1人の写真家の作品にこだわって展示した世界的にも珍しい、山形県酒田市の「土門拳記念館」。
この美術館は、写真専門の美術館としては日本初であり、世界でも珍しい美術館です。
「土門拳記念館」をご紹介します。
リアリズムの視点で昭和の日本を撮り続けた写真家・土門拳
画像提供 土門拳記念館
戦前・戦後と目まぐるしく変化する日本において、演出を嫌い、そこに流れる一瞬一瞬の場面を大切に、日本の伝統文化や報道写真を撮り続けた一人の写真家がいます。
それが、土門拳氏です。
▼土門氏が愛用していたカメラも展示されています
土門拳氏の言葉を借りるなら「絶対非演出の絶対スナップ」。
館内には、演出を好まず、「リアリズム」という独自の視点にこだわり、撮影された作品の数々が展示されています。
嘘のない真実ならではのリアルな世界観だからこその土門氏の作品が観るものの心を強く掴んで離しません。
▼土門氏の力作が飾られた主要展示室には椅子も配されていますので、座ってじっくり眺めたいですね!
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土門氏の故郷・酒田市に佇む!周辺環境との調和にこだわった記念館
美術館が佇むのは、山形県酒田市の緑豊かな鳥海山を借景とする飯森山公園内。
酒田市出身の土門氏は、1974年に酒田市名誉市民第1号に選ばれています。
それを受けて、土門氏は自身の全7万点の作品を酒田市に寄贈し、1983年に日本初の写真専門の美術館として、「土門拳記念館」が誕生したのです!
▼別名「拳湖」とも呼ばれる 白鳥池と記念館の外観!
▼中から目にする自然にも心が癒されます
記念館に華を添える名芸術家たちの作品
敷地内には、土門氏の豊かな才能を示すように、土門氏と親交が深かった芸術家の作品も展示されています。
著名な芸術家の作品と出逢えるのも良いですね♪
▼フランスでブランクーシのもとで修業を積んだイサム・ノグチ氏による「土門さん」と名付けられた彫刻
▼華道・草月流の家元としても映画監督としても世界に名を馳せた勅使河原宏氏による庭園「流れ」
▼東京オリンピックのポスターなど、数々のデザインを手掛けた亀倉雄策氏作のエントランスの銘板
▼独自の感性で蛙を詠んだ句を多く残した草野心平氏筆の「拳湖」
「リアリズム」という独自のフィルターを通して撮影された多くの作品は、世代や国境を超えて今なお多くの人に愛され続けています。
そんな土門氏の作品のみならず、イサム・ノグチ氏など、土門氏と親睦が深かった名だたる芸術家たちの作品とも出逢える「土門拳記念館」は、芸術の秋にこそ訪れたいお勧めのスポットです。
※許可を得て掲載しております。