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好きなポルノジャンルはリア充度と関連していると判明!


ポルノと性的なリアル充実度の意外な関係です。

フランスのケベック大学(UQ)で行われた研究により、好みのポルノジャンルが現実世界の性的満足度や性機能の健康度と関連していることが示されました。

ここでいうジャンルとは「黒髪、高身長、年下」といった登場人物の外見的特徴にかんするジャンルではなく、「恋愛、ロマンス、レイプ、SM」といったシナリオのジャンルのことを指します。

好きなポルノのジャンルが違うだけで、なぜ現実世界の性事情も違ってしまうのでしょうか?

研究内容の詳細は『The Journal of Sex Research』にて「ポルノの内容と若者の性的満足および機能との関連性(Associations Between Contents of Pornography and Sexual Satisfaction and Function Among Young Adults)」とのタイトルで掲載されました。

目次

  • 恋愛ジャンル好きはリア充でレイプジャンル好きは非リア充

恋愛ジャンル好きはリア充でレイプジャンル好きは非リア充

ポルノは多くの成人の性的経験の重要な部分を占めています。

これまでの研究でも、ポルノと性的満足感と性的機能に関してさまざまな結果が示されていました。

たとえば、一部の人々にとって、ポルノの過度な使用は精神をすり減らし、不安やうつ病などの精神健康問題を引き起こす可能性があります。

またポルノに対する依存は、他の興奮剤や依存性物質と同様の脳内報酬システムを活性化させることが示唆されており、依存のしすぎは報酬系に混乱をもたらし、日常生活で小さな喜びを見出せなくなる可能性があります。

一方で、他の研究では、適度なポルノの使用がストレス解消や性的満足の向上に寄与する場合もあります。

また興味深い研究の一つに、ポルノの使用がカップルの性的関係に与える影響を調べた実験があります。

この研究では、ポルノを共に視聴することでカップル間のコミュニケーションが向上し、性的欲望の増加が見られたと報告されています。

しかし、この効果はカップルの初期の性的満足度によって大きく異なり、性的に既に満足しているカップルにはそれほど効果が見られないことも明らかにされました。

さらに、ポルノ使用が自己認識に与える影響に関する研究もあります。

例えば、自分の性的な認識(性癖や性に対する価値観)があやふやだった個人は、ポルノを見ることで自己の性的魅力や能力に対する肯定的な変化を経験することが示されています。

しかしこれらの研究は主にポルノの使用頻度や使用状況に焦点を当ており、ジャンルやカテゴリにかんしては考慮されていませんでした。

ロマンティックで同意に基づく行為から、より攻撃的または非同意のシナリオに至るまで、ポルノには膨大な数の性的テーマがあります。

たとえばリアルな恋愛シチュエーションばかりを視聴している人と、レイプ分野ばかり視聴している人、さらに寝取られものばかり視聴している人では、現実の性事情や性機能に大きな違いが出る可能性があります。

そこで今回、ケベック大学の研究者たちは、ポルノのジャンルと性的な満足度や性機能の健康度の関連性について調べることにしました。

調査に当たっては17歳から30歳までの男女827人が募集され、詳細なポルノ使用習慣、よく視聴するジャンル、現実世界での性的満足度、性的機能が正常かどうかが調べられました。

ここで言う性機能とは、性的欲求や性的興奮、さらにオーガズムが正常に起こるかどうかに関連しています。

加えて研究では自慰頻度についても調べられました。

異性愛の男女のポルノ使用率を調査しました
異性愛の男女のポルノ使用率を調査しました / Credit:川勝康弘

結果、最も人気だったのは恋愛やロマンスをテーマにしたポルノであり、異性愛の男性の83.06%と女性の56.97%がよく視聴するジャンルだと回答しました。

このタイプのコンテンツには通常、親密さ、相互の喜び、感情的なつながりを描いたシナリオが含まれており、ポジティブな性的価値観や期待とより共鳴する可能性があります。

また、複数パートナー(3Pなど4P)のジャンルは、異性愛の男性(78.07%)と女性(45.41%)で視聴されており、男女の差が開きました。

さらに忌避あるいは禁止された行為(近親相関、寝取られ、獣姦など)は、異性愛の男性 (84.05%) に最も好まれていた一方、異性愛の女性 (31.47%) による利用はかなり低いことが示されています。

暴力、支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルは中程度の人気があり、異性愛の男性 (39.20%)、女性 (29.28%) でした。

興味深いことに他の分野に比べて暴力、支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルにおける男女差は最も小さくなっていました。

伝統的に女性はこの手のジャンルを好まないとする考えが主流でしたが、実際には男性に近い割合で女性も暴力や支配のジャンルを利用していることが示されました。

研究者もこの点に注目して驚きを述べています。

しかしより重要だったのは、好みのジャンルが現実世界の性事情と相関している点にありました。

恋愛やロマンスのジャンルは現実世界での性的満足と関連し、暴力や支配のジャンルは現実世界での性的満足の低下と性機能の低下に関連していました
恋愛やロマンスのジャンルは現実世界での性的満足と関連し、暴力や支配のジャンルは現実世界での性的満足の低下と性機能の低下に関連していました / Credit:川勝康弘

特に、恋愛やロマンスをテーマにしたポルノを好む人々は、現実の性的な関係においても高い満足度を報告しています。

これは、これらのジャンルが合意に基づいた快楽を重視し、現実の健全な性的関係と一致しているためと考えられます。

恋愛やロマンスを好む人々が性機能に問題が少ないという事実は、パートナーとの安定した感情的結びつきが性的健康に良い影響を与えることを示唆しています。

一方で、暴力や支配(レイプなど)をテーマにしたジャンルを好む異性愛の男性は、現実の性生活において性的満足度が低く、性機能の低下とも相関していました。

好みのポルノジャンルが現実世界の性的満足度や性機能と密接に関連していることを示すこの結果は、非常に興味深い発見です。

ただ今回の研究は相関関係を示したものの、因果関係までは特定できませんでした。

これはたとえば、レイプものばかり視聴しているから現実で性的満足度が低いのか、現実での性的満足度が低いからレイプものばかりみているのかは断言できないということを示しています。

とはいえ、攻撃的または強制的な性的コンテンツの消費は、性的期待を歪め、通常の性行為に対する感情的反応を鈍らせる可能性があります。

これはパートナーがいる人の場合、セックス中に性的興奮や満足感を得ることを困難にするでしょう。

そのため、どちらが要因っであるにせよ、あまり「SM、レイプ、寝取られ」のような、現実世界で同じシチュエーションを楽しむことが困難なジャンルばかり視聴することは、控えたほうがいいのかもしれません。

研究者たちは今後、被験者たちの心理的特徴を分析することで、好みのポルノジャンルとの関連性をより詳細に調べていきたいと述べています。

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参考文献

New study untangles the links between pornography genres and sexual wellbeing in young adults
https://www.psypost.org/new-study-untangles-the-links-between-pornography-genres-and-sexual-wellbeing-in-young-adults/

元論文

Associations Between Contents of Pornography and Sexual Satisfaction and Function Among Young Adults
https://doi.org/10.1080/00224499.2024.2311874

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

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