マンチカンにも足長がいる?
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マンチカンというと、そのチャームポイントは短い足です。犬で例えるのならダックスフンドやコーギーと言った感じかもしれません。
しかし実は足長のマンチカンがいるということをご存知でしたか?『マンチカン=短足』ではないのです。足長のマンチカンがいるのはどうしてなんでしょうか。今回は『足長マンチカン』についてまとめてみました。
まずは、そもそもマンチカンとはどのような猫なのか見ていきましょう。
マンチカンの歴史
マンチカンは、遺伝子の突然変異による自然発生の猫種です。短い足の猫の存在は、1944年にイギリスのジョーンズ博士によって初めて報告されたといわれています。
その後1953年になるとロシアから、1964年にはアメリカのニューヨークで、1970年にはニューイングランドで短い足の猫の存在が報告されました。
本格的に歴史上の大きな一歩を踏み出すことになったのは、1983年になってからのことです。アメリカ・ルイジアナ州のトレーラーの下で暮らしていた「ブラックベリー」と名付けられた猫が妊娠し、彼女から生まれた子猫の半分が短い足をもっていました。
この短い足の子猫のうち「トゥールーズ」と名付けられたオスが繁殖家に引き取られ、短い足の猫の育種が始まっていったのです。
近親交配による将来の遺伝子疾患のリスクを減らすため、当初の交配相手は短足猫以外の猫たちが使われ、異種交配が行われました。その結果、足の長い猫と交配させて足の短い子猫が生まれたことから、本格的にマンチカンのブリードがスタートしていくようになります。
マンチカンという名前の由来
マンチカンという名前の由来は「オズの魔法使い」にあるようです。「オズの魔法使い」の作中には、背が小さなマンチキン族が登場しています。マンチキンには「おチビちゃん」という意味があるようです。
また、「munch」(マンチ)という英語の意味には「むしゃむしゃ食べる」という意味も含まれていて、「オズの魔法使い」の小人のように小さいのに、よく食べるという意味も由来の一つとなっています。きっと小柄なマンチカンの風貌と、作中のイメージがぴったりあって名付けられたのでしょう。
マンチカンは短足だけではない!
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短い足で一生懸命歩いているマンチカンを見ていると、その愛くるしさゆえにほっこりとした気持ちになってきます。しかし、そのトレードマークとも言える短い足の子の割合は意外にも全体の2割程度に過ぎないと言われています。
残りの8割は足長マンチカンなのです。では、その8割もの足長マンチカンはなぜ存在するのでしょうか?それはマンチカンの交配と関係があります。
短足のマンチカンと短足のマンチカンを交配させることによって、確かに短足のねこちゃんが生まれてくる確率は高いのですが、その一方で奇形や障害を持った猫や、死産で生まれてしまう可能性が高くなってしまいます。
そうしたことを避けるため、短足のマンチカンと足長のマンチカンを交配させることが一般的になっています。ということは、足長のマンチカンの特徴を引き継いだ足長マンチカンの子猫も生まれてくるというわけです。
短足や足長だけではない…実は中足もいる
マンチカンの足の長さは「短足」もしくは「足長」だけではないんです。なんと「中足」のマンチカンもいます。足の長さは次のように分けられています。
◆スタンダード・・・・一番足が長い
◆スーパーショート・・スタンダードとラグハガーの間くらい
◆ラグハガー・・・・・一番足が短い
足の長さに違いはあるものの、大きな目や豊富な被毛パターンなど、マンチカンの魅力的なポイントは変わりありません。
足長マンチカンと短足マンチカンで性格に違いはある?
短足のマンチカン、中足のマンチカン、足長のマンチカン、どれも性格的に変わりはありません。
マンチカンは好奇心旺盛で遊ぶのが大好きです。また人懐こく、甘えん坊でフレンドリーな一面を持つ傾向があるため、ねこちゃんといっぱい触れあいたい方にはぴったりの猫種です。
社交的で優しく、寛容な性格です。そのため、多頭飼いにも適しています。賢く聞き分けがよく、猫にしては珍しくしつけがしやすいといわれていますので、猫を初めて飼う方や先住猫がいる方のおうちでも比較的飼いやすい猫と言えるでしょう。
やさしい反面、マンチカンは繊細でこわがりでもあるので、叱るときは強く叱らないことが大切です。
足長マンチカンのかかりやすい病気
マンチカンは遺伝性の病気が少なく丈夫な猫種ですが、一般的な猫が気をつけたい尿路結石や膀胱炎などの腎疾患、毛球症、感染症に注意するとよいでしょう。
また、マンチカンは食欲旺盛です。高齢期には運動量も減り肥満になる傾向があるので、食べ過ぎには気をつける必要があります。
短足マンチカンについても触れておきたいと思います。マンチカンの短足は病気でも障害でもありません。ただ、足が短いという構造上の問題から腰に負担がかかりやすいと言われています。
足長マンチカン同様、食欲は旺盛なので体重増加には気をつけなければなりません。肥満により負担がかかると、椎間板ヘルニアになりやすくなってしまいます。
足長マンチカンには椎間板ヘルニアなどのリスクは少なくなりますが、いずれにしても肥満体型にならないように注意しておく必要はあります。