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【獣医師監修】犬の鼻の色が変わるのは何かの病気のサイン?鼻が退色または変色する理由を解説【2022年版】


犬の鼻が退色あるいは変色する理由とは?

犬の鼻

Africa Studio/shutterstock.com

いつも黒かった愛犬の鼻が薄くなったり、部分的に色素が抜けてきたりすると心配になることでしょう。

なぜ犬の鼻は退色したり変色したりするのでしょうか?何か病気にかかっているのでしょうか?この記事では、犬の鼻が退色や変色する理由について詳しく解説していきます。

犬の鼻は何色?

一般的に犬の鼻は黒色というイメージがありますが、犬の鼻色は犬種や個体によって変わってきます。

黒色をしている子もいれば、こげ茶色、薄茶色、ピンク色、ピンク色に黒い斑点煎りなどさまざまな色をしている犬もいます。しかしどんな色をしていても、機能に差はありません。

ちなみに犬の嗅覚の感度は鼻の色ではなく、鼻の長さによって決まってきます。

生理的な要因で犬の鼻の色が変わる場合

犬の鼻

Patryk Kosmider/shutterstock.com

生理的な要因で犬の鼻が退色したり変化したりする場合は、特に健康上に問題があるわけではないので心配する必要はありません。

このケースの場合は短期間で急激に鼻の色が変わるのではなく、子犬のときの写真と比較してみると”鼻の色が薄くなったかも・・”と感じることがほとんどです。

たとえばどんな生理的な要因で鼻の色が変化することがあるのでしょうか?次のようなことが考えられます。

季節

冬になると鼻の色が一時的に薄くなり、暖かくなる春になるとまた色が回復してくる・・という色の変化を繰り返す子もいれば、退色したまま春になっても色が回復しない子もいます。

この冬特有の症状は「ウィンターノーズ」もしくは「スノーノーズ」と呼ばれています。冬の間は日照時間が短く、紫外線量の不足と個体のメラニン色素不足が重なって生じるのではないかと考えられています。

イエローの鼻色をしているラブラドールレトリバーやシベリア・ハスキーなどによく見られます。

遺伝

交雑の影響で、子犬のときは鼻色が濃かったのに、成長するに従って少しづつ色が抜けて鼻色が薄くなる犬もいます。多くの場合、もともと遺伝的に色素が薄かったと考えられています。

加齢

犬の老化現象のひとつとして、鼻の色が退色することがあります。加齢によって鼻の色がピンク色へと退色することがありあすが、メラニン色素を作りだす働きが低下していることが原因と思われています。

鼻の怪我

鼻の頭を何かにぶつけたり、ケージに鼻をこすったり、やけどや怪我などをしたりすると、その部分が完治してもそこだけ色素が抜けてしまうことがあります。傷の深さにもよりますが、黒く戻ることもあれば、そのまま色が抜けた状態になるケースもあります。

銅欠乏症(栄養の偏り)

銅は色素成分であるメラニンの生合成に欠かせない成分のひとつです。そのため体の中に銅が不足すると、メラニン合成が低下し、皮膚や被毛などの色素が薄くなっていくことがあります。

総合栄養食を主食としている場合はバランスの良く栄養素を摂取できているので、ほとんど発症することはありません。しかし手作りフードを与えている場合は注意が必要です。鼻の色や毛の色が薄くなってきたと感じるなら銅が不足している可能性があるので、食事の栄養バランスを見直したり、サプリメントを与えたりして栄養素を補充することができるでしょう。

病的な要因で犬の鼻の色が変わる場合

眠る犬

leungchopan/shutterstock.com

鼻の色の変化が病気のサインとなることもあります。それには「皮膚型エリテマトーデス」「ぶどう膜皮膚症候群」「天疱瘡(てんぽうそう)」などの疑いが挙げられます。

皮膚型エリテマトーデス

自己免疫の病気であるエリテマトーデスは、全身の臓器に症状が現れる「全身性エリテマトーデス」と、皮膚だけに現れる「皮膚型エリテマトーデス」の2つに分類されています。

犬の鼻色が変化した場合は、後者の皮膚型エリテマトーデスの疑いがあります。皮膚型エリテマトーデスは”円盤状エリテマトーデス”という別名で呼ばれることもあります。

急性期の症状には鼻や眼のふちに黒い色素が落ちる色素脱や皮膚の赤み、湿疹、フケなどがあらわれます。慢性期には皮膚のカサブタなどが見られます。

・原因 皮膚型エリテマトーデスの詳しい原因はまだ判明していませんが、日差しが強い季節に発症することが多いため、紫外線の影響ではないかと考えられています。また、シェットランド・シープドッグやコリー、ジャーマン・シェパードドッグなどによく見られるため、遺伝的な要因も関連していると思われます。

・治療法 皮膚型エリテマトーデスの主な治療法は紫外線を避けることと、犬用の日焼け止めを使用することです。なるべく日光が当たらないようにさせましょう。

ぶどう膜皮膚症候群

ぶどう膜皮膚症候群はメラノサイトという黒い色素細胞に対する自己免疫疾患で、”フォークト・小柳・原田様症候群”という名前でも呼ばれています。主に眼と皮膚に発症しやすいですが、多くの飼い主さんは皮膚よりも眼の異常に先に気づくようです。

眼に異常があらわれると、赤くなる、眼がショボショボする、涙が増える、まばたきの回数が増えるなどの症状をみせます。さらに鼻鏡、眼の周辺、口周辺、肉球、肛門などにも異常が発症し、鼻鏡の場合は色が薄くなることがあります。

・原因 ぶどう膜皮膚症候群の詳しい原因は分かっていませんが、おそらく遺伝的な要因が関係していると思われます。多くの犬種に発症している病気ですが、特に秋田犬やシベリアン・ハスキー、ダックスフンド、シェトラン・シープドックなどに多く見られています。

・治療法 ぶどう膜皮膚症候群は自己免疫疾患なので、ステロイドの全身投与が基本的な治療法となっています。ただステロイドは副作用が強いため、シクロスポリンなどで免疫抑制剤を投与することもあります。

鼻鏡の色が薄くなるだけでなく眼に異常が大きく出ている場合は、緑内障や網膜隔離などの合併症の疑いもあるので、症状が悪化して失明しないよう早期の治療が求められています。また一部の犬は皮膚の色素脱失も生じることがあり、皮膚治療には副腎皮質ホルモン免疫抑制剤が使われます。

天疱瘡(てんぽうそう)

天疱瘡は、犬の皮膚と粘膜の境目に発症しやすい皮膚病です。主に鼻梁(びりょう)や眼瞼(がんけん)、耳介(じかい)などに炎症やかさぶたなどの症状があらわれます。強い痒みを伴うこともあるため、掻きむしることもあります。

・原因 紫外線を大量に浴びることが原因で、鼻の色がピンク色に変わることがあります。また免疫力が低下している犬や、年をとったシニア犬が特にかかりやすい病気として知られています。遺伝も関連していると思われており、秋田犬やダックスフンド、ドーベルマンなどはかかりやすい犬種なので注意が必要です。

・治療法 天疱瘡は血液中の自己抗体で発症する病気なので、過度に紫外線を浴びないことが有効です。細菌などの二次感染をしている場合や予防のために、抗生物質やステロイド、免疫抑制剤を使用して治療することができます。

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