外で過ごし、眠ることは許されませんでした。

休憩後、参加者は再びターゲット問題に取り組みました。

またソース問題の解答を記憶しているかどうかを確認する記憶テストを実施し、ソース問題とターゲット問題がどの程度類似していると感じたかを評価してもらいました。

その結果、昼寝をしたグループの方がより多くのターゲット問題を解決できることが明らかになったのです。

特に脳波計測からレム睡眠の時間が長かった人ほど、より多くの問題を解決できる傾向が見られました。

この効果は参加者たちの元々の問題解決能力の違いによるものではありません。

というのも休憩前の解答率は両グループで同程度だったからです。

加えて、両グループにはソース問題の解答を記憶する能力に差は見られませんでした。

しかし一方で、昼寝をした参加者はソース問題とターゲット問題の「構造的な類似性」をより正確に認識できるようになっていたのです。

つまり昼寝を取ることで、単なる記憶力の向上ではなく、「異なる問題の共通点を見つける創造的な力」が強化されていたと考えられます。

問題に行き詰まったら「仮眠」がおすすめ

今回の研究により、「昼寝が創造的な問題解決を助ける可能性がある」ことが示されました。

答えが見えない問題に直面することは仕事でもプライベートでも多々あると思います。

そんな時はいつまでも頭を悩ませるのではなく、一度思い切って仮眠をとってみるといいかもしれません。

次にあなたが目覚めたとき、「なんだ、そんな簡単なことだったのか」と意外な解決策や驚きのアイデアが浮かんでいるかもしれません。

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参考文献

A short nap boosts problem-solving by strengthening hidden connections
https://www.psypost.org/a-short-nap-boosts-problem-solving-by-strengthening-hidden-connections/

元論文

An afternoon nap facilitates analogical transfer in creative problem solving
https://doi.org/10.1111/jsr.14419

ライター

千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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