猫にレバーを与えても問題ない?
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レバーは肝臓の部分で、日本ではおもに哺乳類、鳥類、魚貝類のレバーが食用にされています。数ある食材の中でも、レバーに含まれる栄養素はトップクラスとも言われています。特に、鉄分などのミネラルが豊富に含まれており、貧血などで悩む女性にはうれしい食材の一つと言えるでしょう。
栄養価の高いレバーですが、肉食動物である猫にも与えて良いのでしょうか。結論からいうと、少量であれば、猫にレバーを与えても問題ありません。しかし、猫にレバーを与える場合、注意点がいくつかあります。
猫にレバーを与えてもいい量
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ごくたまに、少量であれば猫にレバーを与えても問題ありません。しかし、レバーには「ビタミンA」が多く含まれています。100gあたりビタミンAの含有量は、鶏レバーは14000IU、豚レバーは13000IU、牛レバーは1100IUです。このビタミンAを摂取し過ぎると、「ビタミンA過剰症」となり中毒症を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
ビタミンAは適量であれば健康を維持するのに役立ちますが、脂溶性ビタミンなので多量に摂り過ぎると体内に蓄積してしまい、過剰になった分が排出できなくなってしまいます。その結果下痢や嘔吐、関節炎、繁殖機能の低下などの様々な病気を引き起こすことがあります。
しかし、与える量と与える回数に気をつけていれば、そこまで心配する必要はないでしょう。では、どのくらいの量を与えることができるのでしょうか。
子猫の場合
AAFCO(米国飼料検査官協会)では、子猫のビタミンA摂取量は「9000~750000IU」が適正と定められています。
生後12カ月未満、体重が1kg未満の子猫の場合、消化器官機能が未発達で免疫力も低いため、子猫にレバーを与える場合は特に注意が必要です。
レバーに含まれるビタミンAを子猫が過剰摂取してしまうと、骨格異常や内出血を起こすケースもあります。子猫にレバーを与えるのはリスクが高いので、わざわざ与える必要はないでしょう。
成猫の場合
成猫のビタミンA摂取量は「5000~750000IU」が適正とされています。しかし、キャットフードを主食としている場合、レバーも与えてしまうとビタミンAの過剰摂取となってしまいます。
成猫にレバーを与える場合は、1週間に1回程度、ほんの少量だけ与えるようにしてください。
老猫の場合
高齢期になると、子猫同様、消化器官が弱ってきたり免疫力も低下してくるので注意が必要です。
老猫にレバーを与える場合は、ビタミンAの含有量が少ない牛レバーを選んであげたり、与える量を調節するなど工夫してあげましょう。しかし、リスクを抱えてまでわざわざ老猫にレバーを与える必要はありません。
猫にレバーを与えることで期待できる効果
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猫にレバーを与えるとどんなメリットがあるのでしょうか。レバーに含まれる栄養素は以下のようなものがあります。
- 鉄分
- ビタミンA
- ビタミンB群
- 葉酸
鉄分や葉酸には、血液を作り出してくれる働きがあるので、貧血予防に役立ちます。ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持し、がん予防にも効果が期待できるでしょう。さらに、ビタミンB2にはたんぱく質をエネルギーに変える働きをし、消化を促進してくれる効果もあります。
猫にレバーを与えるときの注意点
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生のレバーは寄生虫や細菌がいる可能性があります。感染症にかかる恐れもあるので、猫にレバーを与えるときは必ず火を通したものを与えるようにしましょう。
先ほども述べたように、レバーを大量に食べるとビタミンA過剰症を引き起こす危険性があります。ビタミンA過剰症になると、下痢や嘔吐、症状がひどい場合には骨の変形により歩けなくなることもあり、非常に恐ろしい病気です。ですから、猫にレバーを与えるときは与え過ぎないようにしましょう。
すべての猫がレバーを食べて大丈夫なわけではありません。レバーを食べた後に、何らかの体調不良を起こした場合は、すぐに病院に連絡し獣医師の指示に従ってください。
レバーを使った料理は与えても問題ない?
スタミナ料理として人気のレバニラは、猫に与えても問題ないのでしょうか。
結論からいうと、レバニラは人間用に味付けされているので、猫には絶対に与えないでください。レバニラだけに限らず、どの料理でも人間用に味付けされたものは、猫にとって塩分が高く、猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
自宅でバーベキューや焼き肉をする場合は、素焼きでしっかり火を通したものであれば、少量与えても問題ありません。繰り返しになりますが、与え過ぎると体調不良を起こす可能性があるので、与える量には注意しましょう。