犬の献血の必要性
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犬でも病気や怪我をして出血が多くなった場合には、輸血が必要となることもあります。
ですが、公的な血液バンクがないので、血液が足りなくなるというリスクを避けるために各動物病院で輸血用の血液を用意しておく必要があります。
ただ、血液は長期保存がきかないものなので、常に一定量の血液を確保する為には、献血ドナーや供血犬の存在が不可欠となってきます。
また、献血をする際には安全第一に考えられているので、リスクは少ないといえます。
供血犬
供血犬とは、採血をするための犬の事で、動物病院ではこういった犬種がいて輸血が必要になった時には、供血犬からの輸血を行います。
また、供血犬がいない場合には、献血ドナーから定期的な採血をする必要があります。
供血犬は、基本的に多くの量を採血できる大型犬がなる場合が多く、ほとんどが複数いる場合が多い傾向です。
1度採血をすると、3~4週間は採血ができない為に、どうしても複数いる事が必要となります。
ただ、動物愛護の観点から批判される場合もありますが、ドナーは飼い主や家族の善意によるものなので、獣医療の観点からは必要不可欠な存在といえます。
犬の血液型
人と同じく血液型が存在します。
ただ、人のようにA・B・AB・O型のABO式ではなく、犬ではDEA式という方法で分類され、13種類の血液型があります。ただ、日本では9種類の血液型が認められています。
また、特徴としてはいくつかの血液型を併存しているので、リスクがないといえます。
さらに、人のように血液型が合わないと輸血できないわけではないので、輸血自体は難しいわけではありません。
1回目の輸血では、殆どが拒絶反応も起きない事も、犬の輸血のメリットといえます。
ただ、2回目以降は拒絶反応が出る場合もあるので、1回目に血液型の検査や適合するかどうかのクロスマッチ検査を行う必要はあります。
献血ドナーになれる犬の条件
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どんな犬でも献血ドナーになれるわけではありません。動物病院によって少し違いはありますが、いくつか条件があります。
献血ドナーになれる犬としては、以下の条件があります。
- 1~7歳の犬種
- 交配経験がないオスや妊娠出産を経験していないメス
- 体重が10㎏以上の中型犬以上の犬種
- フィラリア予防やワクチン接種済みの犬種、ノミやダニの予防をしている犬種、
- 麻酔をかけずに採血できる温厚な性格の犬種
犬は、人のようにおとなしく採血をしてくれるわけではないので、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーのようにおとなしい犬種がいいとされています。
また、中型犬や小型犬でも献血はできますが、より多くの血液を抜ける大型犬や超大型犬が望ましいとされます。
ドナーになれない犬種も存在します。上記の条件を満たしていなければ、基本的にはドナーになる事はありませんが、それ以外にもドナーになれない犬種というのは存在します。
日本犬の1つである秋田犬は、上記の条件を満たしてもなれないとされます。
その理由は、秋田犬には赤血球内のカリウム濃度が他の犬種よりも濃い為に、適しません。
また、輸血経験がある犬もできません。さらに、過去に血液で感染する病気に罹ったことがある犬や疑いがある犬も伝染を予防する為にもなれません。
病気としては、全身性の感染性皮膚疾患になっている犬も適しません。
ドナーの登録の方法
まずは、ドナーを募集している動物病院へ連絡を入れて、予約を入れます。
また、かかりつけの動物病院でドナーになる場合には、獣医師にドナーになる事を伝えましょう。
献血をする当日は、身体検査と血液検査を行い、採血ができる体調かどうかを検査を行います。
採血が終わると、獣医師が体調の変化がないかを確認して、問題がなければそのまま帰宅となります。
これで、登録は終わりです。
その後、年に2回ほどの採血を行い、緊急時には連絡が来ることもあります。
また、動物病院によってはその後に異常が出ていないかの確認やお礼として、ドッグフードやドッグタグなどをもらえる場合もあります。
ドナーになって抜かれる血液の量
犬の献血のドナーになって血液を抜く場合は、体重によって変わってきます。
人同様に体内の1/3の血液が失われると、命のリスクが生じます。
なので、全血液の1/4ほどの血液を採血します。大体200~400㎖の血液を抜き、時間は15~30分ほどかかります。
採血は時間がかかるので、温厚なタイプの犬種がベストとされます。
ドナーになる事のリスク
輸血自体にはリスクがありますが、ドナーになる事にリスク自体はありません。
基本的に血液を抜かれるだけなので、リスクと呼べるものが起こる可能性はありません。
また、動物病院での採血となるので、リスクとなる事はありません。
ただ、採血後に体調が崩れる場合もありますが、ほとんど起こらないので、リスクと呼べるものではありません。
リスクがあるとすれば、犬にとってストレスになる事もあります。
なので、その犬にとってストレスが過剰にかかっている場合には献血をしないという選択肢もあります。