猫は飼い主の声を聞き分ける!?
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猫ってマイペースでツンデレで、犬と比べるとなんだか愛想が無いように思われることも多いですよね。でもじつはとっても律儀で、飼い主さんの声をしっかりと聞き分けているということが東京大学の研究チームによって明らかになりました!
今回は、そんな猫と飼い主さんの絆をより実感するような事実についてご紹介していきます!
猫はツレナイ生き物?
みなさんは、猫という動物についてどんなイメージがありますか?猫って自由で気まぐれで、なんだかツレナイ・・・って思っている方も少なくないでしょう。
特に猫と犬はよく比較されますが、犬に比べると猫ってなんだかあまり愛想がよいというイメージはないかもしれません。名前を呼んでも聞いているんだかいないんだか・・・。
よく、猫は3年の恩を三日で忘れる生き物なんていうこともありますよね。人というよりは家に懐くとも言われています。
でも、そんなちょっとツレナイと思われがちな猫も、しっかりと飼い主さんの声を聞き分けているということが、東京大学の研究チームによって”科学的に”証明されたそうです。
猫の研究内容とは?
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研究結果が公表されたのは2013年のことです。この東京大学の研究では、誰もいない部屋に猫を1人だけにしておきます。そして様子をカメラでチェックしています。
そして飼い主さんと、飼い主さんと同性だけど全くの別人が、猫を呼ぶ声をそれぞ30秒ずつ聞かせたそうです。その様子から、「猫は飼い主さんの声を聞き分けることができるのか!?」という疑問を”科学的に”証明しようじゃないか、ということなのです。
飼い主さんと、飼い主さんと同性だけど全くの他人の声はあらかじめ録音しておきます。飼い主さん以外の人は3人に声を録音してもらったようです。
この実験を行ったのは斎藤慈子講師らで、実験に参加したのは一般家庭で暮らす猫20匹です。特に何かの訓練を特別にしたわけではない、普通のイエネコが実験に参加してくれたわけですね。
研究結果は!?
一般家庭で飼育されているイエネコを誰もいない部屋において、まずは飼い主さんではない全くの別人の声を聞かせてみます。そうすると、はじめは少し反応するような様子を見せました。しかし反応はどんどんと薄くなっていきます。
まあ、声が聞こえているけど何か特別に反応するわけではない、という結果になりました。ここまでは当たり前ですよね。知らない人の声がしているということを認識しているというだけです。
そしてここからが大事なところです。では、飼い主さんの声が聞こえてきた場合には反応は違うのでしょうか?ちゃんと飼い主さんとそうではない人の声を聞き分けているのでしょうか?
さっそく飼い主さんの声を聞かせてみます。するとなんと、それまでの他人の声を聞いていたときは違う反応を見せました。頭を動かす、耳を動かすなどの反応を示したのです。
この実験には20匹のイエネコが参加したわけですが、20匹のうち15匹が他人の声には反応しなかったのに、飼い主さんの声にはちゃんと反応したそうです。
この実験について動画で見ると、その違いをハッキリと見ることができます。他人が猫の名前を呼んでも全く反応をせずにいたのに、飼い主さんが名前を読んだらすぐに振り向くようにして反応しているんです。これは間違いなく、飼い主さんの声を聞き分けているって感じです。
でもやっぱりツレナイ・・・
猫は飼い主さんの声を聞き分けているということが実験でわかったことで、やっぱりわかってるんだ!ってうれしくなりますよね。
とはいえ猫の面白いところは、飼い主さんの声だとしても、何か特別に尻尾を振ってソワソワしたり、鳴いたりして飼い主さんを読んだりといった反応はしなかったところです。
飼い主さんが目の前にいないならば、声が聞こえたとしても、名前を呼ばれても特に大きな反応をしないということで、「やっぱり猫はツレナイ」ってことも証明されたようですね。そうゆう所が、猫の可愛いところでもあります。
猫は自分の名前を聞き分けられている?
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今回の実験を実施した東京大学のチームは、いずれは猫が自分の名前を聞き分けることができるのかも解明したいと述べていました。みなさんはどう思いますか?猫たちは自分たちにつけられた名前をしっかりと把握し、それを聞き分けていると思いますか?
この点に関しては上智大学が2019年に猫の音声認識に関する実験を行い、イエネコが自分の名前とその他の名前の違いを聞き分けているのかを調べたそうです。
とはいえ、この実験を行ったのは慈子准教授です。つまり、東京大学の研究チームとして2013年に猫が飼い主の声を聞き分けることができるということを科学的に証明した方が、今回は上智大学の総合人間科学部心理学科の准教授として、猫の音声認識についてより発展した研究を行ったわけですね。
実験内容
今回の実験では、実験に参加してくれるイエネコのお家に訪問する形で実験がおこなわれました。そして、さらにネコカフェで飼育されているネコも対象となりました。
実験では、実験対象となるイエネコの名前、同居ネコの名前、そして対象となっているイエネコの名前と同じアクセントや長さの一般名詞をそれぞれ聞かせて反応を見るという形が取られました。
まずは、対象となっているイエネコの名前と同じアクセントと長さの一般名詞を聞かせます。そして次に、同居ネコの名前を聞かせてみます。最後に、自分の名前を聞かせてみます。
呼びかけを行うのは飼い主さんと、そして他人が行います。飼い主さんが発する自分の名前だけに反応するのでしょうか?それとも他人が名前を呼んでもちゃんと認識するのでしょうか?
実験結果
では実験結果はどうだったのでしょうか?まず、イエネコに関する実験結果です。
最初の自分の名前と同じアクセントと長さの一般名詞と、同居ネコの名前を4つつづけて聞かせたところ、反応はどんどんと薄くなっていったそうです。しかし自分の名前を聞かせた途端、反応は大きくなることが全体の統計で明らかになりました!
つまり、イエネコは自分につけてもらった名前と、その他の名詞を聞き分けているということですね!ちゃんと自分の名前は、その他の名詞とは違った特別なものとして認知しているわけです。
飼い主さんが呼びかけるときと、他人が呼びかけるときでは違いはあるのでしょうか?実験の結果、飼い主さんと他人の呼びかけに対して、同様の反応が見られたそうです。
つまり、飼い主さんが発する自分の名前だけを認識するのではありません。他人が発する自分の名前にもちゃんと認識できるということです。これは、飼い主さんの声や発音のクセで聞き分けているということではなく、ちゃんと”言葉”としての特徴を認識して聞き分けているということです。
では、ネコカフェで飼育されている猫たちの反応はどうだったのでしょうか?
ネコカフェで飼育されている猫たちも、自分の名前とその他の一般名詞の違いを認識し、区別しているということが反応で明らかになりました。ちゃんと自分たちの名前が呼ばれているってわかっているんですね!
しかし面白いのが、自分の名前と同居ネコの名前の区別をしているということは明らかになりませんでした。反応の違いがなかったわけですね。
ということはネコカフェの猫たちは、自分の名前と他の同居ネコの名前のすべてを自分たちに対して呼びかけられる名詞としてひとくくりにして認識しているのでしょうか?よくわかりませんが、イエネコとネコカフェの猫にはこの点で違いがあるということはとても興味深い点です。