犬にレモンを食べさせてもいい?
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愛犬家ならだれでも愛犬にはいつまでも健康で長生きしてほしいと願いますね。「健康は食事から!」と言いますので、栄養がたっぷり含まれているものを食べさせたいと思います。
では、体に良い栄養素が含まれる「レモン」を犬に食べさせても良いのでしょうか?食べさせるとしたら、皮や汁ごとそのまま与えても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、犬がレモンを食べてもよいのか、またレモンの食べ方についてもご紹介いたします。
犬にレモンを食べさせても大丈夫
まず結論から言いますと、犬にレモンを食べさせても大丈夫です。レモンには、犬の健康を保つのに欠かせない栄養素が含まれているため、犬が食べることに問題はありません。
では、レモンにはどのような栄養が含まれているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
レモンに含まれる成分
レモンに含まれる栄養の中で代表的なものはビタミンCですよね。でも、レモンにはビタミンCだけでなく、体に良い栄養素がいっぱい入っているんですよ。
ビタミンCと合わせてそのいくつかをご紹介します。
ビタミンC
まずは代表的な栄養素「ビタミンC」です。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、水に溶けやすく熱や光にも弱いという特徴を持っています。ビタミンCはコラーゲン(タンパク質)の生成に不可欠な栄養素です。コラーゲンを生成するので、骨や軟骨を強化するのに役立ちます。また、体の抵抗力を高めるので、病気に強い体を作ることができます。
さらに、鉄分の吸収を良くする効果や抗酸化作用、さらには抗ストレス効果もあります。ホルモンを正常に分泌する働きもあるんですよ。
この、レモンに含まれる抗酸化作用とは、体内の活性酵素の働きを抑える作用を表しています。活性酵素が必要以上に働きすぎると細胞を傷つけてしまい、老化を促進し、ガンの発生につながることもあります。そのため、レモンなどに含まれるビタミンCを補給することで老化予防やガン予防も期待できます。
ビタミンCが不足すると壊血病(かいけつびょう)になってしまうこともありますので、大事な栄養素と言えます。
ちなみにレモンには、100gあたり100mgのビタミンCが含まれています。これはみかんやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類と比べても、多い数字です。
クエン酸レモンがすっぱい!と感じる理由は、このクエン酸によるものです。
クエン酸には、ミネラルの吸収を促進する効果があります。ほかにも、疲労物質である乳酸を分解し、生産を抑える効果もあるので、疲労回復に良い栄養素とされています。
ポリフェノール
レモンには、意外にもポリフェノールも含まれています。
その中には、「ヘスペリジン」「エリオシトリン」という種類が含まれています。これらの種類のポリフェノールは「ビタミンP」とも呼ばれ、抗酸化作用があります。
そのため、コレステロールの上昇を抑えて、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果があります。また、ボケを防止する効果もあります。さらには先述の活性酸素への効果も期待できるでしょう。
カリウム
カリウムとは、ミネラルの一種です。体内ではほとんどが細胞内液として存在しています。このカリウムは、細胞外液にあるナトリウムと連携して、体のバランスを保っています。カリウムが不足してしまうと、脱力感や筋力低下、食欲不振といった体調不良につながってしまうため、大切な栄養素です。
リモネン
リモネンとは、レモンの皮に含まれている香り成分のことです。リモネンの香りを嗅ぐと、脳内にα波が発生するので、リラックス効果につながります。
よくアロマなどでレモンの香りがよくあるのはそのためなんですね。
犬にとってビタミンCは不可欠なもの
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これまでご紹介したレモンに含まれる栄養素は、人間の体はもちろん犬の健康にも欠かせない栄養素です。
例えばビタミンCは体の抵抗力を高めてくれるので病気に強い体を作ることができます。また、抗酸化作用や抗ストレス作用もあるため、犬の健康維持に役立ちます。抗酸化作用があるおかげで、老化予防やがん予防にもつながります。
さらにビタミンCは「コラーゲン」の生成にも大きくかかわるため、毛並みの艶や皮膚の状態にも影響を与えます。ビタミンCが不足すると毛並みの状態が悪くなり、皮膚の健康状態にも悪い影響を及ぼしてしまいます。
そのほかにも、コラーゲンと関わりが深い関節や軟骨にも悪い影響が出てしまい、犬にとって大事な足にトラブルを抱えやすくなってしまいます。さらには、貧血や免疫力の低下により、様々な病気を抱えてしまうリスクも高くなってしまいます。
では、ビタミンCの不足によってどのような病気のリスクが高まるのでしょうか?
壊血病には要注意!
ビタミンCの不足によって発症してしまう代表的な病気は、「壊血病」です。
壊血病とは、ビタミンCの不足によって様々な部位の結合組織の形成が不良となり、体から出血を引き起こしてしまうものです。初期症状は、倦怠感、皮膚蒼白(そうはく)・乾燥で、皮膚の点状出血が起こります。症状が悪化すると、歯ぐきや筋肉、粘膜、骨膜、皮下に出血を起こします。また、骨の組織にも悪い影響を及ぼし、骨折しやすい骨になってしまいます。
栄養が不足していた古代の人にはよく知られた病気ですが、ビタミンがかなり不足してしまうなら犬も発症してしまう可能性がありますので注意が必要です。
犬は自分でビタミンCを生成できる
レモンには犬の健康にも不可欠な栄養がたくさん含まれていますので、「なるほど!犬の体にも良いのなら、たくさん食べさせた方が良い!」と考えてしまいますよね。
でも実を言うと、食事からビタミンCをたくさん摂取させる必要はないんです。なぜなら、人間と違って犬はビタミンCを体内で生成することができるからなんです。驚きですよね。生成のメカニズムは、ブドウ糖を原料として肝臓でビタミンCを生成するというものです。ですので、肝臓の機能が正常に働いている健康な犬ならばビタミンCをたくさん食事から取り入れる必要はありません。
ただし、犬はビタミンCを生成できるものの、食事から「全く」とらなくてよいというわけではありません。
犬が一日で生成できるビタミンCの量は、最大でも約60mgと言われています。しかし、犬にとって必要なビタミンCの量は、小型犬で約500mg、中型犬で約2,000mg、大型犬で約3,000mgも必要なんです。つまり、健康な犬でもビタミンCの量は不足しているということになります。
ですので、日ごろから適量のビタミンCを取ると良いことが分かります。