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奥様は料理上手
「おいしい?」
「うん、おいしいよ」
「じゃあ、今まで作った料理で、
何が一番おいしかった?」
「全部おいしいよ」
「もう、いつもそれしか言わない!
どうせ嘘ついてるんでしょ!
本当は私の料理なんて、
味わって食べてないんでしょ!」
……
「…で、実家に帰ってきたの?
まだ新婚一ヶ月なのに」
「ごめんなさい、お母さん」
「でももしかしたら、
本当に全部おいしいと
思ってるのかもしれないよ?」
「え~、そうかな?」
「せっかく戻ってきたんだから、
今日のご飯、作ってみてよ。
本当においしいのか、
お母さんが判定してあげる!」
そして私は
腕によりをかけて料理を作った。
そして…
「…優しい旦那さんじゃないの」
母は真っ青になって倒れてしまった。
「このひどい料理をおいしいだなんて。
そんなにやさしい嘘は
愛がなきゃ、言えない…」
「ごめん…」
「それにしてもあんた、
自分の作った料理食べて
なんとも思わないの?」
「ほら、私って鼻炎持ちでしょ?
今、鼻が詰まって
味がよくわからないの」
そうこうしているうちに、
夫が迎えにきてくれた。
「すみません、お義母さん。
迷惑をかけました」
「いいのよ。
それにしても、
あの料理をおいしいだなんて、
愛のなせるわざね」
さとる君はひきこもり
「最近さとる君はどうしてるの?
今は就活中でしたっけ?」
「実はあの子…
最近部屋から出てこなくて
困ってるんですよ」
「えっ!
あのさとる君が、ひきこもり?
とても明るい子だったのに
信じられない…」
「そうなの、
就活がうまくいかなかったのが
ショックだったみたいで。
いくら声をかけても
部屋から出てこないんです…
あら!
もうこんな時間!
そろそろ帰らないと!」
……
「奥さんも大変ね、
旦那さんが蒸発して間もないのに、
息子さんがひきこもりなんて…」
「さとるちゃん、ただいま」
後輩想いの嘘
「清水さん!お疲れ様です!
俺の企画書、見てもらえませんか?」
「部長に見せるやつだっけ?
いいぞ」
「ありがとうございます!
はじめての大きな仕事だから、
是非清水さんの意見も貰いたくて」
「どれどれ…」
……
「全然ダメだな…」
「えっ!?」
そういうと、
先輩は俺の企画書を
ゴミ箱へ捨ててしまった。
「このレベルじゃ、
部長に見せても怒られるだけだぞ」
「はい…」
「そうへこむなって。
新しい企画、一緒に考えてやるから」
「先輩…」
先輩はいつもこうだ。
厳しいとこもあるけど、
いつも俺のことを指導してくれる。
俺もいつか先輩みたいになりたいな。
--数日後--
結局、良い企画を作れなかった
俺の代わりに先輩が部長に
プレゼンをすることになった。
その結果は大成功!
社長にもパートナーにも絶賛され、
そのまま先輩は
大プロジェクトのリーダーとなった。
先輩はやっぱりすごいな…
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