猫にゴボウを与えてもいいの?
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ネコちゃんたちにどんな食事を与えるか悩むことがありますか?基本的には、キャットフードを与えていれば必要な栄養を摂取することができます。
しかし手作りごはんをつくったり、野菜をおやつ代わりに与えたりしている飼い主さんもいることでしょう。そんな飼い主さんの中には「この野菜はネコちゃんに与えても大丈夫なのだろうか?」と考える事があるかもしれません。
なぜなら、人間にとっては身近な食材であってもネコちゃんたちにとってはそうではない場合もあるからです。身体のしくみも異なりますから、ひとつひとつの野菜の特徴を知っておく必要があります。
たとえば私たちがよく料理に使う野菜の一つに「ゴボウ」があります。代表的なものはきんぴらごぼうなどでしょうか?シャキシャキとした食感がやみつきになる人も多いでしょう。
では、ゴボウをネコちゃんに与えるのはどうなんでしょうか?与えても健康に悪影響はないでしょうか。今回は「ゴボウ」について考えて見ましょう。ネコちゃんが食べるメリットやデメリットはあるのでしょうか?ゴボウとネコちゃんの関係性について詳しくご紹介していきたいと思います!
猫にゴボウを与えても問題ない!!
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ネコちゃんにゴボウを与えても良いのでしょうか?簡単な答えは「Yes」です。ゴボウにネコちゃんたちにとって有毒となる成分は含まれていません。それで「与えても問題ない」と言えるでしょう。
しかし注意点もあります。それは「たくさん与えない」ことです。ネコちゃんたちにゴボウを与えても良いですが、そうだとしても少量にとどめておきましょう。
たくさんの食材の中に、ゴボウが含まれている程度が良いでしょう。ゴボウがメインの食事は避けたほうが良いということですね。
ゴボウ自体は有毒でないのに、どうして少量にとどめるべきなのでしょうか?それには、ネコちゃんたちの身体のしくみが関係しています。
猫は肉食動物で、野菜は苦手
ネコちゃんは肉食動物です。野生のネコちゃんたちのごはんは、私たちから見れば非常に栄養が偏っています。なぜなら、捉えた獲物しか食べないからです。小動物の肉を食べるのみで、野菜などは全く食べません。
人間の観点では不健康そうですが、ネコちゃんにとってはそれでいいのです。なぜなら、ネコちゃんの身体は肉食のみで健康を保つことが出来るようになっているからです。なので、あえて野菜を食べる必要はありません。逆にたくさん野菜を与えてしまうと、しっかりと消化できずに体調を崩してしまうことさえあります。
私たちが接するネコちゃんたちのほとんどは、生まれた時から飼い猫として育てられている子たちばかりです。この子たちは雑食である人間と生活を共にしてはいますが、肉食であることには変わりません。雑食のネコちゃんたちも中にはいますが、食べる量が多過ぎると逆に健康的ではありません。
特に、野菜の食物繊維には注意が必要です。たくさん摂取してしまうなら胃腸に負担をかけてしまいます。ゴボウは食物繊維が多い野菜です。「有毒ではないけど、与えすぎに注意」するべきなのは、こうした理由から来ています。
では、ゴボウを与えるメリットは全くないのでしょうか?そうでもありません。ゴボウを上手に活用するなら、ネコちゃんにメリットをもたらすことも可能です。そのためにはゴボウの特徴と、ゴボウの成分がネコちゃんにどんな影響を与えるかを知っておく必要があります。
ゴボウってどんな野菜!?
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ゴボウはキク科の多年草です。ゴボウの原種はユーラシア大陸の各地でみることができます。日本に入ってきた時代については諸説あり、本当のところは未確定です。ゴボウは薬用として用いられることが多く、食用としては日本や台湾、朝鮮半島だけでしか広まっていません。
日本では青森県や茨城県、北海道などで生産されています。ゴボウにはいくつかの種類があり、秋から冬にかけて収穫されるものや、夏の時期に収穫されるものもあります。それぞれの種類によって異なった香りや味わい、食感を楽しむことができます。
ゴボウは昔から愛されてきた食材です。汁物や混ぜご飯、サラダなど、幅広く活用されてきました。上手に活用するならネコちゃんのための手作りごはんレシピを増やすことが出来るかもしれません。
ゴボウに含まれる栄養素
ゴボウにはどんな成分が含まれているのでしょうか?また、それはネコちゃんたちにどんな影響をあたえるでしょうか?特徴的な栄養素をご紹介しますね。
食物繊維
ゴボウには食物繊維がたくさん含まれていますが、食物繊維には2種類あることをご存じでしたか?それは「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」です。
「不溶性食物繊維」は水に溶けることがなく、腸の中の水分を吸収して便のかさを増すと共に、腸のぜん動運動を高めます。
一方で、「水溶性食物繊維」は水に溶ける性質があります。腸内で水分に溶け込みゲル状になります。これらが有害成分を吸着して排出させてくれます。
ゴボウにはこの2種類の食物繊維が両方とも含まれています。
リグニン
リグニンは不溶性食物繊維です。ゴボウのリグニン含有量は野菜の中でもトップクラスです。リグニンは水に溶けることがありませんので、腸のぜん動運動を高めてくれます。
しかしネコちゃんに与える時には注意点が必要な成分でもあります。人間であれば、便秘の時に不溶性食物繊維を摂取すると、その効果から便秘が解消されることが多いでしょう。
ネコちゃんたちも同様の効果を期待できるのですが、摂取しすぎることで逆の効果に陥ることもあるのです。ネコちゃんの便秘の具合が更に進行してしまうこともあります。
イヌリン
イヌリンは自然界において様々な植物によってつくられる多糖類の一群です。イヌリンは糖類ではなく、食物繊維として扱われます。
食物繊維の中でも水溶性食物繊維の一種として効果性を発揮してくれます。腸の中で水分に溶け込み、有害な成分を吸着して排出させてくれます。ネコちゃんの腸内をきれいにしてくれるので、ネコちゃんにとってもメリットのある成分だと言えます。
さらに、イヌリンには糖の吸収を抑制する働きがあります。
ネコちゃんは糖の代謝がもともと苦手なので、血糖値を下げる機能があまり発達していません。それで糖質の高い食事をとり続けるなら、糖尿病になってしまうかもしれません。そのようなことを防ぐためにもイヌリンの働きが役に立ちます。
イヌリンにはもう一つの効果もあります。それは利尿作用です。利尿作用によってナトリウム(塩分)を排出するサポートができます。塩分の取りすぎは腎臓病の確率を高めますから、イヌリンの利尿作用を上手に活用したいものです。
カリウム
ゴボウにはカリウムが豊富に含まれています。ネコちゃんにとってカリウムはどのような存在なのでしょうか?
無くてはならないものと言えます。カリウムはネコちゃんの身体の様々な機能を助けてくれる存在です。身体のバランスを保ってくれるので、食べ物からぜひ摂取するよう心掛けたい栄養素と言えます。
カリウムには神経伝達や心機能、筋肉機能を調整してくれる働きがあります。また、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して尿としての排出を促してくれます。それゆえに血圧を下げる効果も見込めます。
カルシウム
カルシウムと言えば、「骨を強くする」というイメージがありますよね。しかし、実際は骨を強くする以上に様々な働きをしてくれる成分です。
カルシウムは筋肉の収縮や弛緩を助けてくれます。筋肉を動かすためにはカルシウムが不可欠です。カルシウムは身体を動かすのに欠かせないものなので、体の中に蓄えられているものでもあります。どこに蓄えられているのでしょうか?
それは骨の中です。カルシウムを摂取しないなら、骨からカルシウムが失われていき、骨がもろくなってしまいます。「骨とカルシウム」にはこのような関係があったのですね。
では、ネコちゃんにもたくさんカルシウムを与えるべきだと思われるでしょうか?それはそれで問題となります。カルシウムを過剰に摂取してしまうなら膀胱結石となる可能性があるからです。
必要な成分ですが、バランスが大切です。
マグネシウム
マグネシウムはネコちゃんの身体のなかで代謝に関与してくれる栄養素です。哺乳類や鳥類、魚類の骨に含まれていることが多い成分でもあります。
心臓の健康維持には欠かすことの出来ないものです。マグネシウムが欠乏してしまうと不整脈などの血管系の病気になりやすいでしょう。カルシウムと同様、骨と歯の重要な構成成分でもあります。
マグネシウムもたくさん摂取してしまうことで、尿石のリスクが高まります。摂取には適度なバランスが大切でしょう。
リン
リンはエネルギー代謝や細胞などにとって大切な役割を果たしてくれます。肉類や骨粉などに含まれています。
リンはカルシウムとのバランスが非常に大切です。カルシウムとリンの比率はとても重要であり、骨の強度に関係してきます。ネコちゃんの食事は、カルシウムとリンの割合が適正に保たれたものでなければなりません。
ですからカルシウムを取りすぎてもいけませんし、リンを取りすぎてもいけないのですね。