猫の歯の構造はどうなってる?
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猫の歯はいつもよく見ているようで、あまり知らない・・という方も少なくありません。
歯はごはんを食べるためにとても大切な器官です。また子猫であれば人間のように歯の生え変わりがあるので、飼い主として猫の歯についてよく理解しておくことは大切です。
猫の歯の構造はどのようになっているのでしょうか?猫の歯は、子猫は乳歯が26本、成猫になると永久歯30本で構成されています。猫も人間同様、成長するにつれて顎の骨が大きくなり歯が生える場所も広くなるので、永久歯は乳歯よりも4本歯の数が増えます。
では、猫の歯は、どんな種類で構成されているのでしょうか?以下のような歯に分類できます。
「前歯(切歯)」
「犬歯」
「臼歯」
歯の種類ごとの特徴
では歯の種類ごとに詳しくみていきましょう。
・前歯(切歯)
前歯(切歯)は、上顎と下顎にそれぞれ6本ずつ生えています。つまり、全部で12本あります。
切歯は獲物に噛みついたり、小さな獲物の肉を噛みとるだけでなく、自分の体が痒いときに甘噛みをするときや、グルーミングをする際に櫛のように使うこともあります。
・犬歯
切歯の左右には、大きな犬歯が1本ずつ上顎に2本、下顎に2本生えています。犬歯は幅が広くて長く、獲物を襲って噛みつく際に相手に傷を負わせるときに使います。また、猫同士のけんかの際には、威嚇するときに犬歯を見せます。
・臼歯
前臼歯は上顎に6本、下顎に4本、後臼歯は上下に2本づつ生えています。
臼歯は犬歯より奥にあり、口の先端から奥歯にかけて生えています。そして、前方に生えているものを前臼歯、奥に生えているものを後臼歯と呼んでいます。乳歯から永久歯に生え変わるとき、後臼歯が新しく生えかわり、歯の数が増えます。
猫は肉食動物なので、獲物を前歯や犬歯で噛みついてちぎった後、飲み込むため、獲物をわざわざ細かくすりつぶす必要はありません。そのため、臼歯の先は、ほかの歯と同じように尖った形をしています。
子猫の歯が生まれ変わる時期
では、子猫の乳歯はいつ頃、生え変わるのでしょうか?子猫の乳歯は、生まれてから15~20日ごろ生え始めます。そして、全部生え揃うまでには、およそ2ヶ月程度かかります。
その後、生後3ヶ月~7ヶ月頃までに、乳歯から永久歯へと生え変わります。生え変わりは、永久歯が生え始めると1ヶ月ほどで完了します。
子猫の乳歯の歯え変わり方
猫の永久歯は、乳歯が生えている時にはすでに顎の内部の骨にできています。乳歯の内側から生えてきて、永久歯が伸びるにつれて乳歯が押し出され、最終的に抜け落ちます。そして、乳歯の歯根は溶けてなくなります。
人間の場合、乳歯が抜けた後、永久歯が生えてくるまで歯がないため、食べるのに一苦労しますが、猫の場合はすぐに獲物を嚙めるようになっています。
歯の生え変わりの時期に見られる行動
乳歯から永久歯に生え変わる際、猫はどんな行動をするのでしょうか?代表的なものを見てみましょう。
・手や布などに噛みついてくる
子猫の乳歯が永久歯に生え変わるとき、歯ぐきが痛かったり、痒く感じるようです。そのため、飼い主さんの手や布、硬いモノなどに噛みついたりしてきます。
・出血する
歯が抜けると少し出血します。猫の口の周りに血がついていたり、噛んだものに血がつくことがあります。歯が抜けた際の出血は、たいてい5~10分で止血するので、特に心配することはありません。もし出血が15分以上長く続くようであれば、動物病院を受診しましょう。
・口臭がある
歯の生えかわりの時期は、口臭があることもあります。口臭は、乳歯と永久歯の間に食べたもののカスや歯垢が溜まりやすいため生じます。すべての歯が永久歯に生え変われば、口臭も自然に落ち着いてくるでしょう。
・口の周りをなめる
歯の生えかわり時期はよだれが増えたり出血など、口の周りをよく舐めるようになります。
猫の乳歯が抜けるタイミングを発見するのは難しい!?
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猫の乳歯が抜ける時期が分かっていても、愛猫の歯が抜ける瞬間や、抜けた乳歯を発見することは難しいと言われています。
なぜなら、ほとんどの猫は抜けた乳歯を飲み込んでしまうからです。飲み込んでしまった乳歯は、便と一緒に体外へ排出されるので特に心配はありませんが、抜けた歯を発見するのは難しいと言えるでしょう。
では、どんな場所を探せば抜けた乳歯を見つけられるでしょうか?
たとえば水飲みの容器の中やフードの器、床、お気に入りのおもちゃなどの中を探してみることができるかもしれません。
特に歯が抜ける時期になると口がムズムズするため、おもちゃなどを噛むことが多くなるようなので、床やおもちゃ付近に落ちている確率が高いとようです。
最近は猫ブームに伴い、抜けた乳歯を保管できる猫専用の乳歯保存ケースも販売されています。愛猫とも思い出のコレクションとして、乳歯を発見して保存しておきたいですね。
猫の乳歯遺残に要注意!!
乳歯から永久歯に生え変わる際、「残存乳歯」に気をつける必要があります。
残存乳歯、つまり、乳歯が綺麗に抜けることが出来ず残ってしまうと、永久歯にさまざま悪影響が及びます。
特に生え始めたばかりの頃の永久歯は、歯がしっかりしていないので、歯が折れてしまったり、歯並びが悪くなってしまうことにつながります。
また、残ってしまった乳歯と、生えてきた永久歯の間に歯肉炎ができたり、歯周病などが発症する可能性もあります。さらに歯並びが悪くなることで嚙み合わせも悪くなり、咬合異常を起こして、ご飯を上手に食べられなくなってしまうこともあります。
残存乳歯の疑いがある場合は、早めに動物病院を受診して、残ってしまった乳歯を取り除く手術を受ける必要があるでしょう。手術は麻酔をかけて、抜歯作業をすることになります。
また、永久歯に生まれ変わる時期を過ぎても、歯が30本生え揃わない場合にも、動物病院を受診するようにしましょう。