猫の瞳孔について
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瞳孔は光を感知して開くまたは閉じるにより、網膜に達する光の量を調整します。カメラでいうと瞳孔は絞りで、網膜はフィルムの役割を果たします。
人間の瞳孔は円形ですが、猫の瞳孔は縦長のスリット状です。夜行性動物はスリット状の瞳孔により、昼間の強い光を遮り、円形の瞳孔よりも瞬時に閉じることができます。
猫の瞳孔が開く状態はどんな気持ちなのか?
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瞳孔が開くのは、光の量の調節だけだなく、気持ちにも関係しています。瞳孔が開くときの気持ちとして、ひとつには不安や恐怖を感じるときがあります。
不安な気持ちや恐怖を感じると、警戒心や緊張した状態になり瞳孔が開くことがあります。
また、怒りや興奮状態がピークとなり威嚇しようと身構えるときにも瞳孔が開くことがあります。アドレナリンがでて、明るい場所にいたとしても興奮しいている場合は瞳孔が開くわけです。
瞳孔が開いているとどんな病気が疑われるか?
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猫の瞳孔は感情によって開く閉じるの変化がありますが、気持ちに影響されずに、瞳孔が開いたままの状態であるなら何らかの異常が考えられます。隠れた病気のサインを見落とすことがないようにしましょう。
猫の瞳孔が開いているときの状態を散瞳といいます。
その際に疑われる病気は、緑内障、高血圧、腎不全、甲状腺機能亢進症、網膜剥離、網膜変性症、眼底出血、白内障などをわずらっている可能性があります。
各病気の特徴
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緑内障は、目の中の眼圧が上がってしまって視覚障害を引き起こします。本来眼圧は眼房水が排出されて一定に保たれていますが、何かの原因で眼房水が循環せずにたまると眼圧が高くなって緑内障になります。悪化すると失明することもある病気です。
網膜変性症は、網膜が変性して次第に視力が失われる病気です。先天性と後天性があり、失明に至りかねない病気です。
白内障は水晶体が白く濁ってしまう病気で、進行すると緑内障を併発する危険もあります。
腎不全は、猫に多い病気のひとつで、腎臓の組織が徐々に破壊されてゆく病気です。腎臓の機能が失われ、尿毒症という致命的な病気になる危険があります。また腎不全は、高血圧や網膜剥離、眼底出血の原因にもなります。10歳以上の高齢の猫に多い病気の甲状腺機能亢進症です。これは甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる病気です。甲状腺に腫瘍ができたり、過剰に形成されたりすることが原因で、落ち着きがなくなったり、急に食欲が増したりすることがあります。遺伝によるものが多い網膜変性症も疑われます。この病気が怖いのは、かなり進行してからでないと病気に気付かないケースが多いという点です。
病気の程度もいろいろですが、網膜変性症が進行すると、夜間にものを見づらそうにしたり、動きのあるものについてゆけなくなったり、触られることにおびえたりします。失明してしまうと、大きめの物や壁際に沿って歩いたり、うずくまったりして活動的ではなくなります。
特に高齢の猫の場合は十分注意する必要があります。こうした病気が引き金となって、直接寿命に影響してしまうこともあり得ます。
瞳孔が開くことに関係する病気を予防する
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どうしても進行を抑えることができない病気もありますが、栄養が不足して病気になる場合もあります。それで、日ごろから栄養のバランスをよく考えて猫に食餌を与えましょう。内容を吟味した質のよいキャットフードを選択できます。目に関わる病気や腎臓へ影響して発症する病気もあるので、定期的な健康診断も受けることで、病気の早期発見や予防に努めることもできます。
ことわざにもある猫の目は、目まぐるしく変化します。瞳孔が開くときには、気持ちだけでなく、病気が原因することもあります。普段からよく観察して猫の健康に注意を払いましょう。