犬は仮病を使うのか
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仮病とは「病気でないのに病気のふりをする」ことです。学校や仕事をさぼるために使ったことがある人もいるのではないでしょうか?
犬の場合、この仮病の定義と少し異なりますが、確かに仮病を使います。どこが違うかというと、犬の場合は「病気のふりをしよう」「具合が悪いと思われたい」とは考えていません。
ただ脚を引きずって歩いたり、痛いふりをしたり、食事を食べなかったり、具合が悪い時に現れる症状と同じことを健康な時に意図的にすることがあります。犬からしたら病気のふりではなく、目的を果たすために特定の仕草、もしくは行動をしているだけなのです。
しかし、飼い主さんからすると病気の症状にしか見えず、怪我や体調不良を疑ってしまう犬の行動なので、ある意味で仮病といえます。
犬が仮病を使う理由
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犬は、どんな目的を果たすために怪我や病気の時の症状を真似るのでしょうか。病気と思われたいわけでないのなら、どんな理由があるのでしょうか。
犬が仮病を使う2つの理由をこれからご紹介します。
飼い主さんの関心を引くため
犬が仮病を使うほとんどのケースは、大好きな飼い主さんの関心を引くためです。側に来て欲しい・抱っこして欲しい・優しく声をかけられたいなど飼い主さんの注意を引いて甘えたい時に、病気の症状と同じような行動をします。
しかし先ほどご紹介したように、犬は病気のふりをして飼い主さんに看病してもらおうとは思っていません。騙して関心を引こうとしているのではなく、もっと単純に、経験を通して学んだことを実行しているだけなのです。
犬は賢いので、過去の経験を記憶し、そこから学んだことを自分のメリットとなるように活用します。過去に「怪我をしてうまく歩けない時に飼い主さんが抱っこしてくれた」「体調が悪くて震えている時に側に来て優しく撫でてくれた」という経験があると、その経験をもとに「その時と同じ仕草をすれば飼い主さんが同じ反応をする」と考えます。
それで、抱っこして欲しい時にわざと脚を引きずって歩いたり、側に来て優しく撫でて欲しい時に体を震わせたりするのです。
欲しいものを手に入れるため
美味しいおやつが欲しい時など、自分の欲しいものを手に入れるためにも仮病を使うことがあります。
思考パターンは飼い主さんの関心を引きたい時と同じで、過去に本当に食欲がなく、通常のドッグフードが食べられなかった時に、美味しいドッグフードやおやつが出てきた経験があると、その時と同じ行動をして欲しいものを手に入れようとします。
愛犬がご飯を食べないと、飼い主さんは「食欲がないけど大丈夫かな」「体調が悪いのかな」と心配しますが、犬は「目の前にあるドッグフードを食べなければ、もっと美味しいのが出てくるはず」「あの時のおやつが食べたいから、これには手をつけないでおこう」と考えているのです。
病気を使って関心を引いたり、欲求を通そうとしたりするなんて酷いと思われるかもしれませんが、犬はそんな腹黒いことは考えておらず、自分の願う飼い主さんの反応を引き出すために過去のデーターに基づいて行動しているだけなのです。
犬の仮病の見極め方
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愛犬に病気の兆候が見られたり、いつもと様子が違ったりすると、飼い主さんは心配になりますよね。責任感の強い飼い主さんほど、犬の健康を守るために仕草や行動の些細な変化にも注意を払っておられることでしょう。
もしそれが仮病だとしたら…と想像すると、怒りと安堵と厄介さと複雑な感情に襲われますが、仮病を見破るのも、愛犬のことをよく知っている飼い主さんだからこそできることです。
仮病か、それとも本当に病気かで対処法が全く異なるので、3つの仮病の見極め方を紹介します。
過去の経験を思い出す
犬は過去の経験をもとに行動するので、病気の症状のような仕草や行動をしたとしても、過去にそのようなことが一度もないなら仮病ではありません。
逆に、以前怪我をして足を引きずっていた時に優しくした覚えがあり、その後何度か繰り返して足を引きずるようなら仮病の可能性が高いといえます。足を引きずる動作以外の行動でも、愛犬の過去の経験とその時の自分の反応を思い出すなら、仮病かどうかを判断する助けになるでしょう。
犬だけの時の様子を見る
犬が仮病をするのは、飼い主さんへのアピールです。ですから、仮病なら飼い主さんがいないところではしません。
そこで、仮病っぽいと思ったら留守番カメラや携帯カメラなどを使って、犬だけの時の様子を観察しましょう。飼い主さんがいなくなった途端ピンピンしているなら、仮病の確率が高いです。
好きなもので反応を試す
さっきまで痛そうにしていたのに、大好きな散歩に誘ったり、お気に入りのおもちゃで遊んであげたりすると、元気ハツラツと動き回ることもあります。
もちろん、好きなことの方が痛みに勝ったり、楽しすぎて痛みを忘れてしまったりすることもありますが、好きなことをしていると痛いふりをしていたのをうっかり忘れる場合もあるので、仮病の見極めに役立ちます。
専門医の意見を聞いて適切に対処してあげる必要もありますが、犬の仮病の理由や見極め方を知っておくと、不必要な心配を防ぐ助けになるでしょう。