新型コロナウイルスの影響により、全国的に非常に厳しい状況が続いています。筆者の住む北海道札幌市においてもコールセンター内でのクラスターが日々発生しており、市内同業種で働いていた身としては色々と思うこともあります。ネット上ではワクチン接種の予約受付を行っているコールセンターの悲惨さといった点も取り上げられ話題になっていますが、改めて勤務していた頃を踏まえて現場の大変さをざっくりと紹介していきます。
電話殺到、クラスター発生でコールセンターは疲弊
ワクチン接種予約、コールセンター疲弊 電話殺到、苦情や暴言… クラスターも不安、札幌で発生例:北海道新聞 どうしん電子版#新型コロナ #ワクチン #コールセンターhttps://t.co/8VsJa2aDLi
— 北海道新聞 (@doshinweb) June 2, 2021
道内には相当数のコールセンターが存在しており、現在では新型コロナウイルスのワクチン接種予約に関する窓口業務を行っているセンターの過酷さが取り上げあられ話題になっていました。
上記記事内にもあるように、
・対応するオペレーターには相当理不尽なクレームや暴言が向けられる業務の辛さ
・併せてクラスター発生といったセンター内での感染への心配
・単純な業務量の多さ
といった現場の過酷さが紹介されています。
速報 札幌市の10日の感染110人台…集団感染相次ぐコールセンター、情報公開しない理由は? https://t.co/FfV6GYikjz #hbcnews
— HBC news (@HBCnewsJNN) June 10, 2021
また札幌市内においては多くのコールセンターにてクラスターが発生する状況が頻発しており、現場のオペレーター、管理者は相当な不安があることが窺えます。
実際、数年間市内のコールセンター内などで数年間SV(スーパーバイザー)と呼ばれる現場管理者の立ち位置で従事していましたが、業務の多くは”ストレスは物凄い”といった印象です。何のコールセンターかにもよりますが、朝から晩まで理不尽に怒鳴られっぱなし、といった現場もありますからね…。
コロナの感染拡大が起きる前から心理的な苦痛で退職する方が多かったので、現在働いているスタッフはそれまで以上に厳しい状況です。
コールセンターは受付でしかない。苦情を言われても対処出来ず、ましてや優遇する事も出来ない。クラスターの恐怖と戦いながら受付しているオペレーターに恫喝したり、怒りをぶつけるのは違う。電話もかけ直さず待っていれば繋がるはず。でも老人には届かないだろう呟き...
— りりか (@ririka1015) June 3, 2021
ワクチン予約の業務では無いですが、コールセンターに居ると毎日こんな状況です。ワクチンの間違い電話も多くて、間違えを教えてさしあも逆ギレされる始末です。正直、こっちが死にたいわ。
— ノアールさん。 (@noir_00216) June 3, 2021
SNS上にも様々な反応が見られますが、上記のように「受付でしかないのに無理を言われても対応できない」といった旨の投稿も見られます。
オペレーター暦6年の筆者が語る、コールセンターの実状
コールセンターはあくまで受付
前提としてコールセンターは電話を受けるところです。例えば予約を受ける、ご意見を代理で伺い会社に報告する等の仕事が主となります。
そのため運用に関することや深く掘り下げた内容、慰謝料云々といった話に関してはセンター内では原則裁量を持っておらず、対応できない場合が大半となります。
「責任者出せ」はあまり意味がない
会社員当時、筆者は「責任者出せ!」とまでエスカレートしたものの対応をしていましたが、明らかに無理、理不尽なものに関してはどれだけ怒ろうが対応は変えませんでした。
恐らく多くのセンターでのSVが同様と思いますし、暴言や無理な要求が度を超えたものであれば当然法的措置の対象となります。
保留が長い理由は
コールセンターへ問い合わせの経験のある人の多くは、「保留の時間が長い」と思ったことがあるはずです。
これにはいくつか理由があります。
・聴取した情報で契約内容や利用状況といったものを調べるため
・管理者に状況を説明し、回答内容の指示を仰ぐことがあるため
上記の工程が発生するので回答内容が概ね決まっていたとしても「ここまで聞いた情報に誤りがないか」「本当にそれを伝えて良いのか」といった事を確認する必要があります。
これには社内で使用しているツールの利便性や、素早く判断できる管理者がいるかといった要因にも左右されるところとなります。
コールセンターでスムーズに問い合わせるコツ
コールセンターに問い合わせる際、「話がなかなか進まない」と感じることもあるかもしれません。
話をスムーズに進めるためのコツは以下です。
・契約者情報を確認しておく
・「何を」「どうしたいのか」を明確にしておく
・感情的にならず冷静に要件を伝える
主に上記3点でしょうか。
携帯電話やガス・水道といったインフラ、クレジットカード等の問い合わせの際は必ず”本人確認”を実施します。コールセンターでは本人確認は最も慎重に行う工程のひとつですから、ここが曖昧だと問い合わせの回答や各種変更手続きといったことができません。
よく見られるのが携帯電話やインターネットのサービスで契約者と利用者を誤解しているケースです。例としては親が携帯電話の契約をし、子どもに利用させている場合等ですね。この場合、必要な情報は契約者である親のものになります。
後は主語と目的を明確にしておくとスムーズです。特に機器の故障、修理といった事柄では機種名、製造番号、使用期間、保証の有無等を確認される事が多いですね。
後はクレジットカードの紛失といったことでは慌ててしまいますが、問い合わせの際は冷静に話をする方がオペレーターにも伝わりやすく話を円滑に進められます。
コロナ禍で相当厳しい人員不足
また企業によってはHPで告知しているケースも見ますが、コロナウイルスの影響によりコールセンター自体が相当な人員不足にあります。元々人の出入りが激しいの業種ではありますが、加えて現在ではクラスターの頻発もあり出勤停止、センターの一時閉鎖となるケースもあります。
現在も積極的に募集は行われていますが、コールセンター内でのクラスター発生に対して不安を抱く人も多く、人員が集まりづらい状況下です。結果的にコロナウイルスの感染やクラスターによって人は減るのに増えないので、残るスタッフの負担は更に大きくなるという悪循環に陥っています。
また「十分な整備が行われていないまま予約受付を開始した背景に問題がある」といった指摘にもあるように、ワクチン接種をしたい人はもちろん、予約受付を行っているオペレーターのためにもスムーズな予約受付が行える体制作りが必要な状況と考えられます。
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