多くの食堂やレストランで、注文を取るのは人間ではなく、タッチパネルです。
またファミリーレストランの「ガスト」で働く猫型ロボットが話題となったように、一部のレストランでは、配膳すらロボットが行うようになっています。
そしてついに、完全に全自動化した飲食店が登場することになりました。
2023年12月より、アメリカのカリフォルニア州の都市パサデナに、世界初の完全自動化したファーストフード店「カリエクスプレス・バイ・フリッピー(CaliExpress by Flippy)」がオープンしたのです。
そこでは、注文が入ってからロボットが作る熱々のハンバーガーやポテトを食べることができます。
詳細は、レストランロボット開発会社「Miso Robotics」の12月5日付の『プレスリリース』で確認できます。
目次
- 世界初の完全自動化ファーストフード店が誕生
世界初の完全自動化ファーストフード店が誕生
私たちは、最近のAI・ロボット技術の発展を見て、「いつか人間の仕事はロボットに奪われるかもしれない」と、真剣に考えるようになりました。
そしてついに、調理が簡単なファーストフード店において、その未来予想が実現されたのです。
2023年12月より、完全自動化したサービスフード店「カリエクスプレス・バイ・フリッピー(CaliExpress by Flippy)」がオープンしたのです。
今のところメニューは3点(ハンバーガー、チーズバーガー、フライドポテト)だけですが、タッチパネルで注文すると、すべての工程をロボットが調理して、熱々のハンバーガーを提供してくれます。
ロボットが作ると言っても、それは冷凍食品の工場のようなものではありません。
単に完成品を温めて提供するのではなく、フライドポテトを油で揚げ、ハンバーグを焼くことまでしっかりと店内のロボットが行うのです。
一般的なファーストフード店で従業員が行っている調理を、そのままロボットが行い、出来立てのハンバーガーセットを提供してくれるというわけです。
例えば、ハンバーガーを作るロボットは、注文が入ると、高品質の牛肉(和牛)を挽いてミンチにし、パティを作るところから始めるようです。
そしてそのパティをロボットが上手にひっくり返しながらグリルで焼くのです。
Miso Robotics社の2021年の動画では、既にロボットがグリル上のパティやバンズ、他の食材を見分けている様子を確認できます。
またフライドポテトを作るロボットは、ポテトをフライヤーに投入して調理します。
そしてポテトが十分に揚がると、ロボットアームが、まるで人間のようにバスケットを上下に振って余分な油を切ってくれます。
もちろん、世界初の全自動ファーストフード店とはいえ、人間の従業員が全くいないわけではありません。
最新の紹介動画では、盛り付けの時など調理以外の部分で、人間がいくらか手伝っている様子を確認できます。
それでも基本的には、人間の従業員はロボットの調理をチェックしたり修正したりするために働いており、新しいお店は通常のファーストフード店よりもはるかに少ない人数で運営されます。
Miso Robotics社は、「従業員には平均以上の賃金を支払う」と述べており、このお店で働いてみたい人は多いかもしれませんね。
完全自動化ファーストフード店「カリエクスプレス・バイ・フリッピー」は、2023年12月以来、完全予約制でオープンしており、その後、グランドオープンする予定です。
ロボットたちに一般的なレストランを任せることはまだ難しそうですが、今後ファーストフード店レベルであれば、完全自動化されていく可能性はあるでしょう。
参考文献
Fully autonomous restaurant set to open in Pasadena
https://newatlas.com/technology/miso-robotics-caliexpress-flippy-ai-restaurant/
World’s First Fully Autonomous, AI-Powered Restaurant Opening in Southern California
https://misorobotics.com/newsroom/worlds-first-fully-autonomous-ai-powered-restaurant-opening-in-southern-california/
Miso Robotics
https://misorobotics.com/
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。