This is the cutest, spikiest, tiniest crab in the world! (Don’t quote us on that—it’s called hyperbole.)
It was found during an operation in the Gulf of Mexico, which collected samples of mesophotic and deep-sea coral species for lab rearing and propagation.
Credit: @sanctuariespic.twitter.com/ObYx2YveHW— NOAA Fisheries (@NOAAFisheries) January 8, 2025
とんでもなく可愛い深海生物が発見されました。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は先日、水深1000メートルの深海から拾い上げたゴミ袋と一緒に、タラバガニの赤ちゃんが回収されたと報告。
タラバガニはゴツゴツした大きな甲羅で知られますが、その赤ちゃん時代は野生下でめったに発見されず、極めて稀少です。
NOAAが赤ちゃんタラバの映像をXにポストしたところ、瞬く間に多くの話題を集め、すでに1000万インプレッション、5万いいね、1万リポストを超えています。
目次
- 水深1000mからゴミと一緒に回収
- まるでポケモンみたいなタラバガニの成長過程!
水深1000mからゴミと一緒に回収
NOAAの研究チームが赤ちゃんタラバを発見したのは2024年8月6日のことです。
当時チームはメキシコ湾で調査活動をしており、「実験室での飼育および繁殖のためのサンゴ標本を採取するのに忙しかった」と話します。
その一環として、深海底から拾い上げたゴミの処理もしていたのですが、水深1060メートルから回収されたプラスチックのゴミ袋と一緒にそれは発見されます。
なんとゴミ袋の側に薄紅色の小さなカニがちょこんと居座っていたのです。
赤ちゃんガニは大人の指先に乗っかるくらいのサイズしかありませんでしたが、一丁前にトゲトゲのスパイクを全身に生やしていました。
調査員はその姿を以下のキャプション付きでXにポストしています。
「これは世界で一番可愛くて、一番トゲがあって、一番小さいカニです!(誇張表現なので、正確には保証できませんが)
このカニはメキシコ湾での作業中に見つかりました。この作業では実験室での飼育や繁殖に利用するために、中深層や深海のサンゴ種のサンプルを採取していました」
This is the cutest, spikiest, tiniest crab in the world! (Don’t quote us on that—it’s called hyperbole.)
It was found during an operation in the Gulf of Mexico, which collected samples of mesophotic and deep-sea coral species for lab rearing and propagation.
Credit: @sanctuariespic.twitter.com/ObYx2YveHW— NOAA Fisheries (@NOAAFisheries) January 8, 2025
チームが調べたところ、この赤ちゃんガニはタラバガニ科の一種である「アガシイバラガニ(学名:Neolithodes agassizii)」の幼体であることが特定されました。
アガシイバラガニは主に、中南米近海の水深200〜2000メートル付近の深海底に生息しているとされます。
では、この小さなアガシイバラガニの赤ちゃんはどのような成長プロセスを辿って、最終的にどんな見た目に変貌するのでしょうか?
まるでポケモンみたいなタラバガニの成長過程!
タラバガニのグループは一般に、メス親が産卵した大量の卵から生活をスタートさせます。
まず、卵から孵化した幼生は「ゾエア(zoea)」と呼ばれ、透明で小さな姿をしています。
ゾエアは海流にのってプカプカと漂いながら、プランクトンなどの自分より小さな微細生物を餌とします。
ゾエア期は数週間ほど続き、その間に脱皮を始めて「グラウコトエ(glaucothoe)」という移行期に入ります。
グラウコトエになると色も赤くなり始め、見た目もよりカニっぽくなります。
グラウコトエも餌を食べながら脱皮を繰り返して、どんどん大きくなっていきます。
その後、グラウコトエ期が終わると、大人と同じ見た目にぐっと近づいた「稚ガニ」となり、深海底での底生生活に入ります。
今回見つかったアガシイバラガニの赤ちゃんはこの稚ガニのステージにいる個体と見られます。
稚ガニの後は餌を食べながらどんどん大きくなって、成体となるのみです。
ただし稚ガニたちは捕食者に狙われやすいので、死亡率が高く、無事に大人になれる個体も限られてきます。
これも稚ガニが野生下で見つかりにくい理由の一つです。
しかしこの期間を乗り越えると、アガシイバラガニは甲長20センチ幅で、全身をイバラのようなトゲトゲ突起でコーティングした厳(いかめ)しい姿へと成長します。
その最終形態がこちらです。
まさにボスガニ感が満載ですね。
このようにタラバガニの成長過程は私たちヒトと違って、赤ちゃん〜子供〜大人になるまでに見た目が大胆に変わるので、まるでポケモンを見ているようでとても面白いものです。
参考文献
Watch A Baby King Crab Steal Your Heart, One Adorable Spike At A Time
https://www.iflscience.com/watch-a-baby-king-crab-steal-your-heart-one-adorable-spike-at-a-time-77598
Viral Video Reveals Cutest Crab Baby: ‘Ridiculous Creature’
https://www.newsweek.com/viral-video-baby-king-crab-noaa-fisheries-social-media-meme-2013287
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部