子犬がしゃっくりをするのはなぜ?
子犬Sigma_S/shutterstock.com
我が家に新しい家族として子犬がやってくると、家の中の雰囲気が変わりますよね。成長を楽しみながら、ちょっとしたことで喜んだり心配になったりと始めは落ち着かないものです。体が小さいので、ちょっとした小さな異変でも心配になることがあります。
たとえば「大丈夫かな?」と心配になってしまうことの中に”しゃっくり“があるかもしれません。しゃっくりって一度出すとなかなか止まらないこともありますし、苦しそうにしているのを見ると心配になってしまいますね。
特にあまりにも回数が多い場合や、長時間続くようであると、何かの病気を心配してしまう飼い主さんもいることでしょう。では子犬がしゃっくりをするのには何か原因があるのでしょうか。しゃっくりを止めてあげる方法が何かあるでしょうか。そんな点をまとめていきますので、それぞれ見ていきましょう。
子犬がしゃっくりをする原因
cliplab/shutterstock.com
人間のしゃっくりは横隔膜の痙攣と言われていますが、犬のしゃっくりにも特別な仕組みがあるわけではなく、横隔膜など呼吸に関する筋肉が痙攣することにより起こるそうです。
医学的にもなぜ横隔膜が痙攣するのか、はっきりした原因は分かっていないようですが、横隔神経や迷走神経、呼吸中枢が刺激させることにより起こると考えられています。
しゃっくりが起こる原因やきっかけはその時々で異なりますが、食べ方は早い、ごはんが合っていない、ストレスや不眠症、病気などが主な原因と言われいます。それではひとつずつ詳しく取り上げてみましょう。
子犬のしゃっくりの原因のほとんどは食事
子犬の場合、食事がきっかけでしゃっくりが出ることが多いようです。ですからまずはごはんの与え方を見直してみましょう。
成長期の子犬は食欲旺盛で、食事の時間を待ちきれません。犬はよく噛まずに飲み込む習性があるため、横隔膜が刺激を受けやすいと言われてします。横隔膜が刺激を受けると、呼吸のリズムが乱れてしゃっくりの症状が現われるようになります。
ガツガツと一気に食べてしまう場合には少量ずつ与えてみることをしましょう。こうすることによって大量の空気を吸い込むのを防ぐことができます。子犬が時間をかけて食べられるような工夫をしてあげましょう。
ドライフードのふやかし方を工夫するのも一つの対処法になります。胃が餌の固さに対応できずにうまく消化できないことにより、しゃっくりが起こることがあるからです。
個体差もありますが、ふやかして与える方がいい子もいれば、ふやかさない方がしっかり噛んでゆっくりと食べてくれる子もいます。愛犬の食べ方をよく観察して、ゆっくり落ち着いて食べられる方法を探してみましょう。
食事の内容が合っていないという場合もありますので、与え方を気をつけてもしゃっくりが起こるのであれば、フードを切り替えることも考慮してみてくださいね。
ストレスや不安による神経の緊張
生まれてからすぐに親元から離れ、家庭に引き取られた子犬は、めまぐるしい生活環境の変化を経験しながら新しい生活をスタートさせていきます。子犬は環境適応能力が高いと言われていますが、ストレスや不安を感じることも多いでしょう。
精神的なストレスが呼吸を乱しやすくなり、不安や緊張、疲労感などの交感神経の過激な緊張からしゃっくりが起こるケースもあるそうです。しゃっくりが起こるときには何か心の負担を感じているのかもしれません。怖がっていたり怯えていたりするような様子が見られないか気を配るようにしてあげましょう。
病気
子犬の場合は稀ですが、しゃっくりの原因に病気が考えられることもあります。普通しゃっくりは短時間ですぐに止まるものです。長時間続いたり、頻繁に起きたり、嘔吐や咳などほかの症状を伴ったりする場合には注意しましょう。
神経的な異常や胃腸障害、循環器疾患、寄生虫感染などが疑われる場合も考えられますので、心配なときには動物病院で診てもらうようにしましょう。どんな病気も早期発見することが症状の早い改善につながるので、元気がないなどいつもと違う様子に気づいたら命に関わる前に行動しましょう。
子犬のしゃっくりの止め方
Kwiatek7/shutterstock.com
そのうち止まるとは言え、しゃっくりが出てしまうと苦しいものです。なるべく早く止めてあげたい、と見ている飼い主さんは思いますよね。私たち人間がしゃっくりを止める方法としては、お水を飲む、ビックリさせる、息を止めるなどいろいろな方法があるでしょう。
しゃっくりは横隔膜が痙攣することによって起こりますので、痙攣を収めて横隔膜のリズムを正常に戻してあげる必要があります。人のしゃっくりと同じで明確に止める方法はありませんが、しゃっくりだとわかったらまずはどのくらいの時間続いているか観察して、慌てずに落ち着いた態度で接してあげましょう。
目の前で飼い主さんが慌てたり、過度に心配しすぎたりする様子は、子犬の不安を助長しストレスを与えます。しゃっくりが出ていること自体に驚いてパニックになってしまう子犬もいることでしょう。パニック状態のときにあれこれやろうとすると逆効果になるとも言われています。
飼い主さんの指に水をつけて舐めさせるということを2~3回繰り返して行なってみましょう。
もし興奮状態に合ったり落ち着かない様子が続いたりする場合は、無理にしゃっくりを止めようとはせずに、まずは「大丈夫だよ」と落ち着かせてあげることです。ゆっくりと落ち着いた態度で抱っこしてあげたり撫でてあげたりしているうちに、短時間で落ち着いてくることが多いと思います。
それでも止まらないようであれば、呼吸を一度止めてあげてみてください。手で口を優しくふさぐようして、鼻の穴をふさいで数秒待ってみましょう。顔に触れられることになれていない子は急に顔をつかまれるとビックリしてしまうかもしれないので、普段から体全体に加えて顔も触るようにしておくことができます。
口を触って閉じてみたり、ぎゅっと身体や顔を抑えたりすることに慣らしておくと、突発的なことに対処するときに役立ちます。歯磨きの練習などにはこのような動作が含まれてきますので、歯磨き習慣がついている子はスムーズに、呼吸を止める対処方法ができることでしょう。
また、呼吸のリズムを変わることでしゃっくりが止まることがあります。子犬が落ち着いた様子であるなら、ボール遊びなどで少し運動させてあげることも有効な方法になります。しゃっくりから注意をそらしてみるということなので、楽しめることを一緒に行なってみましょう。
しゃっくりをしているときには自分に注意が向いていることが多いので、大好きなおもちゃやおやつ、お散歩などの外出、もし何かコマンドトレーニング(コマンド:おすわりや待てなどの指示)で気持ちを集中させることができるものがあれば、試してみましょう。
今までと違う動作をすることによって、しゃっくりをしていたことを忘れて気づいたら止まっていたということもありますよ。
子犬のしゃっくりを未然に防ぐには
Geerte Verduijn/shutterstock.com
しゃっくりの原因をいくつかご紹介しましたが、子犬のしゃっくりの原因にほとんどは食事が関係していることが分かりましたね。ということは、食事の与え方を工夫することが、しゃっくりを未然に防ぐことにつながると言えます。
食欲旺盛なのは元気な証拠で、ガツガツと勢いよくご飯を食べてしまう子犬はとても多く、ご飯の用意を始める興奮状態になってしまう子も少なくありません。
いつもしゃっくりが起きてしまう子で、ご飯を待ちきれない態度や早食いのクセがあるような子犬であれば、改善させる方法を試してみましょう。ご飯を欲しすぎて大興奮という子には、落ち着かせるためにご飯の前の「待て」を覚えられるようにトレーニングが有効的です。
「おとなしく待つ=ご飯がもらえる」ということを理解させれば、ごはんの前の気持ちの高ぶりを抑え、静かに待てるようになるでしょう。
また、山盛のご飯が興奮のきっかけになることも多いので、最初はお皿を見せずに一口ずつ飼い主さんが与えるようにすることもできます。落ち着いた様子で食べているのを確認してから、残りを与えるなど与える順番を工夫することもできるでしょう。慌てなくても大丈夫ということが子犬に分かるように教えてあげることです。
早食いの子はなかなか直すのが難しいですが、早食い防止用の突起がついたお皿を利用することもおすすめです。
専用のものを用意できないのであれば、飲み込まない大きさのボール(トイプードルなどの小型犬であれば、ゴルフボールなど)をお皿の中に一緒に入れると、ボールが邪魔して一気に食べることができず、結果的に時間をかけて食べさせることができるそうです。
食事の形状を変えるといった方法でも早食いを防止することができるでしょう。離乳食の名残や消化を助けるために、ドライフードをふやかして与えている飼い主さんも多くいます。
水の量を多くしたり、逆に少なくしたりすることによって時間をかけて食べさせることができますので、しゃっくりが多いときには是非実践してみてください。
食事以外の原因の場合は、慣れない環境に対する不安やストレスが多いです。すべてが初体験の子犬は、最初は驚いたり怯えたりすることがあるかもしれません。怖いものや苦手なものがある場合には克服することができるように助けていきましょう。
何か怯えたりする様子が見られるときには、飼い主さんが落ち着いて行動して安心させてあげるようにします。
子犬の時期は環境適応能力がとても高いです。特に生後半年までが社会化期とも呼ばれていて、この時期にたくさんの経験を積ませてあげることが、どこでも緊張感なくリラックスして安定した精神状態を保つ子に育てることにつながります。
愛犬が毎日の生活を幸せで楽しい日々を送るようになれるかは、社会化期にほかの人や犬と接触を多くし、刺激への対応の仕方を学ぶかに関係しているのです。