内弁慶になる猫
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内弁慶とは、もともと人の二面性を表わす言葉です。家庭では威張ったり態度が大きかったりするのに、外に出た途端、弱気になったり意気地が無くなったりする人のことです。
つまり、家族に対してしか強く出られないという性格といえます。そのため、「内弁慶」にはネガティブなイメージが付きまとうものです。
ちなみに、幅広くとらえると、特に威張っていなくても外では弱気な人や、身内だけ積極的になる人のことも内弁慶と呼ぶ場合があります。
さて、猫たちの中にも内弁慶な子がいます。「うちの子はまさしく内弁慶だ」と感じる飼い主さんも多いでしょう。
内弁慶な猫の心理
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猫たちが内弁慶のようにふるまうときも、やはり人間と同じような気持ちなのでしょうか?外では弱気で、家の中では横暴な「内弁慶猫」の心理をご紹介します。
猫によっては真逆の気持ちを抱いていることがあるので、よく観察して心理を察してあげましょう。
恐怖を感じている
内弁慶の猫に多い心理です。お家の中ではいつもどおりなのですが、外に対して強い恐怖を抱いているのです。そのため、外に出た時にいつもどおりの動きができなかったり怯えたような表情をみせたりします。
猫が恐怖を感じる要素は外にたくさんあるものです。例えば、人に対して非常に強い恐怖を抱いている猫はいます。人全般が嫌いなのですが、飼い主さんだけには心を許せているのでしょう。
また、外で遭遇する自分以外の動物(鳥・犬・猫)などに恐怖を感じる場合もあります。「怖いので早くお家に戻りたいよ~」と飼い主さんに訴えてくることもあるので、外出時のサインは見逃さないようにしたいものです。
警戒している
家は猫にとっての縄張りであり、慣れている場所です。そのため、家の中では好きにふるまえるのですが、外では強い警戒心をもっている場合があります。
外出時では知らない情報がどんどん入ってきます。猫たちは嗅覚や聴覚も鋭いので、人間が感じている以上に豊富な情報に遭遇するものです。そのため、ひとつひとつの情報に対してどうしても慎重にならなければいけなくなるのです。
私たちが知らない外国の地に一人で生活することになったとしたら、最初は非常に警戒するはずです。タクシーを利用するのにも、何かを食べるのにも警戒心が抜けません。同じように、猫たちも知らない情報に対してただ警戒しているだけなのでしょう。
わがまま
こちらは「外で弱気になっている」というよりも、「飼い主さんやその家族に対してわがままになっている」という状態です。
猫はもともと自由気ままで、わがままな傾向があるのですが、同じような態度が内弁慶に見えてしまうこともあるでしょう。
また、猫のわがままが増長することもあり、かなり横暴にふるまってしまうこともあります。「この家ではなんでも僕の思い通りになるんだ!」なんて考えている猫もいるのです。
飼い主さんが大好き
どちらかというとネガティブな心理が多い「内弁慶猫」ですが、もちろんポジティブなものもあります。
飼い主さんが大好きすぎる猫は、外出時の態度と飼い主さんへの態度が全く異なります。飼い主さんが近づいてきた途端、くっついてきたり遊んでほしがったりします。
大好きなゆえに甘えたり要求してきたりすることが多いので、横暴に見えたり態度が変わったりしているように思えるのです。
猫が内弁慶になってしまう理由
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過度な内弁慶は日常生活に支障をきたす場合があります。それほどの内弁慶になるのには、やはり理由があります。では、猫が内弁慶になってしまう理由を見ていきましょう。
本能が関係している
猫はもともと、「自分の縄張りをもつ」「外敵から身を守る」という本能があります。弱肉強食の世界で生活しているので、それは当然だといえます。
飼い猫になればある程度はその本能が押さえられますが、野良猫生活が長いとどうしても内弁慶な性格が強くなることでしょう。
過去のトラウマ
過去に人から虐待されることがあったり、野良猫たちからいじめられることがあったりすると、それがトラウマとなり、強い警戒心・恐怖心を持つようになります。
飼い主さんには心を許せますが、他の人や動物には拒絶反応を示すのです。この場合は、飼い主さん個人が治療しようとはせずに、専門家に助けてもらう必要があるでしょう。
過保護
猫に対して過保護になったり、甘やかしすぎたりするなら、猫はわがままになります。また外部に対して弱気になることもあります。
特に、子猫時代の外部との接触は将来の性格を決めますので、過保護にならないことが大切です。
内弁慶な猫の気持ちと状況を察してあげよう!
猫の内弁慶には本能的な部分が含まれているため、必ずしも悪いものではありません。また、過去の経験からそのような性格になってしまう場合もあります。
そのため、内弁慶な性格を無理やり変えさせようとするのではなく、心理を理解してあげて、優しく接してあげるのが良いでしょう。