猫に長生きしてもらうには良い環境が必要
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愛猫に長生きしてもらうために、猫をお迎えするときに飼い主さんが健康に快適に過ごせる環境を整えてあげることが必要です。
猫にとって快適で過ごしやすい環境にはどのようなことが関係しているのでしょうか。猫にとってストレスとなる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は身体的にも精神的にも安定して健やかな猫生のために、飼い主さんとして備えておきたいことにはどのようなものがあるのか見ていくことにしましょう。
快適に過ごしてもらうためのお部屋づくり
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猫の飼育について「狭い家だけではかわいそう」という方もいますが、実際には全くそのようなことはありません。むしろ家の外には危険がいっぱいです。誰か悪い人にいじめられるかもしれませんし、ほかの猫とケンカしてケガをしたり、病気(猫エイズや猫白血病などの恐ろしい病気)をもらってくるかもしれません。
飛び出て事故にあってしまうということもあり命の危険に遭遇しかねません。安全性を考えると外で生じるさまざまな危険から守ってあげるために、やはり「完全室内飼い」がいいと思う人も多いです。
「ずっと家の中で過ごすのは猫にとって退屈になるのはないか」と心配になるかもしれませんが、飼い主さんの工夫によって退屈さを解消することができるでしょう。猫が過ごしやすいように部屋作りをしてあげれば、そこを自分の縄張りとして覚え、快適に過ごすことができます。
快適な住環境を作ってあげるためには、以下のような点を意識できます。
猫にとっての快適な温度にする
部屋作りでまず一番気を付けるべきところは「暑さ・寒さ」です。これは猫の命にもかかわってきますので気を付けましょう。お住まいの家や地域によっても暑さや寒さは変わっていきすので、お住まいの場所に合わせた工夫をしていきましょう。
夏は冷房、換気、保冷シート、保冷マットを活用して暮らしやすい室温を維持してください。冷房を使用するときには設定温度は28℃くらいがベストです。あまり低い室温にならないために、湿度を取り除くだけのドライ運転を有効活用するようにしましょう。
少し暑いくらいならば、窓を対角線上に2カ所開けて風を通してあげることができます。熱中症対策は大切ですが、あまり寒すぎることも猫の体調を崩します。保冷シートや保冷マットはさまざまな素材のものがありますので、愛猫のお気に入りの物を見つけられると良いでしょう。
冬場は暖かい場所を作ってあげられます。室温は21~28℃くらいを保つようにしましょう。湯たんぽ、ペット用ホットカーペット、猫用ベッドを用意してあげることもできるでしょう。
猫の部屋はなるべく2部屋以上にする
猫を退屈させないためには、猫1匹につき2部屋は確保したいところです。それによって猫が遊ぶスペースも増えますし、お客さんが来た時にも猫は隣の部屋に隠れることができるので、ストレスを軽減することができるでしょう。
ただ、家庭の事情や予算の関係でどうしても2部屋確保することが難しいこともあります。そんなときにはカーテンやパーティション、棚を使って仕切りを作ったり、収納用品などで猫用トンネルを作ってあげるように工夫するなら快適に過ごすことができるでしょう。
猫の脱走を防止する
猫はすごい脚力をもっています。高いところにもぴょーんと軽々登ることもできますし、逆に高いところから平気で飛び降りることもできます。そしてすばしっこいので、玄関や窓、網戸から脱走されないように気を配りましょう。網戸くらいなら簡単に引きちぎってしまうので注意しましょう。
間取りとしては、玄関に行くまでにドアがある部屋だと猫の脱走防止に有効です。窓の脱走対策として、100均で「ワイヤーネット」「突っ張り棒」「結束バンド」を購入して自作したりしている飼い主さんもおられます。結束バンドで何カ所か固定すると相当しっかりと止まるので脱走防止につながるそうです。
地震に備えて部屋作りをする
日本はとても地震の多い国です。最近はどこに住んでいても大きな地震が起きる可能性があるので、大きな家具が猫に倒れてくることがあったら大変です。愛猫がいつもいるスペースに倒れる危険があるものがないか確認するようにしましょう。
猫がいつも過ごすスペースには大きな家具を置かないようにするか、どうしても置くのであればきちんと固定しておくようにしましょう。事前に対策しておくことは愛猫だけでなく、飼い主さんにとっても安心して過ごせる生活環境を整えることになるでしょう。
景色も考えた部屋作りをする
猫は高いところに登るのが大好きです。お部屋の中にキャットタワーやキャットウォークがあれば、狭い部屋の中でも上下運動ができるので、ストレスを発散することができ運動不足の解消につながります。キャットタワーを買わなくても、家具や収納を組み合わせて猫が登れるように工夫して遊べるようにできるでしょう。
壁に穴を開けることができるのであれば、材料を購入してきてキャットウォークを手作りするのも楽しいですよ。家具や収納棚の上に物を乗せずにスペースを空けておくことによっても愛猫のお気に入りスペースを確保できます。
また、猫は窓から外の景色を見ることが好きです。特に鳥が窓辺にやってきたときには反応して面白い動きをするのを見ることができます。ストレス発散にもなるので、窓辺に猫のスペースを設けてあげて外が見えるように工夫してあげてもいいですね。
安全を考慮した部屋作りをする
地震対策のほかにも安全面で気を配ることができます。猫は、高いところだけなく狭いところも大好きです。家具の隙間、ソファーの裏、戸棚の中、タンスの中と柔軟な体であらゆるところに入り込んでしまいます。猫を飼っている人であれば、「こんなところに居たの?!」という経験もあるでしょう。
猫が隠れそうなところは清潔さを保つとともに安全対策をしておきましょう。入り込んで欲しくないところがあれば赤ちゃん用のロックをしたり入れないように工夫しておくと、愛猫が一人でお留守番しているときにも安心です。愛猫の隠れ家を用意することによって、危険な場所に入り込むことがないように工夫することもできるでしょう。
爪とぎできるようにする
猫は引っ掻くのにちょうど良い素材を見つけるとバリバリと爪とぎを始めます。安物のカーテンでも、高級なソファーでもどんなもので一切容赦ありません。しかし、爪とぎは猫にとて絶対に必要なことなので、やめさせることはできません。
爪が伸びたら切ってあげる。引っ掻かれたくないものは猫が入れないところに隠しておく。壁紙はフィルムを貼っておく。ソファーにはカバーをかけておく。家のあちこちに爪とぎを用意しておく。といった実際的な対処方法を飼い主さんがとっていくことができるでしょう。爪とぎにも好みの素材があるので、何が気に入ってるのか見分けて用意することもできるでしょう。
食事をする場所とトイレは離れた場所に設置する
野生で暮らしていたころの猫は、排泄場所と食事場所は分けて暮らしていました。この二つの場所が近くにあると、ご飯をあまり食べなかったりおしっこやウンチを我慢してしまったすることもあるそうです。食事場所とトイレは離れた場所に設置するようにしましょう。
トイレを離れた場所にしようとすると玄関などに設置することがあるでしょう。冬場はあまり寒すぎる場所にトイレを置くと猫も面倒がってしまうので、あまり室温の差がない場所に置くのがおすすめと言えるでしょう。
トイレの砂取りマットも用意する
トイレの砂が部屋のあちこちに散らばっている、これも猫あるあるの一つです。猫の可愛い肉球にトイレの砂が挟まってしまうこともあります。トイレの前に砂取りマットを置くと、そこで砂が落ちるようになるのでお部屋の清潔さも保てて便利です。
猫の毛玉吐き対策をする
猫は毛玉を吐き出す動物です。個体差があり、吐かずにウンチとして出すことが多い子もいればしょっちゅう吐いている子もいるそうです。(毛玉をだしやすくするフードもあります。)そのため掃除がしやすいお部屋にしておくと良いです。カーペットはお掃除が大変ですし、ラグマットを敷くにしても自宅で手軽に洗えるものがおすすめです。
今はペットや赤ちゃんが汚してしまうことを見越してその部分だけ外して洗える「タイルマット」を上手に活用している飼い主さんも多いです。清潔な生活環境を維持できるような工夫をしておくことも健やかな成長を見守ることにつながっていくことでしょう。