犬の睡眠時間ってどれくらい?
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犬を飼っていると、1日のうちほとんど寝ていることに気づきます。「いつも寝ているけど大丈夫なのかしら?!」と愛犬の寝過ぎが心配になったことありませんか?
この記事では、犬の睡眠時間やよく寝る理由、また突然寝ることや寝すぎることで隠れているかもしれない病気について解説していきます。ではまず、犬の睡眠時間から見ていくことにしましょう。
一日の大半をほとんど寝てすごしているように見える犬ですが、犬の平均睡眠時間はどのくらいなのでしょうか?それは年齢によっても違いがあるようです。
幼少期の平均睡眠時間
生まれてから1歳までの幼少期は、好奇心旺盛で元気よく活動する時期です。とにかく動き回っていることが多い時期ですが、その分運動量も多くエネルギーをたくさん消費するため、睡眠時間もたくさん必要です。
疲れを残さないためにも、幼少期は1日平均18~19時間の睡眠時間を確保します。人間でも「寝る子は育つ」と言いますが、可愛い子犬にはたくさん寝てもらい、元気で健康に育ってもらいましょう。
成犬期の平均睡眠時間
1~7歳までの成犬期の平均睡眠時間は12~15時間程度と言われています。成犬の中でも大型の犬種は、平均睡眠時間よりも少し長くなるようです。
1歳半を過ぎると、体力と精神の両方が充実する成長のピークの時期となり、幼少期よりも若干少ない睡眠時間になります。もし成犬に成長しても異常に睡眠時間が長い場合は、ストレスや病気、ケガなど何かしらの原因があると思われます。
シニア期の平均睡眠時間
シニア期を迎える8歳頃からは成犬期よりも睡眠時間が増え、幼少期と同じくらいの18~19時間の睡眠時間が必要となります。必然的に体力が衰えるため以前よりも多くの休息が必要となり、疲労回復にも時間を要するようになるためよく寝るようになります。
また、シニア期になると性格が以前よりも穏やかになり、落ち着いた日々を過ごすようになります。ほとんどの時間を寝て過ごす、もしくはじっとしていることが増えるようになります。
犬の睡眠サイクルとは
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犬の睡眠はわたしたち人間と同じく「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2種類があります。
ノンレム睡眠は大脳が休息する時間で、まどろみ状態からぐっすり状態へと深い眠りにします。その後、大脳を覚醒して身体がぐったりし、深い休息をとるレム睡眠に代わります。まず眠りにつくとノンレム睡眠が訪れ、その後レム睡眠が訪れます。
犬も人間のようにこのサイクルを繰り返しますが、犬の場合はレム睡眠は全体の10~15パーセントと言われています。
犬の睡眠時間が長い理由とは
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では、なぜ犬は1日の大半を寝て過ごすのでしょうか?それは、犬がもともと狩りをする動物であったということが関係しています。おもな2つの理由をみてみましょう。
理由①犬は夜行性だったから
狩りをする動物であった犬は、狩りをするにあたり気配を隠して獲物を狙いました。そのため、夜に活動することが都合がよかったようです。また、人間と一晩中寝るという習慣がなかったので、日中寝る性質がありました。
しかし今では犬はペットとして人間と一緒に生活するようになり、適応能力も優れているため、人間の生活リズムにすぐに順応し、夜も長い時間眠るようになりました。
それでも狩りをする本来の本能も残されていますから、昼間もよく寝る動物として知られています。
理由②すぐに目覚めて行動する必要があったから
犬は狩りをする動物であったため、自らも敵から襲撃される危険性がありました。このリスクを回避するためには、気配を感じたらすぐに動く必要がありました。そのため、犬の睡眠時間の多くはレム睡眠と呼ばれる浅い眠りがほとんどです。
また、狩りはたくさんのエネルギーを消費するため、体温温存のために睡眠時間を多くとる必要がありました。そのため、活動の合間を見つけてはどこでもこまめに眠るようになったと言われています。
睡眠時間が長すぎるのは危険!
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犬の睡眠時間は長いですが、平均睡眠時間よりも長い場合は危険です。睡眠時間を長くさせる危険な要因を探り、それを解決する必要があります。考えられる要因の主なものは、以下の4つです。
①ストレス
引っ越しなどで環境が劇的に変化した場合、犬はストレスとなり疲労感を感じます。そのため睡眠時間も増えます。
ストレスの要因になるものは引っ越しに加え、飼い主さんに新しい家族(赤ちゃん)が増えること、新しい犬や猫などのペットが増えること、近所で騒音のする工事が始まったなどが挙げられます。
ストレスを上手く解消できないと、うつ病などの精神病を引き起こす危険性もあるので注意しましょう。
②甲状腺機能低下症
”元気ホルモン”とも呼ばれている甲状腺ホルモンの働きが弱くなると代謝機能が低下するため、過剰な眠気を引き起こします。
そのため、睡眠時間がいつもより長くなることに加え、突然寝だすなどの症状があらわれます。
③関節などに痛みがある
シニア犬に良くみられるケースですが、関節炎を患っているとその痛みを抑えるために動かないでじっとしている時間が増えるようになります。
④特定の病気を患っている
糖尿病や感染症などの病気が進行して症状が悪化すると、全身の状態が悪化するため睡眠時間が長くなり、ほとんど寝たきり状態になってしまいます。
放置しておくと昏睡状態などを引き起こし、命に関わる危険性もあるので注意が必要です。
突然眠気に襲われる睡眠障害”ナルコレプシー”とは?
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人間同様犬も、日中発作的に強い眠気に襲われる、”ナルコレプシー”という睡眠障害になることがあります。日本では”居眠り病”とも呼ばれ、急に我慢できないほどの強い睡魔に襲われるという特徴があります。
通常の睡魔と病気の判断が分かりにくいためつい放置されがちですが、日中によく寝るため周囲から誤解されることが多いことで知られています。
人間の睡眠障害と知られているナルコレプシーですが、実は犬にも生じる病気です。犬も人間のように、突然の睡魔や脱力などの症状があらわれます。しかしもともと犬はよく眠る動物なので、この症状が出ているかは分かりにくいことが多いです。愛犬の様子をしっかり観察することが飼い主に求められます。
特に犬の場合は、喜んだり興奮したりするなど感情の起伏によってスイッチが入り、急に脱力発作を起こします。ごはんや飼い主さんの帰宅時に興奮状態になったと思ったら、その後突然倒れて寝てしまうというケースもあります。
ナルコレプシーが発症しやすい犬種
ナルコレプシーが発症しやすい犬種には、次のものが挙げられます。
- ドーベルマン
- ラブラドルレトリバー
- プードル
- ビーグル
- ダックスフンドなど
特に大きな体格をしている犬は、突然倒れたときにケガをする危険性もあるので注意が必要です。
ナルコレプシーが発症する原因とは?
ナルコレプシーは、脳の神経伝達物質オレキシンが関係している睡眠障害と言われています。オレキシンは脳の覚醒を維持させる役割があり、多くの生き物が活動するために必要な物質として持っています。ナルコレプシーは、このオレキシンが機能障害を起こすことで睡眠障害を引き起こすと言われています。
ナルコレプシーには、先天性と後天性の2種類があります。先天性の場合は生後6ヶ月までに発症し、後天性のものは脳炎や外傷、腫瘍などの脳の病気で、脳幹の睡眠中枢に障害が生じた場合に発症しやすい傾向にあります。特に老犬がかかりやいことで知られています。
先天性の場合は、その個体に交配させるとナルコレプシーになる可能性の高い遺伝子を受け継いでしまうので、遺伝性疾患を増やさないためにも、ナルコレプシーを発症している個体に交配させることを避けるようにしなければなりません。
ナルコレプシーの症状とは?
ナルコレプシーに見られる症状は、突然襲ってくる睡魔と脱力です。日中、突発的に寝てしまうとか、興奮しているときに急に脱力や麻痺するなどの症状があらわれます。これらの症状は数秒から30分ほど継続して続きます。飼い主さんの呼びかけや、外部からの刺激などで気づくのが一般的です。
ナルコレプシーを発症している子は突然倒れることがあるので、ケガをしないよう環境を整えてあげる必要があります。これは散歩などの外出中に起こることもあるので、愛犬を運ぶアイテムなどをいつも常備しておくことができるかもしれません。
ナルコレプシーの治療方法とは?
今現在のところ、ナルコレプシーを直接的に治す治療法は見つかっていません。獣医師さんと相談し、症状に応じた対症療法や神経に働く薬を処方してもらいましょう。
また、生活環境を見直すことで症状が和らぐこともあります。ナルコレプシーを完治することは現在の医療では難しいので、生涯向き合っていく必要があります。病気のことをよく理解し、愛犬をサポートしてあげましょう。
犬に生じる睡眠障害
犬に生じる睡眠障害には、上記でみた突然寝るナルコレプシーだけでなく、ほとんど寝ないという睡眠障害もあります。
そもそも犬はよく寝る動物なので、ある程度しっかりした睡眠をとることができないと、健康はもちろん精神衛生上にも問題がでてきます。
ですから、愛犬があまり寝ない、もしくは夜になっても熟睡していないという場合は、睡眠障害としてきちんと対処して向き合う必要があります。よく眠ることが健康維持につながるからです。
飼い主にとっても、ワンちゃんにとっても規則正しい生活は大切です。食事や睡眠はとても大切な習慣の1つですが、ワンちゃんが夜あまり寝てくれないことがあるかもしれません。今回はそんな寝つきの悪いワンちゃんの原因と対処法をご紹介したいと思います。
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