愛犬との生活を豊かにするためには愛犬が楽しいと思えることをたくさん経験させてあげることです。しかしたくさんの経験をさせてあげるためには子犬の時から社会に慣らしておく必要があります。それによって愛犬の生活が大きく変わります。子犬のうちにトレーニングができないと本来わんちゃんが楽しいと思えることでも苦手になり他のわんちゃんや飼い主さん以外の人を怖がったりするようになってしまいます。
ですから愛犬にたくさんの楽しい経験をさせたいと願うのならまず社会性を身につけるトレーニングをする必要があります。そしてしっかり社会性が身に付きしつけられたなら愛犬が喜びそうなことを思いっきり経験させ豊かな生活を送らせてあげましょう。
その1.社会化を身に付ける
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犬の社会化って何?
子犬の頃からわんちゃんにさまざまな経験を積ませて社会に慣れさせ柔軟かつ適正に対応する力を身に付けることです。この社会には人間社会だけではなく他の動物たちとの付き合い方なども含まれます。
生後4週齢~13週齢の時期を社会化期といいます。子犬はこの時期に、周囲の人や他の動物と触れ合いそれらが刺激となり様々なことに適応していくことを学ぶ時期です。
社会化ができないと車や初対面の人を必要以上に警戒し怖がったり、日頃から落ち着きのないわんちゃんになり吠え癖や噛み癖などの問題行動を起こしあまり幸せではない結果になってしまいます。
社会化期の前半(生後4週齢頃~)に子犬は母親や共に産まれた兄弟達と遊ぶことで『相手の仕草』などから犬同士のコミュニケーションのようなものを身につけます。相手の仕草と書きましたが『犬語』で話すわけではなく犬同士のボディランゲージで相手の感情を読み取りコミュニケーションを取っているようです。
ハイテンションになり遊びが度を越すと兄弟喧嘩になりどのくらい噛むと痛いかなどを学習していく時期です。
しかしペットショップなどにいる子犬たちは犬同士のコミュニケーションを学んでいない可能性もあり社会化を身につけないまま家庭に来ることもあります。
そのようなわんちゃんを引き取ることになったのなら飼い主さんが子犬に様々な人や犬などと関わらせ、色々なものに触れさせ「怖くないんだよ〜」、「普通のことなんだよ〜」ということを教えてあげる必要があります。
具体的に何をすれば良いの?
では具体的にどのような経験をさせると良いのでしょうか。
◆お散歩で子犬を迎えたら積極的にお散歩に行って色々な経験をさせてください。ワクチンの接種が完了していないからといって外に出ないでいると大切な社会化期を逃してしまいます。そのような時期には抱っこでお散歩したりカートでお出かけしたりして感染のリスクを減らして連れ出すと良いかもしれません。
ではお散歩ではどのようなことを学べるのでしょうか。
・人に慣れさせる外に出かけると色々な人がいます。男の人 、女の人、子供、制服を着た人、帽子をかぶった人、マスクをしている人、ヒゲをはやしている人、メガネをかけている人、傘をもっている人などなど・・・。無理は禁物ですが可能であれば色々な人に撫でてもらうと良いでしょう。その時に正面から頭の上に手をおろされると怖がり警戒心が植え付けられてしまうのでおやつで気を引きながらわんちゃんのサイドから撫ででもらうことが良いでしょう。
・犬に慣れさせる親元を離れて室内飼いがスタートすると他のわんちゃんとの接触がなくなってしまいます。社会化期には犬同士のコミュニケーションを学ばなければなりません。私たち人間は教えてあげることができないためそのような機会を作ってあげる必要があります。ぜひお散歩などから多くのわんちゃんのお友達を作ってあげてください。そうすることによって他のわんちゃんを怖がったりしなくなります。
・たくさんの刺激になれさせるお散歩での出会いは人や犬だけではありません。空気や風、鳥の鳴き声、ひらひらと飛び交う蝶々、様々な匂い、街中の騒音、パトカーや救急車などのサイレン、電車や踏切の音など家の中では感じることのないものに遭遇します。
わんちゃんが見知らぬものに対して恐れを持つことは自然な行動です。しかし生きていく上で生涯恐怖心に満たされて生活しなければならないのはかわいそうなことです。
愛犬の周りにあるものを「見せて」、「聞かせて」、「嗅がせる」など感覚を刺激しながら環境に慣れさせていくと不必要な警戒心や恐怖心を抱かずに生活を楽しむことができるでしょう。
それでもワクチンが済んでいないからお外に連れ出すのは怖いと感じる飼い主さんもおられることでしょう。そのような方は家の中でテレビやYouTubeなどから、日常生活の様々な音を犬に聞かせてあげると良いでしょう。時が来て外に出た時には「お家の中でたまに聞こえてくる音だね〜 怖くないよ〜」と教えることができます。
◆遊びは学習わんちゃんにとっての遊びは多くのことを学ぶところで、生きていく上で欠かせないものです。特に子犬の時の遊びは他の犬や人間との接し方や自分自身の立場を理解することに役立ちます。その一つの方法が『噛む』時の加減です。子犬は甘噛みをします。それを許し続けると成犬になった頃には強い力で噛むようになり事故につながりかねません。社会化期に遊びながら噛んだらいけないものと噛んで良いものとを教えていく必要があります。
◆家の中でお家の中でお勉強もたくさんできます。爪切り、歯磨き、シャンプー、ドライヤーなど衛生上必要なことは子犬のうちに覚えさせておく必要があります。
またリードやハーネス、などのお散歩用品、お洋服、キャリーケースなどもありますし、電話の着信音やインターホンの音などにも慣れさせておく必要があります。
社会化期の過ごし方でその後の楽しみ方が変わってくる
社会化期の子犬はスポンジのように多くの物事を吸収していきます。この大切な時期にゲージの中でお留守番ばかりさせていると将来、問題行動を起こすわんちゃんになってしまいます。
上手に社会化ができたわんちゃんの先には楽しいことがたくさん待っています。愛犬に楽しい経験をさせたいと思うのならまず社会化を身に付けることが最優先です。
その2.愛犬の喜ぶお散歩
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社会化を身につけるために愛犬とお散歩をしてきましたが、そんな愛犬はお散歩が大好きになったことでしょう。しかしその頃にはもしかしたら飼い主さんからするとお散歩が作業のようになっていませんか?もしそうならば愛犬が喜ぶ散歩をさせてあげてください。ではわんちゃんが喜ぶお散歩とはどのようなものでしょうか。
地面の匂いをたっぷり嗅がせてあげる
作業になってしまっている飼い主さんにとっては一番面倒に思えるところかもしれません。「散歩に行くと地面の匂いばかり嗅いでいて全然前に進まない」とよく聞きます。たしかに飼い主さんにとっては待っている間、「早く終わらせたい」と思ってしまいますよね。
しかしこの匂いを嗅ぐという行為はわんちゃんにとっては非常に大切な時間であり本能を満たす時間でもあるのです。
わんちゃんの嗅覚は人間の100万から1億倍といわれています。例えば人間にとってただ「臭い」と感じる匂いであってもわんちゃんはその「臭い」という情報から年齢、性別、健康状態、精神状態などを分析することができると言われています。
家の周りをお散歩しているだけで「そこまで分析しなくてもいいよ」と言いたいところですが、私たち人間は外に出た時まず目で見えたものから情報を得ます。しかしわんちゃんは匂いを嗅ぎ回ってその場所の情報を得ようとするのです。そのためしっかりと匂いを確認することができないままその場を過ぎ去るということは欲求不満につながってしまうのです。「あの犬がさっきここ通ったな」、「この匂い初めてだぞ」などの好奇心を満たすお散歩をゆっくり楽しむことを愛犬は望んでいるのです。
お散歩は飼い主さんとのコミュニケーションタイム
愛犬は飼い主さんから話しかけられるお散歩が大好きで、とても満たされる気持ちになるようです。お散歩は飼い主さんと愛犬が1対1でコミュニケーションを取る貴重な時間です。「今日はいい天気だね〜」とか「気持ちがいいね〜」などと話しかけるだけでも幸せを感じるようです。片手にスマホを持って眺めながらのお散歩では愛犬も悲しくなってしまいます。とにかく飼い主さんとコミュニケーションを取りながらのお散歩を愛犬は求めていますからアイコンタクトを含めたコミュニケーションを楽しんでください。
また散歩の途中で休憩スポットを見つけるということも愛犬は喜びます。その休憩タイム中におやつを一欠片与えると「あそこまで行けばおやつがもらえると!」と学習し楽しい気分になれるようです。
時にはドライブも
少しだけ遠くに行くだけでもいいですし、車に慣れている愛犬なら遠出も経験させてあげたいです。
車は私たちの移動手段ですから、愛犬が慣れてくれれば共に過ごせる時間が多くなります。最近では愛犬と共にお出かけできるスポットが増えています。
いつものお散歩コースはアスファルトの道を歩いているかもしれません。たまには芝生の上や土の上を歩かせてあげるもの良いでしょう。わんちゃんの嗅覚については上記で説明しましたが、別の環境で匂いを嗅ぎながら遊ぶことはわんちゃんにとって何よりの刺激になり、脳の活性化にもつながります。また、わんちゃんのお顔の表情も豊かになりますし、芝生や土の上を思いっきり走り回ることにより関節や筋肉に良い影響を与えます。
シニア犬にはあまり無理はさせたくありませんが土や落ち葉など柔らかいところを歩かせるのも良いトレーニングになります。
私たち人間にもわんちゃんにもいえることですが、たまには環境をかえてみることも良いことだと思います。